新しい花が咲く頃に
「しろあちゃん........」
どうしたの、と優しく聞いてくれる先輩に、変なこと聞いたなと冷静に考える
困惑した顔で、驚愕したように、わたしを見つめる
わたしは再度、洸先輩に尋ねる
『すきですか......わたしのこと、』
ちゃんと、すきでいてくれてますか。洸先輩の胸元をぎゅっと握り、苦しく聞く
洸先輩は、「......うん、好きだよ。ずっとすき」と、私を引き寄せてポン、と頭を優しく撫でてくれた
.......最悪で、最低だ。安心感を得るためだけの、自己満足の、最悪で最低な質問をしてしまった
だって、わたしは洸せんぱいのこと
『時間が、有限だったらよかったのに』
洸先輩の胸の中で、行き場のない独り言を、そっと呟いた
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「お、恵林寺さんじゃーん?」
『その顔は上手く行ったようだ』
おーよ、どうもありがとうございます〜!と少し腰を低くする蛭ケ島くんに、笑いが溢れる
「......んで、隣の方は"咲音洸"先輩っすよね?」と、様子を伺うように慎重に聞いてくる
洸先輩は、「うん、そうだよ。こんにちは、蛭ケ島時雨くん」と優しく微笑み、挨拶する
「おぉ......名前知ってんすか....」
「はは、白藍ちゃんからよく聞くだけだよ」
少し、びっくりした蛭ケ島くんに、微苦笑しながら洸先輩が答える
ちょ、洸先輩!と止めるが、時すでに遅し。蛭ケ島くんが興味津々に「なんてなんて?なんて言ってました!?」と食いつく
洸先輩......上手くカバーしてくれますか。してくれますよね?
「一緒に居て落ち着く、安心する存在だって、さ」
『洸先輩っ!!』
わたしが慌てて洸先輩を制する。カバーって、そういうことじゃありません!!
蛭ケ島くんは「恵林寺ぃ〜!俺のことだいすきかよっ!!」と髪をくしゃっとされる
わたしの綺麗な髪を汚すな!と、蛭ケ島くんを止める。羞恥心でしにそうだ
「........白藍ちゃん」
洸先輩に声を掛けられ、洸先輩へと視線を向ける
洸先輩は眉を曲げ、少し不貞腐れていた。あっ、と........
蛭ケ島くんは何かを察したのか、「んじゃ、俺は先戻るからー」とそこから撤退した
『......あー、の....洸先輩?』
「白藍ちゃんは、もうちょっと危機感持ってね」
え、と言うと「だから」と洸先輩が視線を外し、照れ気味に言う
「.....嫉妬した、んですけど」
わるいですか、拗ねた様子でそう言う先輩に、かわいい、と不謹慎なことを思ってしまった
「.....善処いたします」と背伸びをし、洸先輩のサラッとしたクリーム色の髪の毛を撫でる
洸先輩がふわりと笑って「また俺が拗ねたら」と続ける
「ずっとこの先も、俺を撫でてね?」
洸先輩が優しく見つめた私に、洸先輩の想像する未来が映った
でも、私にはその未来が映せなかった
(.......でも先輩、蛭ケ島くんは、浅間先輩のこと好きですよ)
(っえ、そうなの、!浅間ちゃんのことが......そっか)
…オシロイバナ「臆病」「内気」「恋を疑う」「小心」