美奈のことは好きだ、好きでどうしようもないくらいだ…でもここで言うのもな。

「い、いや好きでは…ないよ…仲がいいっていうかただの友達っていうか…」
「ふ〜ん」
萌はニヤニヤと僕と僕の後ろ斜め上を見た。

「え、あ…」僕は、頭の中で思考が止まっっていた。間が悪すぎるんだよなんで後ろに…

「美奈あの…その、え〜っと」

「ふんっ」
放課後、美奈のご機嫌取りに２時間かかった。

[水平線]

だんだん本番に近づいていく。近づくにつれて心臓の音がドクドクとおさまらない。
僕は土曜日の夕方一人部屋のベットの中でうずくまっていた。

『ポロン』

スマホの通知音が鳴った。はあ〜っと浅いような深いようなため息をしながら机の上にあるスマホを取る。

『今少しだけ会えないかな？』美奈からの連絡だ。

「わかった。公園で集合ね」軽く一言返して、僕の重かった体は少し軽くなった…そんな気がする。
僕はベットから体を起こして一階の洗面所で軽く髪を整えて、外でもギリギリセーフの寝巻きとスリッパで家を出た。

だんだん沈んでいく太陽と紅葉を見ながらちょっとだけスキップをする。
公園のベンチに腰をかけてスマホゲームをほんのちょっとプレイしていると、美奈が走ってきた。

「やっほー」

軽く僕の肩をパンチしながら絡んできた。

「お、おう。いきなりどうした？」
「うん？別に？特に用はないけど」
「いや、じゃあなんで呼んだ…」

「ちょっとまりくんの声を聞きたかったんだ」
「お、おう」

二人だけの公園はなんだか緊張する。でもやっぱり落ち着く。

「体育大会頑張れよ〜！フフン」
美奈の優しくて心が暖かくなるような笑顔が僕の緊張をほぐしてくれる。

「それなりに努力する」
「ふふ」
何かを考えていそうな顔で僕を笑う
「なんだよ」

「いや、なんかまりくんがかっこよく見えた」
「ん…だよ。いきなり僕を口説いてるの？」
僕は内心すごく照れていたが、顔に出ないようのグッとこらえた。

「逆に君を口説いていいの？」

「どういうこと？」
「ううん、なんでもないよ！」

美奈は照れているような、恥ずかしがっているような笑顔で見てくる…。夕日と美奈の笑顔のコラボは僕の心に重いジャブを打ち込んだ。

「きれいだ…」

「え？」

「あ！いや…その夕日がね…ほら？」思わず声に出てしまった…ああ、そうか…。
そうなんだ僕はどうやら重病なんだ。恋という名の病だ。

改めて理解した美奈が好きだと。

いろいろ30分くらい美奈と喋った。話の進む中でたびたび出てくる美奈の笑顔は忘れられなかった。
「じゃあ、またね！」大きく右手を挙げながら背伸びをしてバイバイをしてくる美奈の姿は夕日でよく見えなかった。

「ちょっと頑張ろうかな…」

だれもいない直線的な道路で独り言を言いながら僕は走り出した。



もちろん走るような格好ではなかったので汗だくのドロドロで事故でもあったみたいな姿で家に着いた。