新しい花が咲く頃に
『.......』
チクタク、と時計が鳴る、13時50分。
少し暖かい風に吹かれて、鞄についたイルカが揺れる。
タッ......という一つの足音と、聞き馴染みのある声で顔を上げる
「恵林寺、」
『......ん、恵林寺ですよ』
やはり、どこか違う蛭ケ島くんに不信感を覚える
少しの沈黙の後、蛭ケ島くんが「......どっか店入って話すか」と、切り出してくれた
そうだね、と重たい足を運んで歩いた
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「..........まずは、急に呼び出してごめん」
いいよ、暇だったし。と優しく蛭ケ島くんに言う
あのな.......と、言いにくそうに、苦しそうに蛭ケ島くんが話し始める
「信じられなくてもいいし、疑ってもいい」
正直、俺も最初信じられなかったから。と、目の下の隈を隠すように、苦しく笑う
蛭ケ島くんのこんな姿を想像できなかったから、こちらまで胸が苦しくなる
一息吐いた蛭ケ島くんが、「昨日の放課後、咲音先輩と帰ったか?」と聞くから、私は真実を伝える
『......いや、用事あるから別々だったけど.........』
「........そ、」
感情の感じられない声色、しんみりとした空気に、本気で焦ってくる。
蛭ケ島くんに何があったの、私を呼んだわけは?、私が関係してる?、洸先輩が関係してる?、それとも........
「白藍、心して聞け」と、真剣な顔でこっちを見つめる。昨日の放課後、と眉を歪め悲しく話す
「咲音先輩と、浅間先輩が、ハグしてた」
蛭ケ島くんから伝えられた事実に、私は同情してしまった
(.......あさま、先輩って)
(..........なぁ、恵林寺)
…ウキツリボク「尊敬」「さまざまな愛」「恋の病」「真実は1つ」「憶測」