私が消えたこの世界
「ここ」と宙さんは立ち止まって言った。
そこは普通の住宅街だ。特に嫌な雰囲気などはしない。
すると、急に嫌な空気が漂ってきた。
──茂みの奥に何か悪いものを感じる。
もしかして奴が……!
私は構えた。宙さんも構えていた。
「え?」
そこに現れたのは猫だった。
普通の猫ではない。ゆるキャラ感満載の猫だった。
つぶらな瞳。口は数字の“3”。太いと細いの中間あたりの体型。
しゅっとした長いしっぽをくねくねと動かし、目をぱちくりさせながら私たちを見つめている。
「かわいい……」
私は独り言のように言った。
「お、お前……」と宙さんがはっとした顔で言う。
あれがケイなのだろうか。もしもそうならば意外だ。こんな可愛い猫が私たちの存在を消してしまうなんて。
だけど、宙さんは「お前……ルイなのか……」と別の名前を言った。
「ル……イ……?」と私は首を傾げて言った。
宙さんは「ああ」と頷いた。
「て、てめー……! 深野宙か⁈」とルイという猫が言った。
声は女の子の声だ。見た目としっくり来る。しっくり来ないのは口調だ。意外と口が悪い。
「お前は誰だ?」と話を変えるように訊いてきた。
初対面の人に「お前は誰だ」とか言うか? と思ったが、今はそれどころではない。自己紹介をしないと。
「私は岡久ユキ」
「岡久ね。わーった。お前も存在消されたのか?」
「うん」
「初対面なのにタメ口とかおかしいだろ。深野、ちゃんと彼女を教育しろ」と言ってきた。
人の事言えないと思った。初対面の人に「お前は誰だ」とか。失礼なことばかり言う。
「お前もだろ。口が悪いところ早く治せ」
「こいつはルイ。ケイをよく知っている。だから毎回助けてくれるんだ」と説明してくれた。
「よろしく」
ルイはちっと舌打ちをして「ああ」と不機嫌そうに言った。
そこは普通の住宅街だ。特に嫌な雰囲気などはしない。
すると、急に嫌な空気が漂ってきた。
──茂みの奥に何か悪いものを感じる。
もしかして奴が……!
私は構えた。宙さんも構えていた。
「え?」
そこに現れたのは猫だった。
普通の猫ではない。ゆるキャラ感満載の猫だった。
つぶらな瞳。口は数字の“3”。太いと細いの中間あたりの体型。
しゅっとした長いしっぽをくねくねと動かし、目をぱちくりさせながら私たちを見つめている。
「かわいい……」
私は独り言のように言った。
「お、お前……」と宙さんがはっとした顔で言う。
あれがケイなのだろうか。もしもそうならば意外だ。こんな可愛い猫が私たちの存在を消してしまうなんて。
だけど、宙さんは「お前……ルイなのか……」と別の名前を言った。
「ル……イ……?」と私は首を傾げて言った。
宙さんは「ああ」と頷いた。
「て、てめー……! 深野宙か⁈」とルイという猫が言った。
声は女の子の声だ。見た目としっくり来る。しっくり来ないのは口調だ。意外と口が悪い。
「お前は誰だ?」と話を変えるように訊いてきた。
初対面の人に「お前は誰だ」とか言うか? と思ったが、今はそれどころではない。自己紹介をしないと。
「私は岡久ユキ」
「岡久ね。わーった。お前も存在消されたのか?」
「うん」
「初対面なのにタメ口とかおかしいだろ。深野、ちゃんと彼女を教育しろ」と言ってきた。
人の事言えないと思った。初対面の人に「お前は誰だ」とか。失礼なことばかり言う。
「お前もだろ。口が悪いところ早く治せ」
「こいつはルイ。ケイをよく知っている。だから毎回助けてくれるんだ」と説明してくれた。
「よろしく」
ルイはちっと舌打ちをして「ああ」と不機嫌そうに言った。