前代未聞の最強総長、今日も一途に執心中。
side ???
「ねえー、今ウワサの編入生ちゃん、放送に入るらしいよー!」
そう言ったのはsirius幹部の[漢字]黄咲[/漢字][ふりがな]きさき[/ふりがな]。
何がそんなに面白いのか、黄咲はけたけたと笑いながらソファへゆっくりと腰をおろした。
「そういえば仁くん、編入生ちゃんの校舎案内してたんでしょー?どんな子なのー?」
黄咲は、座ったと思えばまた軽々とソファから立ち上がり、書類の最終確認をしていた赤美の元へ足早に駆け寄った。
......あの赤美が、赤の他人に校舎案内をしただと....?
赤美は、よく知らない人間に気を遣ったり変に優しくするような事をする人間ではない。
にわかには信じがたい話だが、赤美は黄咲の言葉にぴくりと反応し、完全に気が緩んだ表情を浮かべながら話しだした。
「....会えばわかる。あいつは、常人じゃない。」
赤美はそう言い、何かを噛みしめるようにしてぎゅっと書類の端を握った。
....詳しい事はわからないが、赤美がsirius以外の人間を肯定した。と、いう事は、完全に放送委員会への仲間入りは許容範囲だという事である。
俺は新メンバー希望の人間を片っ端からsiriusが断り続けているという件に関して、一切関わっていない。
だからてっきり、メンバー加入拒否を続けている内の1人・赤美がまさか編入生なんかを歓迎するだなんて思わなかった。
......まあ赤美の事だ。人を見極める力は人一倍だと言っても過言ではないこいつが歓迎する人間が、悪いやつなわけではないという事はわかる。
「ふーん....まあ仁くんがそこまで言うならいっかー。僕も編入生ちゃん歓迎するよー!」
黄咲はそう言いながら、ソファへ思いっきりダイブした。
「[太字][漢字]夜[/漢字][ふりがな]よる[/ふりがな][/太字]くんは?歓迎できるー?」
黄咲は俺にそう問いかけた。
......正直、そこまでその編入生とやらにも新メンバーとしての加入希望の輩の事なんてどうでもいい。
「好きにしろ」と言って、俺は放送室を後にした。
[水平線]
side 海
「はああ!?月が放送に入っただと!!?」
空き教室にて。
あの翔が珍しく俺を呼び出す事に違和感を覚えたが、思った通り翔はとんでもない事を口にした。
「......Regulusの定期集会に顔出してたら、もう委員会決め終わってて....最悪....」
別にこの件に関して、翔をどう攻め立てたとしてももう遅い。
それにRegulusの定期集会なんざ、この学園ではかの有名な集会。
基本は強制参加だと聞いたし、なんなら翔はRegulusの幹部にあたる役割を担っている。参加拒否だなんて総長がどんなツラ立てるかわかっちゃもんじゃない。
......まあ、Regulus自体の悪行動はよく耳にするが、Regulus上層部に属するメンバー達の非行は一切と言っていいほどに聞かないから、悪い人間ではない事くらいはわかるけどな.......
「とにかく、俺も死力を尽くしてゆえねえの事守るから....."Ita史上最強の総長さん"も、力を尽くしてね.....?」
「.....ったりめえだろ、"狂犬"。」
きょうだいという仲であるのに、お互いの一種のコードネームで呼び合うだなんて、俺らも格が落ちたもんだな。
[太字].......いや実際には、翔とは本当のきょうだいではないんだがな....[/太字]
月にも真実をいつか知ってもらわなければならないと思うと、心がなんだか苦しくなった。
[水平線]
「....えっと....俺らの学校に、3大勢力が集っているのは知ってるっすよね....?」
......っ、し、知らなかった......
3大勢力つまり、『暴走族の3つの勢力』が集っているという意味だ。
「それで、各暴走族はそれぞれ支配している委員会活動ってのがあって...放送はsirius、保健はRegulus、図書はItaってグループが支配していて....」
あ......
だからみなちゃん、わたしが放送委員会に入ろうとした時驚いてたんだ...
そっか、この学園に編入イコール裏の組織についても完全把握みたいなところがあったから、それを知っているにも関わらずわたしが放送委員会に入ろうとしていたから心配してくれたのかな....
やっぱり、みなちゃんは優しいな...
そしてお兄ちゃんも、だからわたしにこの3つの委員会に入らない事を条件にしてたんだね......
わたしの周りには優しい人がたくさん居て、すっごく誇らしくなってくる。
[太字]でも、わたしは守られるほどか弱い女子ではない。[/太字]
そしてわたしは再び、同じ班の子の話に耳を傾けた。
「あ.......で、ちなみに、運動委員は放送委員を占領しているsiriusが実質的な権力を握っているところで.....siriusが直接的に委員会活動に関わる事はないけど、逆に運動委員は委員会メンバーの人間が荒れている事が多くて、加入希望の人が少ないんですよね....」
な、なるほど.....
理解が追いつかなかったわたしも、順々と意味を理解しつついた。
.....それにしてもお兄ちゃん、どうして放送委員には入っちゃだめって言わなかったんだろう....?
い、いや、わたしが聞き逃しちゃっただけかもしれないけどっ....!
気づけば授業も終了していて、あっという間に帰りのホームルームも終わってしまった。
放課後は、翔ちゃんが誘ってくれたパンケーキ屋へ行く予定。
本来なら翔ちゃんにわざわざ付き添ってもらうのは申し訳ないし、また今度の機会に1人で行こうと思っていたけど、なぜかはやてくんとみなちゃんまでもがわたしに付き添ってくれる事になって、さすがに断る事自体が申し訳なくなり結局4人で行く事になった。
未だに本当にいいのかな、って思ってしまうけど、ここでせっかく付き添ってくれる3人の気持ちを無下にはしたくないから、わたしは最大限の笑みを浮かべていた。
[水平線]
「ゆえねえ甘いもの好きだもんね、早くパンケーキ美味しそうに食べてるゆえねえが見たい。」
「「賛成」」
翔ちゃんの一言になぜか同意したみなちゃんとはやてくん。
そ、そんな....パンケーキ食べてるわたしなんて見てもなんにもプラスにならないのに、あはは......
どう反応していいのかわからずあははと苦笑いを浮かべると同時に、みなちゃんの「あ」という声が聞こえた。
「....翔、看板見て」
みなちゃんはそう言って、もう間近にあったパンケーキ屋さんの看板を指差す。
そしてそこには、驚きの言葉が記されていた。
「.....おい狂犬、なんだよ『定休日』って.....」
...ほ、ほんとだ、定休日って書いてある....
でも翔ちゃん、しっかりホームページを一読していたと思うんだけどな...?
わたしはスマホを持っているけど、そういう検索の仕方はよくわからないから、何も力になれない。
「サイトにはそんな事書いてないから、サイト内が更新されてなかったのかも....ゆえねえ、ほんとにごめん......」
「しょ、翔ちゃんが謝るような事じゃないよっ...!むしろ、しっかりホームページ見て事前調査しててくれたんだから...わたしも、何も力になれなくてごめんね...」
無駄な努力になってしまうかもだけど、今後こういう事がないように、わたしもスマホの使い方とかはしっかり勉強していこう...!
翔ちゃんは相変わらず気分は下がったままなのかしゅんとしているけど、パンケーキ屋ならまた今度行けば良い。
「....どうする?このまま解散する?周りなんもないし....」
みなちゃんはそう言って、あたりをきょろきょろと見渡した。
ここは大通りのお店ではないため、近くに行けそうなお店もない。
どうしようかと迷っていると、はやてくんが声を張り上げた。
[太字]「うち来ねえ?親出張でいねえし、晩飯食ってけよ。」[/太字]
え......?はやてくんのおうち....?
すっごく行きたいけど、お母さんとお兄ちゃんがなんていうかわからない。
できる事ならお母さんに連絡して許可をもらいたいけど、仕事中な可能性が高い。
変に気を遣わせちゃいそうで申し訳ないし、わたし以外のみんなに楽しんでもらおう。
わたしはいいよ、そう言おうとした時、いつも聞いている大好きな声が響いた。
「.......あら、月に翔ちゃん?こんなところで何してるの?」
え......
お、お母さん....!?
驚いて振り向くと、そこにはお母さんだけでなく空ちゃんも一緒に居た。
「お母さんに空ちゃん....!どうしてここにいるの...!?」
わたしはそう言って、すぐさま2人の元へ駆け寄った
「買い物帰り中、たまたま空ちゃんと会ったのよ。それで空ちゃんが美味しいパンケーキ屋さんがあるっていうからここに来てみたら月と翔ちゃんが居たの。」
空ちゃんも、パンケーキ屋さんの事知ってたんだ....!さすが双子だなあ...!
翔ちゃんと空ちゃんはあまり見た目は似ていないけど、考える事や思っている事は度々重なる事が多く、今回も同様のケースなのだと考えるとなんだか微笑ましくなった。
「.....ゆえねえ、そこの2人は..?」
きょとんとした表情で、空ちゃんはそう言った。
「こちらはみなちゃんとはやてくん!」
わたしがそう言うと、お母さんは驚いた表情で2人を見つめていた。
「あら、貴方が「みなちゃん」ね...!6年生の頃は月がお世話になりました...まさか同じ学校だなんて、驚いたわ。」
お母さんは嬉しそうにそう話した。
.....そ、そういえばみなちゃんと一緒に寄り道したりするのが楽しすぎてお母さんにちゃっかりいろいろ話しちゃってたなあ......
当の本人の前で言われちゃうのは恥ずかしいけど、みなちゃんは微笑んでくれていた。
「とんでもないです。これからも月さんと仲良くさせてください。」
......みなちゃん.....
相変わらずどこまでも優しいみなちゃんが、これから先もきっとずっと大好きだろうなあと思った。
「そして「はやてくん」も、月が皇に居た頃話に聞きました。月と同じで、皇からこちらへ転入したのかしら....?」
みなちゃんの事だけじゃなくて、皇に居た頃はやてくんの話をしていた事も思い出す。
あの時ははやてくん以外の友達ができなくて....お母さんを心配させないようにと、皇でもうまくやっているんだという事を証明したくてたくさん話していた。
実際のところ、はやてくんといるのも話すのもすっごく楽しかったし、嘘は1つもついていない。
「.....はい。親の都合で、仕方なくこっちに来たら月がいたんで俺も驚きました。」
「まあ、それじゃあ全く月と同じなのね。これからも、月をよろしくお願いします。」
はやてくんは「もちろんです」と言って、小さく会釈をした。
なんだか、みなちゃんもはやてくんも急に大人になったみたい。
ふたりともすごいなあ.....
すると、はやてくんが声を張り上げた。
「今日俺んちに来ねーかって話になってるんすけど、よかったら月のお母さんたちもどうっすか。俺んち今両親居なくてでさみしーので、むしろ来てくれたら大歓迎なんすけど。」
あ...!そういえば、ついさっきまでそんな話をしていた事を思い出した。
お母さんの反応を伺おうと、ちらっと目を横に移す。
「まあ...!それは是非と言いたいところなのだけど、私は家に帰らなきゃなの。」
あ......そっか、そうだよね。
お母さん、最近在宅ワーク的なものも始めたって言ってたから、それかもしれない。
今日はもう諦めよう。
__________そう思った時
[太字][大文字]「だから、貴方たち5人で楽しんできなさい。」[/大文字][/太字]
....えっ....!!お、オッケーってことなのかな..!?
あれ、でも5人ってことは....
「ぼ、僕もいいの...?」
空ちゃんとも一緒にいれるの.....!?
_________今日はなんだか、最高な1日になりそうです。
「ねえー、今ウワサの編入生ちゃん、放送に入るらしいよー!」
そう言ったのはsirius幹部の[漢字]黄咲[/漢字][ふりがな]きさき[/ふりがな]。
何がそんなに面白いのか、黄咲はけたけたと笑いながらソファへゆっくりと腰をおろした。
「そういえば仁くん、編入生ちゃんの校舎案内してたんでしょー?どんな子なのー?」
黄咲は、座ったと思えばまた軽々とソファから立ち上がり、書類の最終確認をしていた赤美の元へ足早に駆け寄った。
......あの赤美が、赤の他人に校舎案内をしただと....?
赤美は、よく知らない人間に気を遣ったり変に優しくするような事をする人間ではない。
にわかには信じがたい話だが、赤美は黄咲の言葉にぴくりと反応し、完全に気が緩んだ表情を浮かべながら話しだした。
「....会えばわかる。あいつは、常人じゃない。」
赤美はそう言い、何かを噛みしめるようにしてぎゅっと書類の端を握った。
....詳しい事はわからないが、赤美がsirius以外の人間を肯定した。と、いう事は、完全に放送委員会への仲間入りは許容範囲だという事である。
俺は新メンバー希望の人間を片っ端からsiriusが断り続けているという件に関して、一切関わっていない。
だからてっきり、メンバー加入拒否を続けている内の1人・赤美がまさか編入生なんかを歓迎するだなんて思わなかった。
......まあ赤美の事だ。人を見極める力は人一倍だと言っても過言ではないこいつが歓迎する人間が、悪いやつなわけではないという事はわかる。
「ふーん....まあ仁くんがそこまで言うならいっかー。僕も編入生ちゃん歓迎するよー!」
黄咲はそう言いながら、ソファへ思いっきりダイブした。
「[太字][漢字]夜[/漢字][ふりがな]よる[/ふりがな][/太字]くんは?歓迎できるー?」
黄咲は俺にそう問いかけた。
......正直、そこまでその編入生とやらにも新メンバーとしての加入希望の輩の事なんてどうでもいい。
「好きにしろ」と言って、俺は放送室を後にした。
[水平線]
side 海
「はああ!?月が放送に入っただと!!?」
空き教室にて。
あの翔が珍しく俺を呼び出す事に違和感を覚えたが、思った通り翔はとんでもない事を口にした。
「......Regulusの定期集会に顔出してたら、もう委員会決め終わってて....最悪....」
別にこの件に関して、翔をどう攻め立てたとしてももう遅い。
それにRegulusの定期集会なんざ、この学園ではかの有名な集会。
基本は強制参加だと聞いたし、なんなら翔はRegulusの幹部にあたる役割を担っている。参加拒否だなんて総長がどんなツラ立てるかわかっちゃもんじゃない。
......まあ、Regulus自体の悪行動はよく耳にするが、Regulus上層部に属するメンバー達の非行は一切と言っていいほどに聞かないから、悪い人間ではない事くらいはわかるけどな.......
「とにかく、俺も死力を尽くしてゆえねえの事守るから....."Ita史上最強の総長さん"も、力を尽くしてね.....?」
「.....ったりめえだろ、"狂犬"。」
きょうだいという仲であるのに、お互いの一種のコードネームで呼び合うだなんて、俺らも格が落ちたもんだな。
[太字].......いや実際には、翔とは本当のきょうだいではないんだがな....[/太字]
月にも真実をいつか知ってもらわなければならないと思うと、心がなんだか苦しくなった。
[水平線]
「....えっと....俺らの学校に、3大勢力が集っているのは知ってるっすよね....?」
......っ、し、知らなかった......
3大勢力つまり、『暴走族の3つの勢力』が集っているという意味だ。
「それで、各暴走族はそれぞれ支配している委員会活動ってのがあって...放送はsirius、保健はRegulus、図書はItaってグループが支配していて....」
あ......
だからみなちゃん、わたしが放送委員会に入ろうとした時驚いてたんだ...
そっか、この学園に編入イコール裏の組織についても完全把握みたいなところがあったから、それを知っているにも関わらずわたしが放送委員会に入ろうとしていたから心配してくれたのかな....
やっぱり、みなちゃんは優しいな...
そしてお兄ちゃんも、だからわたしにこの3つの委員会に入らない事を条件にしてたんだね......
わたしの周りには優しい人がたくさん居て、すっごく誇らしくなってくる。
[太字]でも、わたしは守られるほどか弱い女子ではない。[/太字]
そしてわたしは再び、同じ班の子の話に耳を傾けた。
「あ.......で、ちなみに、運動委員は放送委員を占領しているsiriusが実質的な権力を握っているところで.....siriusが直接的に委員会活動に関わる事はないけど、逆に運動委員は委員会メンバーの人間が荒れている事が多くて、加入希望の人が少ないんですよね....」
な、なるほど.....
理解が追いつかなかったわたしも、順々と意味を理解しつついた。
.....それにしてもお兄ちゃん、どうして放送委員には入っちゃだめって言わなかったんだろう....?
い、いや、わたしが聞き逃しちゃっただけかもしれないけどっ....!
気づけば授業も終了していて、あっという間に帰りのホームルームも終わってしまった。
放課後は、翔ちゃんが誘ってくれたパンケーキ屋へ行く予定。
本来なら翔ちゃんにわざわざ付き添ってもらうのは申し訳ないし、また今度の機会に1人で行こうと思っていたけど、なぜかはやてくんとみなちゃんまでもがわたしに付き添ってくれる事になって、さすがに断る事自体が申し訳なくなり結局4人で行く事になった。
未だに本当にいいのかな、って思ってしまうけど、ここでせっかく付き添ってくれる3人の気持ちを無下にはしたくないから、わたしは最大限の笑みを浮かべていた。
[水平線]
「ゆえねえ甘いもの好きだもんね、早くパンケーキ美味しそうに食べてるゆえねえが見たい。」
「「賛成」」
翔ちゃんの一言になぜか同意したみなちゃんとはやてくん。
そ、そんな....パンケーキ食べてるわたしなんて見てもなんにもプラスにならないのに、あはは......
どう反応していいのかわからずあははと苦笑いを浮かべると同時に、みなちゃんの「あ」という声が聞こえた。
「....翔、看板見て」
みなちゃんはそう言って、もう間近にあったパンケーキ屋さんの看板を指差す。
そしてそこには、驚きの言葉が記されていた。
「.....おい狂犬、なんだよ『定休日』って.....」
...ほ、ほんとだ、定休日って書いてある....
でも翔ちゃん、しっかりホームページを一読していたと思うんだけどな...?
わたしはスマホを持っているけど、そういう検索の仕方はよくわからないから、何も力になれない。
「サイトにはそんな事書いてないから、サイト内が更新されてなかったのかも....ゆえねえ、ほんとにごめん......」
「しょ、翔ちゃんが謝るような事じゃないよっ...!むしろ、しっかりホームページ見て事前調査しててくれたんだから...わたしも、何も力になれなくてごめんね...」
無駄な努力になってしまうかもだけど、今後こういう事がないように、わたしもスマホの使い方とかはしっかり勉強していこう...!
翔ちゃんは相変わらず気分は下がったままなのかしゅんとしているけど、パンケーキ屋ならまた今度行けば良い。
「....どうする?このまま解散する?周りなんもないし....」
みなちゃんはそう言って、あたりをきょろきょろと見渡した。
ここは大通りのお店ではないため、近くに行けそうなお店もない。
どうしようかと迷っていると、はやてくんが声を張り上げた。
[太字]「うち来ねえ?親出張でいねえし、晩飯食ってけよ。」[/太字]
え......?はやてくんのおうち....?
すっごく行きたいけど、お母さんとお兄ちゃんがなんていうかわからない。
できる事ならお母さんに連絡して許可をもらいたいけど、仕事中な可能性が高い。
変に気を遣わせちゃいそうで申し訳ないし、わたし以外のみんなに楽しんでもらおう。
わたしはいいよ、そう言おうとした時、いつも聞いている大好きな声が響いた。
「.......あら、月に翔ちゃん?こんなところで何してるの?」
え......
お、お母さん....!?
驚いて振り向くと、そこにはお母さんだけでなく空ちゃんも一緒に居た。
「お母さんに空ちゃん....!どうしてここにいるの...!?」
わたしはそう言って、すぐさま2人の元へ駆け寄った
「買い物帰り中、たまたま空ちゃんと会ったのよ。それで空ちゃんが美味しいパンケーキ屋さんがあるっていうからここに来てみたら月と翔ちゃんが居たの。」
空ちゃんも、パンケーキ屋さんの事知ってたんだ....!さすが双子だなあ...!
翔ちゃんと空ちゃんはあまり見た目は似ていないけど、考える事や思っている事は度々重なる事が多く、今回も同様のケースなのだと考えるとなんだか微笑ましくなった。
「.....ゆえねえ、そこの2人は..?」
きょとんとした表情で、空ちゃんはそう言った。
「こちらはみなちゃんとはやてくん!」
わたしがそう言うと、お母さんは驚いた表情で2人を見つめていた。
「あら、貴方が「みなちゃん」ね...!6年生の頃は月がお世話になりました...まさか同じ学校だなんて、驚いたわ。」
お母さんは嬉しそうにそう話した。
.....そ、そういえばみなちゃんと一緒に寄り道したりするのが楽しすぎてお母さんにちゃっかりいろいろ話しちゃってたなあ......
当の本人の前で言われちゃうのは恥ずかしいけど、みなちゃんは微笑んでくれていた。
「とんでもないです。これからも月さんと仲良くさせてください。」
......みなちゃん.....
相変わらずどこまでも優しいみなちゃんが、これから先もきっとずっと大好きだろうなあと思った。
「そして「はやてくん」も、月が皇に居た頃話に聞きました。月と同じで、皇からこちらへ転入したのかしら....?」
みなちゃんの事だけじゃなくて、皇に居た頃はやてくんの話をしていた事も思い出す。
あの時ははやてくん以外の友達ができなくて....お母さんを心配させないようにと、皇でもうまくやっているんだという事を証明したくてたくさん話していた。
実際のところ、はやてくんといるのも話すのもすっごく楽しかったし、嘘は1つもついていない。
「.....はい。親の都合で、仕方なくこっちに来たら月がいたんで俺も驚きました。」
「まあ、それじゃあ全く月と同じなのね。これからも、月をよろしくお願いします。」
はやてくんは「もちろんです」と言って、小さく会釈をした。
なんだか、みなちゃんもはやてくんも急に大人になったみたい。
ふたりともすごいなあ.....
すると、はやてくんが声を張り上げた。
「今日俺んちに来ねーかって話になってるんすけど、よかったら月のお母さんたちもどうっすか。俺んち今両親居なくてでさみしーので、むしろ来てくれたら大歓迎なんすけど。」
あ...!そういえば、ついさっきまでそんな話をしていた事を思い出した。
お母さんの反応を伺おうと、ちらっと目を横に移す。
「まあ...!それは是非と言いたいところなのだけど、私は家に帰らなきゃなの。」
あ......そっか、そうだよね。
お母さん、最近在宅ワーク的なものも始めたって言ってたから、それかもしれない。
今日はもう諦めよう。
__________そう思った時
[太字][大文字]「だから、貴方たち5人で楽しんできなさい。」[/大文字][/太字]
....えっ....!!お、オッケーってことなのかな..!?
あれ、でも5人ってことは....
「ぼ、僕もいいの...?」
空ちゃんとも一緒にいれるの.....!?
_________今日はなんだか、最高な1日になりそうです。