前代未聞の最強総長、今日も一途に執心中。
「[漢字]月[/漢字][ふりがな]ゆえ[/ふりがな]、本当に行っちゃうのか.....?別の学校でもいいんだぞ..?」
お兄ちゃんはそう言って、がくんと肩を落とした。
それに賛同するように、後ろに居たわたしと同学年の年子の弟の[漢字]翔[/漢字][ふりがな]しょう[/ふりがな]ちゃんと[漢字]空[/漢字][ふりがな]そら[/ふりがな]ちゃんと、お母さんまでもが心配そうな表情を浮かべている。
「そ、そんなに心配しなくても大丈夫だよ...!」
今まで一緒に格闘技を習ってきたお兄ちゃんは、わたしが強い子だって事を一番よくわかっていて、お母さんにはスパルタで小さい頃から勉強や作法、料理などを丁寧に厳しく教えてもらっていた。
そして翔ちゃんと空ちゃんも、そのわたしの姿を見ていたくれていたはず。
誰かに喧嘩を売られても、勉強でついていけなくなってしまう事もないと断言はできる。
それなのにどうして......そこまでわたしの事を心配してくれるのかな....?
「確かに、貴方が十分できる子なのはよくわかっているのだけれど....」
お母さんは綺麗な顔を歪ませてそう言った。
更には翔ちゃんと空ちゃんもわたしの服の裾をぎゅっと握って目をうるうると光らせている。
........うっ、かわいい.......
けど、もう決めたことなんだ。
わたしは4人を安心させるために、口を開いた。
「大丈夫だよ..!中等部には翔ちゃんが居るし、高等部にはお兄ちゃんも居るでしょ?だから安心だよ...!」
2人の頼もしい人が居てくれるんだ。空ちゃんは別の学校だけど.....それでも、頼もしい事に変わりはない。
わたしは顔の近くでぐっとガッツポーズをつくり、にこっと笑顔をみせた。
「........月、ほんとにわかってるか?今お前が転入しようとしているのは....『不良校』だぞ?」
そ、そんなの重々承知の上だよっ...!
その事を了承した上で、わたしはあの学園に転入しようって考えたんだ。
確かに物騒な名前のつけられた学園だなあとは思っちゃったけど....それでも、生徒と教師が混在していて、教育を受けられる『学園』という点では、何の問題もない。
「わかってるよ...!わたし、あの学園でやりたい事があるの....それに、お兄ちゃんも、翔ちゃんとも同じ学校でしょ?すっごく楽しみだよっ....!」
「......わかった。」
.......や、やった...!お兄ちゃん攻略...!
いつのタイミングからかはわからないけれど、わたしの中で勝手にラスボス認定されていたお兄ちゃんを攻略できた事に、わたしはほっと安堵の息を吐いた。
でも、それの束の間。
「ただし、今から俺が言う条件を呑んでくれ。」
...........っ、え....?
な、なんだろう.....
「絶対に、保健委員と放送委員、図書委員に体育委員には入らない事。」
その言葉に、わたしは少し耳を疑った。
保健と放送と図書と体育に入っちゃいけないの...?そ、それって結構入れる委員会が制限されると思うんだけど.......
そしてちらりと空ちゃんと翔ちゃんの方へ視線を移動させると、空ちゃんはよくわかんなそうな顔してるけど....
翔ちゃんは、なんだかすごく納得してるみたいに頷いていた。
ええっ.....な、なにか裏でもあったりするのかな....?
わたしはおそるおそる、お兄ちゃんに理由を聞いてみる事にした。
「そ、その委員会にはなにかあるの..?」
「.....こまかい事は気にしないでくれ。とにかく、その4つの委員会には入らない事。これが条件だ。」
....うう、ごまかされちゃった......
これ以上追求してもお兄ちゃんは絶対に吐かないとわかったわたしは、何も言わない事にした。
「あら、貴方たちまだ行ってなかったの!?」
ついさっき、「電話に出てくるわね」と言ってリビングへと戻っていったお母さんが、わたし達の居る玄関へ戻ってきた。
「[漢字]海[/漢字][ふりがな]うみ[/ふりがな]、翔ちゃんと一緒に月に[漢字]星学[/漢字][ふりがな]ほしがく[/ふりがな]の案内してあげるよのよ。」
うみとは、お兄ちゃんの事だ。
お母さんはそう言って、にこっと微笑んだ。
本当に、その笑顔にはわたしまでもがきゅんと胸がないてしまうほどに美しい。
こんなに綺麗なお母さんで...血も繋がってるのに、わたしは全然かわいくないから、ちょっぴり自信をなくしちゃう。
けど、そんな事気にしてたらやっていけないよね。
わたしは頬をぱちぱちと叩いて、気合を入れた。
「もう行こー?[漢字]光が丘[/漢字][ふりがな]ひかりがおか[/ふりがな]は星学なんかよりずっと朝の着席時間が早いから、もう僕遅刻しちゃうよ!」
空ちゃんはそう言って、わたしの制服の裾をきゅっと掴んで玄関の扉を開けようとしていた。
光が丘とは、空ちゃんの通っている中高一貫校の事。実は、光が丘学園は星ノ宮学園の姉妹校なんだ。
この地域では珍しい中高一貫校がこの星ノ宮学園だから、この学園への入学志願者が多すぎた為、分裂し新しく「光が丘学園」という学園ができたという経緯がある。
偏差値的には、どちらも本当にどっこいどっこい。
若干本校の星ノ宮の方が偏差値は高いけど...それでも、それなりの学力を誇っている。
空ちゃんは、中学受験をする時星ノ宮学園を受験する予定だったらしいけど、当日体調を崩してしまっていけなくなってしまった為、第二志望だった光が丘を受験し、見事合格して入学した。
空ちゃんの学力があれば、余裕で星ノ宮学園くらい合格できたはずなのにな....
わたしは女子だから、当時男子校だった星ノ宮学園には入れなかったけど..
今学期から共学になる事が判明した為、わたしは即編入を決めた。あの学園で、ずっとやりたかった事があったから......
「ほらゆえねえ。行くよ。」
翔ちゃんはそう言って、わたしに手を差し出してくれた。
前には、お兄ちゃんと空ちゃんも居る。
星ノ宮学園で、いっぱい..楽しい思い出がつくれたらいいなっ....!
「うんっ...!」
わたしは力いっぱい笑った。
__________月の編入先は、全国でも名高い暴走族の3大勢力の属する危険いっぱいのマンモス校だった。
お兄ちゃんはそう言って、がくんと肩を落とした。
それに賛同するように、後ろに居たわたしと同学年の年子の弟の[漢字]翔[/漢字][ふりがな]しょう[/ふりがな]ちゃんと[漢字]空[/漢字][ふりがな]そら[/ふりがな]ちゃんと、お母さんまでもが心配そうな表情を浮かべている。
「そ、そんなに心配しなくても大丈夫だよ...!」
今まで一緒に格闘技を習ってきたお兄ちゃんは、わたしが強い子だって事を一番よくわかっていて、お母さんにはスパルタで小さい頃から勉強や作法、料理などを丁寧に厳しく教えてもらっていた。
そして翔ちゃんと空ちゃんも、そのわたしの姿を見ていたくれていたはず。
誰かに喧嘩を売られても、勉強でついていけなくなってしまう事もないと断言はできる。
それなのにどうして......そこまでわたしの事を心配してくれるのかな....?
「確かに、貴方が十分できる子なのはよくわかっているのだけれど....」
お母さんは綺麗な顔を歪ませてそう言った。
更には翔ちゃんと空ちゃんもわたしの服の裾をぎゅっと握って目をうるうると光らせている。
........うっ、かわいい.......
けど、もう決めたことなんだ。
わたしは4人を安心させるために、口を開いた。
「大丈夫だよ..!中等部には翔ちゃんが居るし、高等部にはお兄ちゃんも居るでしょ?だから安心だよ...!」
2人の頼もしい人が居てくれるんだ。空ちゃんは別の学校だけど.....それでも、頼もしい事に変わりはない。
わたしは顔の近くでぐっとガッツポーズをつくり、にこっと笑顔をみせた。
「........月、ほんとにわかってるか?今お前が転入しようとしているのは....『不良校』だぞ?」
そ、そんなの重々承知の上だよっ...!
その事を了承した上で、わたしはあの学園に転入しようって考えたんだ。
確かに物騒な名前のつけられた学園だなあとは思っちゃったけど....それでも、生徒と教師が混在していて、教育を受けられる『学園』という点では、何の問題もない。
「わかってるよ...!わたし、あの学園でやりたい事があるの....それに、お兄ちゃんも、翔ちゃんとも同じ学校でしょ?すっごく楽しみだよっ....!」
「......わかった。」
.......や、やった...!お兄ちゃん攻略...!
いつのタイミングからかはわからないけれど、わたしの中で勝手にラスボス認定されていたお兄ちゃんを攻略できた事に、わたしはほっと安堵の息を吐いた。
でも、それの束の間。
「ただし、今から俺が言う条件を呑んでくれ。」
...........っ、え....?
な、なんだろう.....
「絶対に、保健委員と放送委員、図書委員に体育委員には入らない事。」
その言葉に、わたしは少し耳を疑った。
保健と放送と図書と体育に入っちゃいけないの...?そ、それって結構入れる委員会が制限されると思うんだけど.......
そしてちらりと空ちゃんと翔ちゃんの方へ視線を移動させると、空ちゃんはよくわかんなそうな顔してるけど....
翔ちゃんは、なんだかすごく納得してるみたいに頷いていた。
ええっ.....な、なにか裏でもあったりするのかな....?
わたしはおそるおそる、お兄ちゃんに理由を聞いてみる事にした。
「そ、その委員会にはなにかあるの..?」
「.....こまかい事は気にしないでくれ。とにかく、その4つの委員会には入らない事。これが条件だ。」
....うう、ごまかされちゃった......
これ以上追求してもお兄ちゃんは絶対に吐かないとわかったわたしは、何も言わない事にした。
「あら、貴方たちまだ行ってなかったの!?」
ついさっき、「電話に出てくるわね」と言ってリビングへと戻っていったお母さんが、わたし達の居る玄関へ戻ってきた。
「[漢字]海[/漢字][ふりがな]うみ[/ふりがな]、翔ちゃんと一緒に月に[漢字]星学[/漢字][ふりがな]ほしがく[/ふりがな]の案内してあげるよのよ。」
うみとは、お兄ちゃんの事だ。
お母さんはそう言って、にこっと微笑んだ。
本当に、その笑顔にはわたしまでもがきゅんと胸がないてしまうほどに美しい。
こんなに綺麗なお母さんで...血も繋がってるのに、わたしは全然かわいくないから、ちょっぴり自信をなくしちゃう。
けど、そんな事気にしてたらやっていけないよね。
わたしは頬をぱちぱちと叩いて、気合を入れた。
「もう行こー?[漢字]光が丘[/漢字][ふりがな]ひかりがおか[/ふりがな]は星学なんかよりずっと朝の着席時間が早いから、もう僕遅刻しちゃうよ!」
空ちゃんはそう言って、わたしの制服の裾をきゅっと掴んで玄関の扉を開けようとしていた。
光が丘とは、空ちゃんの通っている中高一貫校の事。実は、光が丘学園は星ノ宮学園の姉妹校なんだ。
この地域では珍しい中高一貫校がこの星ノ宮学園だから、この学園への入学志願者が多すぎた為、分裂し新しく「光が丘学園」という学園ができたという経緯がある。
偏差値的には、どちらも本当にどっこいどっこい。
若干本校の星ノ宮の方が偏差値は高いけど...それでも、それなりの学力を誇っている。
空ちゃんは、中学受験をする時星ノ宮学園を受験する予定だったらしいけど、当日体調を崩してしまっていけなくなってしまった為、第二志望だった光が丘を受験し、見事合格して入学した。
空ちゃんの学力があれば、余裕で星ノ宮学園くらい合格できたはずなのにな....
わたしは女子だから、当時男子校だった星ノ宮学園には入れなかったけど..
今学期から共学になる事が判明した為、わたしは即編入を決めた。あの学園で、ずっとやりたかった事があったから......
「ほらゆえねえ。行くよ。」
翔ちゃんはそう言って、わたしに手を差し出してくれた。
前には、お兄ちゃんと空ちゃんも居る。
星ノ宮学園で、いっぱい..楽しい思い出がつくれたらいいなっ....!
「うんっ...!」
わたしは力いっぱい笑った。
__________月の編入先は、全国でも名高い暴走族の3大勢力の属する危険いっぱいのマンモス校だった。