（よし、背後を取った…！昔から気配を消すのは得意だったんだよな…）
オレはゾムさんの後頭部に銃口を当てたまま、素早く引き金を引く。…それで終わりのはずだった。

「[大文字]ゾムさん！！[/大文字]」

誰かの声が聞こえたかと思った瞬間、視界が目まぐるしく変化した。銃口は[漢字]空に向けられたまま[/漢字][ふりがな]・・・・・・・・・[/ふりがな]発射される。
「…え？」
後ろに引っ張られた――…少し遅れてそう理解し、慌てて立ち上がって背後を向く。そこには…エーミールさんが立っていた。
「どうやら私の存在を忘れていたようですね。戦場ではそれが仇となりますよ」
「うっ…そうですよね…」
あぁ、終わった…きっとエミさんは優しいからオレを殺らなかっただけで、いつでもオレを殺るチャンスはあっｔ…
「エーミールお前、武器はどうしたんや？？」
「ぞ、ゾムさん！それは言わないお約束…」
「どうせ芋って置いてきたんやろｗ」
コネシマさんの指摘に、エミさんはあからさまに顔をそらした。
「…」
「やめてレパロウ君、そんな目で見ないで？！」
「さよなら」
「あびゃっ？！」
オレは極めて冷静にエミさんを撃った。[小文字][小文字]これからエーミールって呼ぼ（）[/小文字][/小文字]
「おまっ、よくもエーミールを！！」
「？！ゾムそれはアカンて！！レパ、逃げろ！！」
コネシマさんが叫ぶ。ゾムさんはオレの方へ一直線に走ってきた。わけの分からぬままオレはとりあえず距離を取る。
「行くぜ！！」
「あいつホンマにやりやがった…死ぬなよレパ！って、オレのほうが死ｎ…」
「コネシマ脱落めぅ〜」
ペ神さんにコネシマさんが連れて行かれていく。彼の首元には、浅い切り傷がついていた。
「コネシマさん！！……？」
何かがピンと張る気配を感じ、思わず足を止める。
「ふ〜ん、今のよく引っかからんかったな？」
ゾムさんの声がする。おそらく背後にいるのだろう。
「でもまぁ、どっちにしろお前は終わりや。コネシマも、もう仕留めたしな」
「…もしかして、"ワイヤー"？」
「おっ、ようわかったな！一歩でも動いたらお前は死ぬ。そこで黙ってオレがシャオロンを仕留めるところでも見てると良いぜ！！」
「？！そんなのっ…」
「えぇんか？今動いたら…」
ゾムさんはニヤリと笑い、とんでもないことを言ってのける。



「…爆弾炸裂するぜ？」



「…はぁ？！」
左端に何かが見えた気がして、そちらに目を向けた。…爆弾の配線に、ワイヤーがくくりつけてある。それは全て、オレの周りに張り巡らされていた。
（終わった…）
「それじゃオレはもう行くぜ！！」
意気揚々と走り去っていくゾムさん。オレは祈るようにシャオさんのほうをみた――…


続く…