人間ですが、獣人専用高校で結ばれました
それから一週間、私は仕事を早退し続けた。
本当に、職場の皆さんには頭が上がらない。
隼人の体調が悪くなったときにすぐ気付けるように、私は隼人と同じ部屋で過ごした。
きっと大丈夫。何とか1日1日を乗り越えて、明日でやっと一週間。
待ちわびたその日を、やっと、やっと迎えてーーーー
「どういうことですか!?!?」
「落ち着いて!落ち着くんだ、歩美ちゃん」
「だって、そんな!そんなっ......」
そんなこと言われて、落ち着いてなんかいられない。
一週間後。薬が支給されると聞いたのに、まだ一週間かかるだなんて。
あまり表には出さないけれど、日に日に隼人は衰弱していっている。
あと一週間なんて、待てない。無理だ。
「何とかならないんですか!?」
辛いのは私だけじゃない。隼人だけじゃない。
他にもウイルスに感染した人はいるし、心配している人だっているし、もちろん蒼馬さんだって辛いはずだ。
でもそんなことを考えられないほど、私はパニックになっていた。
「...隣町」
ぽつりと蒼馬さんがこぼした声に、私は動きを止める。
もしかして、何か方法がある?
私を見下ろして、蒼馬さんは苦い顔をし、しぶしぶ口を開いた。
「隣町に、ウイルスに効く薬草が売っているそうだ」
「隣町......」
「本当に効果があるかは分からないよ」
「行きます」
「......ここから東の、人間差別が酷い獣人の町。歩美ちゃんが行くのは危険だ」
「行きます」
私がそう言うのが分かっていたのか、蒼馬さんは複雑そうな顔でうめいた。
「ぐうう。行かせたら絶対隼人に怒られる......」
「私が怒られますから大丈夫です。それに、怒られるもなにも、彼が元気じゃないと。心配なのは蒼馬さんも一緒でしょう?」
最後のダメ押し。結果は分かりきっている。
私の勝利だ。
蒼馬さんはため息をついた。やれやれと首を降られる。
「......はあ。分かったよ。僕のローブを貸してあげる。消防士用のちょっといいやつだ」
「蒼馬さん!ありがとうございます!」
「必要以上に喋らない。人と関わらない。駄目だと思ったらすぐに引き返すんだ。いいね?」
「分かりました」
もう今すぐにでも出発したい。
早く、隼人に届けないと。
町の少し手前で、タクシーを降りる。
隣町では、移動方法は徒歩がスタンダードだからだ。
必要以上に目立たない。
私の頭のなかの蒼馬さんが、満足そうにサムズアップをした。
歩く人に紛れて、道を歩く。
店はどこだって言っていたっけ。
きょろきょろと頭を動かしたいけれど、下手なことはできない。
控えめに、目だけを動かして周囲を伺う。
あ、路地だ。
そぐ隣に発見した、暗い場所に、びくりと心臓が跳ねた。
少しでも危険から離れないと。
私は道の反対側に移動しようとして、何者かに腕を捕まれた。
しまった.........!
本当に、職場の皆さんには頭が上がらない。
隼人の体調が悪くなったときにすぐ気付けるように、私は隼人と同じ部屋で過ごした。
きっと大丈夫。何とか1日1日を乗り越えて、明日でやっと一週間。
待ちわびたその日を、やっと、やっと迎えてーーーー
「どういうことですか!?!?」
「落ち着いて!落ち着くんだ、歩美ちゃん」
「だって、そんな!そんなっ......」
そんなこと言われて、落ち着いてなんかいられない。
一週間後。薬が支給されると聞いたのに、まだ一週間かかるだなんて。
あまり表には出さないけれど、日に日に隼人は衰弱していっている。
あと一週間なんて、待てない。無理だ。
「何とかならないんですか!?」
辛いのは私だけじゃない。隼人だけじゃない。
他にもウイルスに感染した人はいるし、心配している人だっているし、もちろん蒼馬さんだって辛いはずだ。
でもそんなことを考えられないほど、私はパニックになっていた。
「...隣町」
ぽつりと蒼馬さんがこぼした声に、私は動きを止める。
もしかして、何か方法がある?
私を見下ろして、蒼馬さんは苦い顔をし、しぶしぶ口を開いた。
「隣町に、ウイルスに効く薬草が売っているそうだ」
「隣町......」
「本当に効果があるかは分からないよ」
「行きます」
「......ここから東の、人間差別が酷い獣人の町。歩美ちゃんが行くのは危険だ」
「行きます」
私がそう言うのが分かっていたのか、蒼馬さんは複雑そうな顔でうめいた。
「ぐうう。行かせたら絶対隼人に怒られる......」
「私が怒られますから大丈夫です。それに、怒られるもなにも、彼が元気じゃないと。心配なのは蒼馬さんも一緒でしょう?」
最後のダメ押し。結果は分かりきっている。
私の勝利だ。
蒼馬さんはため息をついた。やれやれと首を降られる。
「......はあ。分かったよ。僕のローブを貸してあげる。消防士用のちょっといいやつだ」
「蒼馬さん!ありがとうございます!」
「必要以上に喋らない。人と関わらない。駄目だと思ったらすぐに引き返すんだ。いいね?」
「分かりました」
もう今すぐにでも出発したい。
早く、隼人に届けないと。
町の少し手前で、タクシーを降りる。
隣町では、移動方法は徒歩がスタンダードだからだ。
必要以上に目立たない。
私の頭のなかの蒼馬さんが、満足そうにサムズアップをした。
歩く人に紛れて、道を歩く。
店はどこだって言っていたっけ。
きょろきょろと頭を動かしたいけれど、下手なことはできない。
控えめに、目だけを動かして周囲を伺う。
あ、路地だ。
そぐ隣に発見した、暗い場所に、びくりと心臓が跳ねた。
少しでも危険から離れないと。
私は道の反対側に移動しようとして、何者かに腕を捕まれた。
しまった.........!