前代未聞の最強総長、今日も一途に執心中。
side 仁
.......なんだ?こいつ、なんなんだ....?
ひと目見た時から、その不思議な状況には困惑していた。
Itaの総長・星野[漢字]海[/漢字][ふりがな]うみ[/ふりがな]に、1年ながら総長や幹部達から一目置かれているRegulusの幹部..."狂犬"と呼ばれる星野[漢字]翔[/漢字][ふりがな]しょう[/ふりがな]。
2人がきょうだいで、翔は双子だという事も、光が丘に狂犬の双子のもう1人が通っている事ももうこの学校中では知れ渡っている事実。
だけど......こいつ、星野月といったな。月の情報はこちら側には一切回ってこなかった。
俺達siriusに情報が届かなかっただけかもしれないが....sirius1の情報屋の黄咲が伝達しなかった事だ。間違いなく、校内では知れ渡っていなかった事だろう。
そんなIta史上最強と呼ばれる総長に、Regulusの狂犬がどうして....あの美少女..星野月を、取り巻いていたんだ.....?
.....と、思ったが、名前を聞いた時確信した。こいつらは、きょうだいだという事に。
そしてまだまだこいつは底知れないやつだった。
元いた学校の出身校を聞くと、そいつは「轟中学」と答えた。
轟といえば、日本難関中学校のうちの一つだ。秀才かつ、すべてをパーフェクトにこなせなければ入学は認められない。轟の偏差値といえば、70はとうに超えているだろう。
それなのに...偏差値67程度の、轟とまではいかないがここらで少し有名程度の学園に、どうして編入なんてしたのだろう。
絶対に、将来的にも肩書的にも、轟の方が効率的なのに.....
「......轟で、中間テストがあっただろう。その時の順位は、どれくらいだったんだ?」
今は6月上旬。もう結果は出ているはずだ。
心のなしか、勝手に期待している自分が居た。
「....そ、そんな公開できるような順位では......」
.......大した順位ではなかったのか。
少し残念だと思う気持ちはあるが、轟中の人間だ。下位に扱うわけにはいかない。
俺が口を開こうとしたとき、彼女は先に声を発した。
「.....その、よ、4位だったので......」
.......は?
今、4位って言ったか......?
4だぞ、4......
「.......い、1位を目指せってお母さんに言われたので必死に勉強したんですけど...凡ミスしちゃって......」
待て、状況が飲み込めない。
4位...?あの轟中の中間で4位を叩き出しただと...?
「お前は.....本当に、底知れないやつだな....」
自分から絞り出たのは、そんな情けない一言だった。
________そしてこの時点で、俺はもう月の虜になっていた。
[水平線]
「....おお、仁くんじゃないか。どうしたんだい?」
学園長室。入り慣れているのか、ノックもせず開かれた扉の先には学園長先生の優雅にお茶を楽しんでいる姿が目に映った。
そこには、数々の綺麗に彩られたお菓子や紅茶がずらりと並んでいる。
相当このお茶会に入れ込んでいたのかな...なんだか割り込みしてしまったみたいで申し訳ないっ.......
「今日、編入生が来るって事は知ってますよね?彼女を紹介しにきたのですが。」
「編入生.......?ああ!星野くんか!......お、後ろにいるのが星野くんか?」
ノリの良さそうな学園長先生は、すぐにふかふかのソファから立ち上がってこちらへ足を運んできた。近くに来てくださった学園長先生の背丈は、赤美せんぱいと同じくらいで、かなり高い。そして年齢も、ざっくりだけどそんなに老いていないし、普通のサラリーマンだと言われても疑わないようなルックスをしていた。
赤美せんぱいが来てくれるまで、学園長先生わたしの事認知してくれてなかったのかなっ.....
「前代未聞の編入生ですよ?そして女子ですよ?どうしてそんな冷静で居られるのですか。」
赤美せんぱいは、陽気な学園長先生にそう問いた。
......あ、そっか..この学園、つい最近まで男子校だったから....
なんだか、女子のわたしの編入でたくさんの人に迷惑をかけてしまっているみたいで申し訳ない。
「ははっ、ノンプロブレム。編入生に逃げられちゃ困るからね。整備も教室も、何もかもを取り揃えたさ。」
軽い態度が気に入らないのか、ぎろっと学園長先生を睨みつける赤美せんぱい。
そ、そんな事しちゃだめだよ..!そう言おうと思ったけど、学園長先生は慣れているのかさっきと表情一つ変えず上機嫌な様子を保っていた。
「じゃあ、教室に案内しようか。君は説明せずとも、1-SSSクラスだ。」
[小文字](天の声:SSSはスリーエスと読むよ!いちのすりーえすって読んでねういんく。)[/小文字]
「す、すりーえす..?」
すりーえす..ってなんだろう.....?
「月。この学園のクラス構成は全学年「H・S・SS・SSS」の4つでクラス編成されているんだ。」
戸惑っていたわたしに、赤美せんぱいが囁くように教えてくれた。
な、なるほど.....
.....じゃあ、わたしは1番上のクラス..ってことなのかな..!多分、みんなエリート揃いだと思うから、ついていけるかな.....
少し顔に雲がゆらいだわたしに、赤美せんぱいは笑って声をかけてくれた。
「大丈夫だ、安心しろ。みんな月を歓迎している。」
「そうだといいです..ありがとうございます、赤美せんぱいっ...!」
わたしも、せんぱいに負けないくらいの笑顔を返した。
[水平線]
「このクラスに、噂にもなっていたように女子生徒の編入生がやってくる事になった。みな、あたたかくむかえいれるように。」
あのあとすぐ教室へスムーズに向かうことができて、ホームルームのときに転入生として紹介すると担任の先生に言われた。
教室へ向かう途中、なぜか通りすがっただけの先生や生徒の人たちからの視線を感じて、とても怖くなった。わたしの髪色は、このあたりではあまりみない淡い水色の髪色と色素の薄いピンク色の瞳をしている。
昔からこの髪色と瞳のせいで男の子につつかれることがよくあったけど...さすがに、ここまでの大人数に目を向けられることは、数年前の空手の試合を最後にしていたから冷や汗が止まらなかった。
でも、ここまできたんだ。
クラスのみんなと、早く仲良くなりたいな.......
あわよくば、今日のお昼を一緒に食べてくれる人が居てくれれば嬉しい..
翔ちゃんとは同学年だけど、同じクラスかどうかわからないし、いきなりわたしが話しかけても迷惑だと思うから。
そうこうしているうちに、先生の「入ってください」という声が聞こえた。
わわ、ついにこのときがっ........!
よーし、がんばるぞっ.....!
わたしはそう思い切り、教室の扉をガラリと開けた。
.......なんだ?こいつ、なんなんだ....?
ひと目見た時から、その不思議な状況には困惑していた。
Itaの総長・星野[漢字]海[/漢字][ふりがな]うみ[/ふりがな]に、1年ながら総長や幹部達から一目置かれているRegulusの幹部..."狂犬"と呼ばれる星野[漢字]翔[/漢字][ふりがな]しょう[/ふりがな]。
2人がきょうだいで、翔は双子だという事も、光が丘に狂犬の双子のもう1人が通っている事ももうこの学校中では知れ渡っている事実。
だけど......こいつ、星野月といったな。月の情報はこちら側には一切回ってこなかった。
俺達siriusに情報が届かなかっただけかもしれないが....sirius1の情報屋の黄咲が伝達しなかった事だ。間違いなく、校内では知れ渡っていなかった事だろう。
そんなIta史上最強と呼ばれる総長に、Regulusの狂犬がどうして....あの美少女..星野月を、取り巻いていたんだ.....?
.....と、思ったが、名前を聞いた時確信した。こいつらは、きょうだいだという事に。
そしてまだまだこいつは底知れないやつだった。
元いた学校の出身校を聞くと、そいつは「轟中学」と答えた。
轟といえば、日本難関中学校のうちの一つだ。秀才かつ、すべてをパーフェクトにこなせなければ入学は認められない。轟の偏差値といえば、70はとうに超えているだろう。
それなのに...偏差値67程度の、轟とまではいかないがここらで少し有名程度の学園に、どうして編入なんてしたのだろう。
絶対に、将来的にも肩書的にも、轟の方が効率的なのに.....
「......轟で、中間テストがあっただろう。その時の順位は、どれくらいだったんだ?」
今は6月上旬。もう結果は出ているはずだ。
心のなしか、勝手に期待している自分が居た。
「....そ、そんな公開できるような順位では......」
.......大した順位ではなかったのか。
少し残念だと思う気持ちはあるが、轟中の人間だ。下位に扱うわけにはいかない。
俺が口を開こうとしたとき、彼女は先に声を発した。
「.....その、よ、4位だったので......」
.......は?
今、4位って言ったか......?
4だぞ、4......
「.......い、1位を目指せってお母さんに言われたので必死に勉強したんですけど...凡ミスしちゃって......」
待て、状況が飲み込めない。
4位...?あの轟中の中間で4位を叩き出しただと...?
「お前は.....本当に、底知れないやつだな....」
自分から絞り出たのは、そんな情けない一言だった。
________そしてこの時点で、俺はもう月の虜になっていた。
[水平線]
「....おお、仁くんじゃないか。どうしたんだい?」
学園長室。入り慣れているのか、ノックもせず開かれた扉の先には学園長先生の優雅にお茶を楽しんでいる姿が目に映った。
そこには、数々の綺麗に彩られたお菓子や紅茶がずらりと並んでいる。
相当このお茶会に入れ込んでいたのかな...なんだか割り込みしてしまったみたいで申し訳ないっ.......
「今日、編入生が来るって事は知ってますよね?彼女を紹介しにきたのですが。」
「編入生.......?ああ!星野くんか!......お、後ろにいるのが星野くんか?」
ノリの良さそうな学園長先生は、すぐにふかふかのソファから立ち上がってこちらへ足を運んできた。近くに来てくださった学園長先生の背丈は、赤美せんぱいと同じくらいで、かなり高い。そして年齢も、ざっくりだけどそんなに老いていないし、普通のサラリーマンだと言われても疑わないようなルックスをしていた。
赤美せんぱいが来てくれるまで、学園長先生わたしの事認知してくれてなかったのかなっ.....
「前代未聞の編入生ですよ?そして女子ですよ?どうしてそんな冷静で居られるのですか。」
赤美せんぱいは、陽気な学園長先生にそう問いた。
......あ、そっか..この学園、つい最近まで男子校だったから....
なんだか、女子のわたしの編入でたくさんの人に迷惑をかけてしまっているみたいで申し訳ない。
「ははっ、ノンプロブレム。編入生に逃げられちゃ困るからね。整備も教室も、何もかもを取り揃えたさ。」
軽い態度が気に入らないのか、ぎろっと学園長先生を睨みつける赤美せんぱい。
そ、そんな事しちゃだめだよ..!そう言おうと思ったけど、学園長先生は慣れているのかさっきと表情一つ変えず上機嫌な様子を保っていた。
「じゃあ、教室に案内しようか。君は説明せずとも、1-SSSクラスだ。」
[小文字](天の声:SSSはスリーエスと読むよ!いちのすりーえすって読んでねういんく。)[/小文字]
「す、すりーえす..?」
すりーえす..ってなんだろう.....?
「月。この学園のクラス構成は全学年「H・S・SS・SSS」の4つでクラス編成されているんだ。」
戸惑っていたわたしに、赤美せんぱいが囁くように教えてくれた。
な、なるほど.....
.....じゃあ、わたしは1番上のクラス..ってことなのかな..!多分、みんなエリート揃いだと思うから、ついていけるかな.....
少し顔に雲がゆらいだわたしに、赤美せんぱいは笑って声をかけてくれた。
「大丈夫だ、安心しろ。みんな月を歓迎している。」
「そうだといいです..ありがとうございます、赤美せんぱいっ...!」
わたしも、せんぱいに負けないくらいの笑顔を返した。
[水平線]
「このクラスに、噂にもなっていたように女子生徒の編入生がやってくる事になった。みな、あたたかくむかえいれるように。」
あのあとすぐ教室へスムーズに向かうことができて、ホームルームのときに転入生として紹介すると担任の先生に言われた。
教室へ向かう途中、なぜか通りすがっただけの先生や生徒の人たちからの視線を感じて、とても怖くなった。わたしの髪色は、このあたりではあまりみない淡い水色の髪色と色素の薄いピンク色の瞳をしている。
昔からこの髪色と瞳のせいで男の子につつかれることがよくあったけど...さすがに、ここまでの大人数に目を向けられることは、数年前の空手の試合を最後にしていたから冷や汗が止まらなかった。
でも、ここまできたんだ。
クラスのみんなと、早く仲良くなりたいな.......
あわよくば、今日のお昼を一緒に食べてくれる人が居てくれれば嬉しい..
翔ちゃんとは同学年だけど、同じクラスかどうかわからないし、いきなりわたしが話しかけても迷惑だと思うから。
そうこうしているうちに、先生の「入ってください」という声が聞こえた。
わわ、ついにこのときがっ........!
よーし、がんばるぞっ.....!
わたしはそう思い切り、教室の扉をガラリと開けた。