新しい花が咲く頃に
『でーと、って.......』
震えた声で、陽莉ちゃんに問う。そうしたら、ブランコに乗っていた晴誠くんが、ガタンっ、と立ち上がり、焦ったように言う
「デートじゃねぇっつってんだろ!」
「えー!私達の仲なのに!」
照れ屋さん?と、晴誠くんを覗き込む陽莉ちゃんに、手を伸ばしたくなる
手前はマジでアホか、と優しくデコピンをする晴誠くんに、"やだ"という感情が芽生える
この感情に気づかないほど、私は馬鹿じゃないから。だからこそ、胸が痛んだ
『2人は、仲......良いねっ』
「..........うん、そうだよ?すっごく......仲良いの」
陽莉ちゃんから帰ってきた返答に、優越感と刺々しさを感じる。
「仲が良い」そのことで、"最悪"を考えてしまう自分が居る。最悪を考える、資格もないのに
晴誠くんが何かを言おうとしたところを、陽莉ちゃんが遮り、「白藍ちゃん」と、呼びかける
『.......どうしたの?』
「メアド、交換しない?」
陽莉ちゃんのその提案に、私は頷いて「いいよ」と、携帯を取り出す。
そして、ホーム画面に表示された「一件の通知」に目をやった。誰かな......。.....洸先輩かな?
手の止まった私をふしぎに思ったのか、陽莉ちゃんが「どうしたの?」と聞いてくる。
『.......あ、いや、なんでもないよ。メアド交換しよっか』
携帯と携帯を合わせて、赤外線で通じ合う
メールの履歴に、「朱音陽莉」という名前が新たに追加された
陽莉ちゃんは、いっぱい話そうねっ!と、携帯を大事に握りしめながら、えがおで言った
きっと、
『.......っあ、はは.....いっぱい話そーね.....!』
こういう子が、はるの隣に立てる子なんだろうな
(そろそろ帰る、ねっ!)
(.......ん、またな)
…黄色いバラ「嫉妬」「薄れゆく愛」「あなたの愛が薄れても離さない」「友情」「平和」「幸福」「思いやり」「感謝」「魅力」「優雅」