二次創作
我々だ短編(多分)集!
腐臭漂うある館にはとある噂があった
「館にはゲテモノ食らいの悪食主人がいる」
「年に何人ものシェフが逃げ出している」
「館に入ったら2度と笑顔で食事をとることが出来なくなる」
トン「今日も最後の晩餐を始めるで!」
トン「シェフ、今日のメニューは?」
大先「…こちらですぅ」
テーブルの上には身の毛もよだつ料理の数々が並べられた
トン「ええやん、いただきます!」
ひとり笑顔で食い漁る男の名前はトントン
かつてこの世の美食を極め、その果てに彼が求めたのは
[中央寄せ][大文字]“究極にして至高の悪食”[/大文字][/中央寄せ]
ゾム「なーなー」
グル「どうしたんだ」
ゾム「トントンを称えるための短い曲を作ってみてん、聴いてくれや」
グル「面白そうだ!どんな歌なんだ?」
[中央寄せ]敬い讃えよ[/中央寄せ]
[中央寄せ]我らが偉大なおトントン[/中央寄せ]
[中央寄せ]この世界の食物は[/中央寄せ]
[中央寄せ]全てがあなたの為にある[/中央寄せ]
ゾム「…どうや?」
グル「なかなかいいんじゃないか?おトントンが少しばかり気になるが」
ゾム「ええやろ!今度から飯のたびに歌ってやろうぜ!」
トン「やかましいわ、やめろ」
ゾム「なんでや!ええやん!毎回リメイクもしたるで?」
グル「せっかくゾムが作ってくれたんだぞ?」
トン「お前ら主人の言う事聞けや」
ゾム「…せっかく考えたのに」
トン「召使は召使らしく主人の言うことに黙って従ってくださーい」
トン「ほら、あっちいけ」
ゾム「はーい…」
トン「…さて、晩餐の続きやな」
トン「胃袋にはまだま空きがあるんやけど、他のメニューはあるん?」
大先「あとは…このスープだけやね」
トン「何で2杯あるん?2杯とも飲んでええやつ?」
大先「いや、もう1杯はボクの分ですね」
大先「たまには共に食事をしましょうや」
トン「ええやん!一緒になんて何年ぶりやろなぁ」
大先「“あの頃”以来ですね」
トン「小さい頃、お前が俺から“逃げた”前…やな」
大先[小文字][小文字]「…もう逃げへんわ」[/小文字][/小文字]
トン「…?なんか言ったか?」
大先「いや、なんでもないわ」
大先「やめよか、この話」
トン「せやな、スープが冷めてまう」
ト・大「いただきます」
[中央寄せ][大文字]カシャーン[/大文字][/中央寄せ]
大先「ゴホッゴホッ…」
トン「どうしたん?」
大先「…何でや?」
トン「なぁ、お前…スープに毒を盛ったん?」
トン「俺に毒は効かへんわ」
トン「…なんで“両方のスープ”に毒を盛ったんや」
大先「1人で…逝かせたく…なかったんや」
大先「ボクも…逃げずに…一緒に…2人で……」
トン「逃げずに一緒に2人で?…違うやろ」
トン「またお前は逃げたんや俺を置いて」
大先「そん……な………」
トン「…」
大先『そろそろお暇をもらえませんか?』
トン『なんでや』
大先『一度…親に顔を見せたくて』
トン『そう言って帰ってこなかったシェフが今まで何人おると思う?』
トン『お前も俺から逃げるつもりなん?』
大先『…そういうわけではないんです』
トン『……ええわ、明後日から1ヶ月の休暇を与えてやるわ』
トン[小文字]『別に、また新しいシェフを雇えばいいわけやし』[/小文字]
大先『…ありがとうございます』
トン「これで15人目や」
トン「でもな、この館で死んだのはお前が初めてや」
トン「…今夜は最高の晩餐になるな」
グル「シェフがいなくなってしまったし、我々で調理しよう」
トン「任せたわ」
[中央寄せ]敬い讃えよ[/中央寄せ]
[中央寄せ]我らが偉大なおトントン[/中央寄せ]
[中央寄せ]裏切り者には[/中央寄せ]
[中央寄せ]報いを受けていただきましょう[/中央寄せ]
トン「だからその歌やめろって」
ゾム「せっかくいいリメイク思いついたんやもん!一回ぐらいええやん」
トン「せめておトントンをどうにかしろよ」
ゾム「お気に入りポイントやから絶対に変えへん」
トン「…分かったわ、あっちいけ」
ゾム「なんでいっつも俺ばっかり外に出されんのや!」
トン「今まではグルッペンも一緒に出してた」
トン「今回はグルッペンがシェフの代わりだから残るんや」
ゾム「ちぇ〜」
トン「はぁ〜…メニューは?」
グル「今回のは特別製だぞ」
テーブルの上には、今までと少し違う料理が並べられた
トン「ええなぁ!いただきます!」
トン「この青白く輝く毛髪、オードブルのサラダにちょうどええな!」
グル「だろう!」
トン「うまいなぁ……」
彼の頬に流れた一筋の涙に気付く者は、誰もいなかった
トン「…足りひん」
グル「しかし、食材は全部使い切ったぞ」
トン「……そうや、足りなければ」
[中央寄せ][大文字]「おかわり」すればいい[/大文字][/中央寄せ]
トン「ちょっとグルッペン」
グル「どうし」
トン「お前はどんな味がするんや?」
いつの間にか、館はもぬけの殻になっていた
何も無いし彼以外誰ももういない
それでも彼は求め続けた
[中央寄せ][大文字]“究極にして至高の悪食”[/大文字][/中央寄せ]
トン「何か…何か食えるもんは無いんか?」
ふと、彼は自らの右手を見た
そして静かに微笑んだ
トン「マダ タベルモノ アルヤンケ」
彼の最後の悪食
食材は[大文字]“彼自身”[/大文字]
食を極めたその身体の味を知るものはすでにいない
腐臭が漂っていたある館には、とある噂がながれた
「館の中にはゲテモノぐらいの悪食主人がいた」
「ある日突然1人残らず、家具すら残らず全部消えた」
「まるで、“誰か”が食い散らかしたような跡しか残らずに」
「館にはゲテモノ食らいの悪食主人がいる」
「年に何人ものシェフが逃げ出している」
「館に入ったら2度と笑顔で食事をとることが出来なくなる」
トン「今日も最後の晩餐を始めるで!」
トン「シェフ、今日のメニューは?」
大先「…こちらですぅ」
テーブルの上には身の毛もよだつ料理の数々が並べられた
トン「ええやん、いただきます!」
ひとり笑顔で食い漁る男の名前はトントン
かつてこの世の美食を極め、その果てに彼が求めたのは
[中央寄せ][大文字]“究極にして至高の悪食”[/大文字][/中央寄せ]
ゾム「なーなー」
グル「どうしたんだ」
ゾム「トントンを称えるための短い曲を作ってみてん、聴いてくれや」
グル「面白そうだ!どんな歌なんだ?」
[中央寄せ]敬い讃えよ[/中央寄せ]
[中央寄せ]我らが偉大なおトントン[/中央寄せ]
[中央寄せ]この世界の食物は[/中央寄せ]
[中央寄せ]全てがあなたの為にある[/中央寄せ]
ゾム「…どうや?」
グル「なかなかいいんじゃないか?おトントンが少しばかり気になるが」
ゾム「ええやろ!今度から飯のたびに歌ってやろうぜ!」
トン「やかましいわ、やめろ」
ゾム「なんでや!ええやん!毎回リメイクもしたるで?」
グル「せっかくゾムが作ってくれたんだぞ?」
トン「お前ら主人の言う事聞けや」
ゾム「…せっかく考えたのに」
トン「召使は召使らしく主人の言うことに黙って従ってくださーい」
トン「ほら、あっちいけ」
ゾム「はーい…」
トン「…さて、晩餐の続きやな」
トン「胃袋にはまだま空きがあるんやけど、他のメニューはあるん?」
大先「あとは…このスープだけやね」
トン「何で2杯あるん?2杯とも飲んでええやつ?」
大先「いや、もう1杯はボクの分ですね」
大先「たまには共に食事をしましょうや」
トン「ええやん!一緒になんて何年ぶりやろなぁ」
大先「“あの頃”以来ですね」
トン「小さい頃、お前が俺から“逃げた”前…やな」
大先[小文字][小文字]「…もう逃げへんわ」[/小文字][/小文字]
トン「…?なんか言ったか?」
大先「いや、なんでもないわ」
大先「やめよか、この話」
トン「せやな、スープが冷めてまう」
ト・大「いただきます」
[中央寄せ][大文字]カシャーン[/大文字][/中央寄せ]
大先「ゴホッゴホッ…」
トン「どうしたん?」
大先「…何でや?」
トン「なぁ、お前…スープに毒を盛ったん?」
トン「俺に毒は効かへんわ」
トン「…なんで“両方のスープ”に毒を盛ったんや」
大先「1人で…逝かせたく…なかったんや」
大先「ボクも…逃げずに…一緒に…2人で……」
トン「逃げずに一緒に2人で?…違うやろ」
トン「またお前は逃げたんや俺を置いて」
大先「そん……な………」
トン「…」
大先『そろそろお暇をもらえませんか?』
トン『なんでや』
大先『一度…親に顔を見せたくて』
トン『そう言って帰ってこなかったシェフが今まで何人おると思う?』
トン『お前も俺から逃げるつもりなん?』
大先『…そういうわけではないんです』
トン『……ええわ、明後日から1ヶ月の休暇を与えてやるわ』
トン[小文字]『別に、また新しいシェフを雇えばいいわけやし』[/小文字]
大先『…ありがとうございます』
トン「これで15人目や」
トン「でもな、この館で死んだのはお前が初めてや」
トン「…今夜は最高の晩餐になるな」
グル「シェフがいなくなってしまったし、我々で調理しよう」
トン「任せたわ」
[中央寄せ]敬い讃えよ[/中央寄せ]
[中央寄せ]我らが偉大なおトントン[/中央寄せ]
[中央寄せ]裏切り者には[/中央寄せ]
[中央寄せ]報いを受けていただきましょう[/中央寄せ]
トン「だからその歌やめろって」
ゾム「せっかくいいリメイク思いついたんやもん!一回ぐらいええやん」
トン「せめておトントンをどうにかしろよ」
ゾム「お気に入りポイントやから絶対に変えへん」
トン「…分かったわ、あっちいけ」
ゾム「なんでいっつも俺ばっかり外に出されんのや!」
トン「今まではグルッペンも一緒に出してた」
トン「今回はグルッペンがシェフの代わりだから残るんや」
ゾム「ちぇ〜」
トン「はぁ〜…メニューは?」
グル「今回のは特別製だぞ」
テーブルの上には、今までと少し違う料理が並べられた
トン「ええなぁ!いただきます!」
トン「この青白く輝く毛髪、オードブルのサラダにちょうどええな!」
グル「だろう!」
トン「うまいなぁ……」
彼の頬に流れた一筋の涙に気付く者は、誰もいなかった
トン「…足りひん」
グル「しかし、食材は全部使い切ったぞ」
トン「……そうや、足りなければ」
[中央寄せ][大文字]「おかわり」すればいい[/大文字][/中央寄せ]
トン「ちょっとグルッペン」
グル「どうし」
トン「お前はどんな味がするんや?」
いつの間にか、館はもぬけの殻になっていた
何も無いし彼以外誰ももういない
それでも彼は求め続けた
[中央寄せ][大文字]“究極にして至高の悪食”[/大文字][/中央寄せ]
トン「何か…何か食えるもんは無いんか?」
ふと、彼は自らの右手を見た
そして静かに微笑んだ
トン「マダ タベルモノ アルヤンケ」
彼の最後の悪食
食材は[大文字]“彼自身”[/大文字]
食を極めたその身体の味を知るものはすでにいない
腐臭が漂っていたある館には、とある噂がながれた
「館の中にはゲテモノぐらいの悪食主人がいた」
「ある日突然1人残らず、家具すら残らず全部消えた」
「まるで、“誰か”が食い散らかしたような跡しか残らずに」