二次創作
我々だ短編(多分)集!
円尾坂の片隅にある仕立て屋は若い主人が1人で経営していた
気立ての良さと確かな腕で近所でも評判がいい人だった
そんな彼の悩み事は、“愛するあの人”の浮気症
ゾム「俺というものがありながら家に帰ってきやしない…」
客「また奥さんのことですか?」
客「まだお帰りにならないんですね」
ゾム「せやねん…どこにおるのかも分からへん…」
ゾム「でも仕事は頑張らな!」
客「無理しないでくださいね」
ゾム「分かっとるって!」
彼が使っている鋏は母親の形見で、研げば研ぐほどよく切れるものだった
ゾム「あいからわずこの街は平和やなぁ」
ゾム「え…あれって」
大通りの先に、“あの人”を見かけた
ゾム「…隣の男は一体誰?」
赤いマフラーがよく似合う、男前なやつと仲睦まじそうに話していた
ゾム「まだ冬でもないのにマフラー?」
ゾム「…何でそんな仲良さそうに歩いてるんや」
彼はこらえきれず、その場を足早に離れた
ゾム「何でなん?俺がおるのに、あんな男と浮気しとったん?」
ゾム「…でも仕事は頑張らな」
ゾム「マフラーの縫直しをせなあかんねやから…」
頬を涙で濡らしながら、鋏を片手に仕事に精を出した
次の日、街は何やら不穏な空気だった
ゾム「何かあったん?」
町人「昨日の夜、ここらへんで事件が起こったらしい」
ゾム「事件?どんな事件が」
町人「こっちも詳しくはしらないんだよ」
ゾム「そっか…あんがと」
町人「しばらく気を付けたほうがいいからな!」
ゾム「お互い様にな!」
ゾム「……橋の上にいるのって」
橋の前で“あの人”を見かけた
ゾム「…隣の男は一体誰?」
落ち込んだ様子の”あの人”に寄り添う糸目をした綺麗な男
緑の帽子がよく似合っている
ゾム「…ふーん、そんな男が好みなんや」
ゾム「俺は放って置かれとんのに…」
ゾム「…でも仕事は頑張らな」
ゾム「今日は帽子の修繕か」
目を赤く腫らしながら、鋏を片手に仕事に精を出した
次の日、街は前日にもまして騒がしくなっていた
ゾム「またなにかあったん?」
町人「どうやら、また事件が起きたらしい」
ゾム「今回はどんな事件か分かっとるん?」
町人「いや、警察が来ているところまでは分かるんだけど…それ以上は」
ゾム「…そっか、なんだか怖いな」
ゾム「今日は布の仕入れに行かんと…」
ゾム「……何でや」
服屋で“あの人”を見かけた
ゾム「…隣の男は一体誰?」
“あの人”は年端もいかぬ男の子に黄色いオーバーオールを買い与えていた
ゾム「一体何をしようというんや?」
ゾム「本当に見境が無いんやな…」
ゾム「でも仕事は頑張らな」
鋏を片手に…
ゾム「…鋏の色ってこんなやったっけ?」
ゾム「まぁええわ、仕事せな」
鋏を片手に仕事に精を出した
ゾム「ようやっと仕事も一段落したわ!」
会いに来てくれないのなら
ゾム「こっちから会いに行ってやるわ」
ゾム「準備はできたからな…」
彼は赤いマフラー、緑の帽子、黄色いオーバーオールを身に着けていた
ゾム「おまえ好みの男になったで」
[中央寄せ][大文字]どう?俺、かっこええやろ?[/大文字][/中央寄せ]
今日は町中が大騒ぎだった
ゾム「どうしたんや…?」
町人「どうやら最近の事件って殺人事件だったらしくってさ、」
町人「今まで男が殺され続けて、今度は女が殺されたって」
[中央寄せ]これで[大文字][大文字]“家族四人”[/大文字][/大文字]が何者かに殺されたらしい[/中央寄せ]
ゾム「そうなんや…残酷な事件やな」
町人「警察が一家になにか恨みがあるものの犯行と見て捜査してるらしい」
ゾム「可愛そうやな……」
町人「お前はなにかと人と接するから恨みを買う可能性もあるし、気を付けな」
ゾム「せめて殺されんように護身術ぐらい学んどかな!」
町人「ハッハッハ!その調子なら平気そうだな!」
ゾム「当たり前やろ!」
ゾム「…それにしてもひどい人やったな」
ゾム『どう?俺、かっこええやろ?』
あの人『…?えっと…』
[中央寄せ][大文字]はじめまして、こんにちは[/大文字][/中央寄せ]
ゾム『…は?』
あの人『どこかでお会いしたことありましたか……?』
ゾム『なんや…それ…』
ゾム(まるで…)
[中央寄せ][大文字][大文字]まるで他人みたいやんか[/大文字][/大文字][/中央寄せ]
ゾム「でも、仕事は頑張らな」
鋏を片手に仕事を始めた
赤く染まった裁縫バサミは、研げば研ぐほどよく切れる
気立ての良さと確かな腕で近所でも評判がいい人だった
そんな彼の悩み事は、“愛するあの人”の浮気症
ゾム「俺というものがありながら家に帰ってきやしない…」
客「また奥さんのことですか?」
客「まだお帰りにならないんですね」
ゾム「せやねん…どこにおるのかも分からへん…」
ゾム「でも仕事は頑張らな!」
客「無理しないでくださいね」
ゾム「分かっとるって!」
彼が使っている鋏は母親の形見で、研げば研ぐほどよく切れるものだった
ゾム「あいからわずこの街は平和やなぁ」
ゾム「え…あれって」
大通りの先に、“あの人”を見かけた
ゾム「…隣の男は一体誰?」
赤いマフラーがよく似合う、男前なやつと仲睦まじそうに話していた
ゾム「まだ冬でもないのにマフラー?」
ゾム「…何でそんな仲良さそうに歩いてるんや」
彼はこらえきれず、その場を足早に離れた
ゾム「何でなん?俺がおるのに、あんな男と浮気しとったん?」
ゾム「…でも仕事は頑張らな」
ゾム「マフラーの縫直しをせなあかんねやから…」
頬を涙で濡らしながら、鋏を片手に仕事に精を出した
次の日、街は何やら不穏な空気だった
ゾム「何かあったん?」
町人「昨日の夜、ここらへんで事件が起こったらしい」
ゾム「事件?どんな事件が」
町人「こっちも詳しくはしらないんだよ」
ゾム「そっか…あんがと」
町人「しばらく気を付けたほうがいいからな!」
ゾム「お互い様にな!」
ゾム「……橋の上にいるのって」
橋の前で“あの人”を見かけた
ゾム「…隣の男は一体誰?」
落ち込んだ様子の”あの人”に寄り添う糸目をした綺麗な男
緑の帽子がよく似合っている
ゾム「…ふーん、そんな男が好みなんや」
ゾム「俺は放って置かれとんのに…」
ゾム「…でも仕事は頑張らな」
ゾム「今日は帽子の修繕か」
目を赤く腫らしながら、鋏を片手に仕事に精を出した
次の日、街は前日にもまして騒がしくなっていた
ゾム「またなにかあったん?」
町人「どうやら、また事件が起きたらしい」
ゾム「今回はどんな事件か分かっとるん?」
町人「いや、警察が来ているところまでは分かるんだけど…それ以上は」
ゾム「…そっか、なんだか怖いな」
ゾム「今日は布の仕入れに行かんと…」
ゾム「……何でや」
服屋で“あの人”を見かけた
ゾム「…隣の男は一体誰?」
“あの人”は年端もいかぬ男の子に黄色いオーバーオールを買い与えていた
ゾム「一体何をしようというんや?」
ゾム「本当に見境が無いんやな…」
ゾム「でも仕事は頑張らな」
鋏を片手に…
ゾム「…鋏の色ってこんなやったっけ?」
ゾム「まぁええわ、仕事せな」
鋏を片手に仕事に精を出した
ゾム「ようやっと仕事も一段落したわ!」
会いに来てくれないのなら
ゾム「こっちから会いに行ってやるわ」
ゾム「準備はできたからな…」
彼は赤いマフラー、緑の帽子、黄色いオーバーオールを身に着けていた
ゾム「おまえ好みの男になったで」
[中央寄せ][大文字]どう?俺、かっこええやろ?[/大文字][/中央寄せ]
今日は町中が大騒ぎだった
ゾム「どうしたんや…?」
町人「どうやら最近の事件って殺人事件だったらしくってさ、」
町人「今まで男が殺され続けて、今度は女が殺されたって」
[中央寄せ]これで[大文字][大文字]“家族四人”[/大文字][/大文字]が何者かに殺されたらしい[/中央寄せ]
ゾム「そうなんや…残酷な事件やな」
町人「警察が一家になにか恨みがあるものの犯行と見て捜査してるらしい」
ゾム「可愛そうやな……」
町人「お前はなにかと人と接するから恨みを買う可能性もあるし、気を付けな」
ゾム「せめて殺されんように護身術ぐらい学んどかな!」
町人「ハッハッハ!その調子なら平気そうだな!」
ゾム「当たり前やろ!」
ゾム「…それにしてもひどい人やったな」
ゾム『どう?俺、かっこええやろ?』
あの人『…?えっと…』
[中央寄せ][大文字]はじめまして、こんにちは[/大文字][/中央寄せ]
ゾム『…は?』
あの人『どこかでお会いしたことありましたか……?』
ゾム『なんや…それ…』
ゾム(まるで…)
[中央寄せ][大文字][大文字]まるで他人みたいやんか[/大文字][/大文字][/中央寄せ]
ゾム「でも、仕事は頑張らな」
鋏を片手に仕事を始めた
赤く染まった裁縫バサミは、研げば研ぐほどよく切れる