私が消えたこの世界
#1
──何故、私は存在するのか。
もし、存在しなかったらどんな世界になっていたのか。
私が異変に気付いたのはある日の帰宅後だった。
「ただいま」と言っても誰も「おかえり」と言ってくれなかった。
おそるおそる中に入る。
リビングに行くと全員いた。
「ただいま」と再び言うが、返事はせず、怪訝な顔をする。
母の口が開き、一言、「誰?」と言った。
「わ、私はユキ。[漢字]岡久[/漢字][ふりがな]おかひさ[/ふりがな]ユキ!」
必死に言ったが、「そんな子、うちにいたかしら?」と更に不審そうな顔をする。
すると、妹がありえないことを言った。
「誰?勝手に人の家に入ってこないで。気持ち悪い!」
「え……」
いつもは「お姉ちゃんおかえりー!」と抱きついてきたのに。
そんな事、一度も言わなかったのに。
私は悲しくなって、家を後にした。
走り続けた。
辺りは暗くなり、寒くなってきた。
既に夜の町になっていて、一人も歩いていない。
「ここ、どこ……?」
何も考えずに走り続けたので、迷ってしまった。
どうしよう。このままでは……
私はその場でうずくまった。
すると、背後から足音が聞こえ、思わず振り返った。
そこには男性がひとり立っていた。
その人は私の顔を見て、「存在しない人?」と意味不明な事を言った。
「え?」
「あ、ごめん。どうしたの?」
私は家で起こった出来事を丁寧に説明した。
「そんな事があったのか……実は、俺も同じ。」
簡単に言うと、その人は父と二人暮らしらしく、帰宅すると父が不審な顔をして「誰?」と言い、家を追い出されたらしい。
「同じ事が、あったのか……」
同じ人がいてほっとした気持ちと、どうしようという気持ちが込み上げてきた。
「取り敢えず、俺の家、来て。」
一瞬、不審に思ったが、何故か安心した。
「はい……」
あれ?家にお父さんがいるんじゃなかったっけ?見知らぬ私が行っても大丈夫なのかな?と思ったが、「大丈夫。父は力ずくで追い出したから。」と私の思っている事が分かったかのように言った。
「おじゃまします。」
「あの、この世界ってどうなってるんですか?」
「奴が来たんだよ」と険しい表情で言う。
「奴って……?」
「奴というのはケイという奴のことだ。ケイとは、何年かに一度、来るんだよ。存在を消しに。」
「何故私達が選ばれたんですか?」
私は興味津々だった。
「ランダム。」彼は一言しか言わなかった。
「元に戻すには、ケイを探すしかない。手伝ってくれ……名前は?」
「私は、岡久ユキです。」
「俺は[漢字]深野 宙[/漢字][ふりがな]ふかの そら[/ふりがな]」
気づいたら朝だった。
「朝だ。学校に行かないと」
クラスメイトは私の事、分かるかな?
すると、腕を掴まれた。
「駄目だ。学校に行くな。」
「何故?」
「誰も憶えていない。下手すると不審者扱いされる。」
私は想像した。
確かに知らない人だと思われているから不審者扱いされるな。
「取り敢えず、探さないと。大体いる場所は分かる。」
「なぜ分かるんですか?」
「何回も存在を消されたから。」と宙さんは自信満々に言った。
もし、存在しなかったらどんな世界になっていたのか。
私が異変に気付いたのはある日の帰宅後だった。
「ただいま」と言っても誰も「おかえり」と言ってくれなかった。
おそるおそる中に入る。
リビングに行くと全員いた。
「ただいま」と再び言うが、返事はせず、怪訝な顔をする。
母の口が開き、一言、「誰?」と言った。
「わ、私はユキ。[漢字]岡久[/漢字][ふりがな]おかひさ[/ふりがな]ユキ!」
必死に言ったが、「そんな子、うちにいたかしら?」と更に不審そうな顔をする。
すると、妹がありえないことを言った。
「誰?勝手に人の家に入ってこないで。気持ち悪い!」
「え……」
いつもは「お姉ちゃんおかえりー!」と抱きついてきたのに。
そんな事、一度も言わなかったのに。
私は悲しくなって、家を後にした。
走り続けた。
辺りは暗くなり、寒くなってきた。
既に夜の町になっていて、一人も歩いていない。
「ここ、どこ……?」
何も考えずに走り続けたので、迷ってしまった。
どうしよう。このままでは……
私はその場でうずくまった。
すると、背後から足音が聞こえ、思わず振り返った。
そこには男性がひとり立っていた。
その人は私の顔を見て、「存在しない人?」と意味不明な事を言った。
「え?」
「あ、ごめん。どうしたの?」
私は家で起こった出来事を丁寧に説明した。
「そんな事があったのか……実は、俺も同じ。」
簡単に言うと、その人は父と二人暮らしらしく、帰宅すると父が不審な顔をして「誰?」と言い、家を追い出されたらしい。
「同じ事が、あったのか……」
同じ人がいてほっとした気持ちと、どうしようという気持ちが込み上げてきた。
「取り敢えず、俺の家、来て。」
一瞬、不審に思ったが、何故か安心した。
「はい……」
あれ?家にお父さんがいるんじゃなかったっけ?見知らぬ私が行っても大丈夫なのかな?と思ったが、「大丈夫。父は力ずくで追い出したから。」と私の思っている事が分かったかのように言った。
「おじゃまします。」
「あの、この世界ってどうなってるんですか?」
「奴が来たんだよ」と険しい表情で言う。
「奴って……?」
「奴というのはケイという奴のことだ。ケイとは、何年かに一度、来るんだよ。存在を消しに。」
「何故私達が選ばれたんですか?」
私は興味津々だった。
「ランダム。」彼は一言しか言わなかった。
「元に戻すには、ケイを探すしかない。手伝ってくれ……名前は?」
「私は、岡久ユキです。」
「俺は[漢字]深野 宙[/漢字][ふりがな]ふかの そら[/ふりがな]」
気づいたら朝だった。
「朝だ。学校に行かないと」
クラスメイトは私の事、分かるかな?
すると、腕を掴まれた。
「駄目だ。学校に行くな。」
「何故?」
「誰も憶えていない。下手すると不審者扱いされる。」
私は想像した。
確かに知らない人だと思われているから不審者扱いされるな。
「取り敢えず、探さないと。大体いる場所は分かる。」
「なぜ分かるんですか?」
「何回も存在を消されたから。」と宙さんは自信満々に言った。
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