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お隣の花屋さんと僕

#2

パーカーのフードを被り、雨の中を行く。


けれど、バケツを引っくり返したような雨は、その行為すらも踏み躙るようだった。

少し先も見えない、真っ白な豪雨。

その音と感触に、重圧すらも感じるほどだった。

ざぁざぁと降る雨に、そろそろ薄ら寒さを感じるようになった頃、道の先に人影が見えた。

(こんな天気の時に外出か?)

しかも、その人影は此方に向かってくるではないか。
母さん?と思ったが、母は今仕事の筈だ。

その人物は、傘を差しながら此方へ喋りかけてきた。











「黒瀬さんですか?大丈夫でしょうか?」




声の主は榎本えもとさんだった。

「榎本さん、、、!?」
僕は吃驚しつつも話を続ける。

いやぁ、と榎本さんが話始める。


「実はですね、別れた後、貴方が傘を持っていないことに気がついたんですよ。天気予報アプリの予測では、『急な豪雨に注意』とあったので、もしかしたらな、と思いまして。案の定、豪雨が降り始めたので、黒瀬さんの向かった方向へ向かいに行ってみたんです。」


そう言っている間にも、榎本さんは僕を傘に入れてくれた。

成程、だから家に帰る道で会えたのか。

「...有難う御座います。助かりました。」
「いえいえ。お隣さんですし。」

そうして僕らは帰路を辿った。



[水平線]


(家の近くにて)

「榎本さん、本当に有難う御座いました。」
「だからいいよって。いつでもお兄さんを頼っていいからね。」

榎本さんは茶目っ気たっぷりにウィンクしてそう言った。
しかし、次の言葉で僕は驚愕することになる。



「あ、良かったらうち店来るかい?」

「え?」

は????


この方榎本さんは何を言っているんだろう。

「あ、あの、失礼なんですが、今日引っ越されてきたばかりですよね、、、?」

「え?ああ、そっか」
榎本さんは一人で納得したようだ。

「僕はねぇ、約一ヶ月前からこの店の準備をしてたんだ。」

店??

榎本さんは僕の心を読んだかのように言った。

「あっ、店っていうのはね、君の隣の一軒家の事。ここを僕が買い取って、花屋をすることになったんだ。」

花屋を経営するのは僕の夢でねぇ、と続けていく。

「今朝、トラックが多く止まっていただろう?あれは花の仕入れだ。」

成程、そういうことか!

「じゃあつまり、店の準備自体は前々から進んでいて、そろそろ開店するからここに住もうとしていた、若しくは準備をしていた、ってことですか?」

「ま、そういう事〜」

それで、寄っていくかい?と、もう一度聞かれた。
母や父、兄弟が帰ってくるまでまだ時間がある。

「じゃあお言葉に甘えて...。」

そうして僕は、このお店榎本さん家の初めての客となった。


(次回へ)

作者メッセージ

お早う御座います。若しくはこんばんわ。きつねそばです。

結構大容量ですかね、、、?
読みづらいと思った方いましたら、ご気軽にコメント下さい。

また次回で。

2025/01/28 07:30

―:きつねそば:― ID:≫.5bOh3UWWE1ho
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