新しい花が咲く頃に
何も変わらない日常。少し変わったとしたら、今日がクラス替えなだけ
焼き上がった良い匂いのパンを一口齧る
テレビを付けて、いつも通り占いを見る
「ごめんなさい!最下位は、"牡羊座"の貴方!」
「物事が上手くいかなくなり、焦る気持ちが急速!!でも、今日は
ずっと会いたいと思ってた人と再会できるかも!?」
『.........』
「そんなあなたのラッキーアイテムはーーーーー」
パンを食べる手が止まる。いつもは気にしない筈の占い。義務的に見ている占い
この時は、何を思ったかその情報だけしっかりと耳を通って、リピートする
テレビの音も曖昧だ。私が一つ、瞬きをすると世界の音が入ってきた
今日は、とんでもない一日になりそうだなぁ..........
----------------
靴をトントンと整えて、立ち上がる
鏡で、手入れされた黒の髪を整えて、ドアノブに手を掛ける
インターホンとドアノブが開く音が、重なり聞こえる
『「あ」』
『"洸先輩"......!』
「あはは、驚かせちゃった?」
俺もびっくりしたんだけど、と柔らかい笑顔で言う先輩
爽やかな雰囲気を纏わせて、さらりと手を取られる
『久しぶりですね、洸先輩』
「そうだね。春休み全然遊んでなかったしね」
『私に会えなくて寂しかったですか?』
「寂しかったよ?ずっと白藍ちゃんのこと考えてた」
此方を覗き込み、少し遠慮気味で照れたように言う
でも、その先輩には何処か余裕を感じて、此方が耳を染めることになった
『.......本当ですかね.....』
「あはは、本当だって!白藍ちゃん、照れてるしね」
『先輩が余裕持ちすぎなんですよ!』
っふはは、白藍ちゃん面白い、とイタズラ気味に笑う
絶対バカにしてますよね.......?
先輩の笑顔が、落ちた花弁に反射して、とても輝いて見える
「ふふっ.......白藍ちゃん、学校着いたよ」
『わっ、もうですか........』
気が付いたら校門を潜っていて、校舎が見えていて、後ろから男女の話し声も聞こえた
風鈴が音を鳴らすように、私のお守りの音が聴こえる
ふわりと、撫でるような風が吹き、サクラが舞う
サクラに後押しされるよう、校舎へと一歩近づいた
(.......白藍?)
(はーくん?どうしたの?)
…サクラ「精神美」「優美な女性」「純潔」