新しい花が咲く頃に
「ひみつごと、って.........」
え?と困り気味に溢れた、やや高めな声
いつもの私ならば、「......あはは〜冗談ですよ!なんかやましいことあるんですかー?」と茶化して誤魔化す
だけど、今回ばかりは引くつもりはない。私のためにも、......蛭ケ島くんのためにも
少し間を空けて前に手を組んだ、洸先輩
「.......白藍ちゃんに隠してることはないよ?」
『.......そうですか、』
ありがとうございます。そう言ってその場を去った
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ダウト、嘘、間違い。......せんぱいのばか
怒りをぶつけるように、早歩きで体育館裏へ向かう
先程の、先輩の言動を思い出す
《.......白藍ちゃんに隠してることはないよ?》
その時先輩が、前に手を組んだ。
洸先輩がよくやる、「嘘をつく」時の動作。
『っ.........』
なんで、なんでっ.........
私は悲しくなっちゃだめなのに、苦しくなっちゃだめなのに
「隠しごとをされていた」という事実に、どうしても胸が苦しくなってしまう
そんなこと、私が思っていいはずないのに。
はは、と渇いた声で空笑いを浮かべる
『蛭ケ島くんに合わせる顔、無いや』
誰も居ないのをいいことに、ずるずるとみっともなくしゃがみ込んだ
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『........結局、サボっちゃったな』
蛭ケ島くん、今何思ってるんだろ。ふいに溢れた本音に、体育座りの足に顔を埋める
洸先輩のことが気がかりで、どうにも教室へ足を運べない
それに、このまま蛭ケ島くんの顔を見てしまったらきっと、蛭ケ島くんに縋ってしまう
洸先輩、なんで秘密ごとするんですか。
いつだって、洸先輩は余裕があるし、そこも"好き"だけど
どこか壁を感じてしまい、「ひとりにしないで」と思ってしまう
『........どーせ、ひとりになるくせに』
「それじゃあ、私が側に居てもいいですか?」
微風が吹いて、木が揺れる。それと同時に、雛鳥が飛び立つ
その瞬間、後ろに手を組んだ、優しい眼差しを向ける少女が立っていた
「やっと、2人きりですね」
まるで雛鳥が、自分のためにここまで飛び立ってくれたように、その子は現れた
(恵林寺、白藍先輩)
(........知り合いに居たかな)
…ポピー「慰め」「思いやり」「恋の予感」「陽気で優しい」