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ただイチャイチャするだけ。
時系列·登場キャラクターはごちゃごちゃです。
設定もふんわり。

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人間ですが、獣人専用高校で結ばれました

#23

君の愛①

私と隼人が付き合い初めてから6年が経った。
この6年で、世界は少しずつ変わった。
人間と獣人が交流をするようになったのだ。

人間の街には獣人が、獣人の街には人間が、当たり前のように歩いている。
そして何と獣人と人間が結婚できるようになったのだ。
それを知ったときは、隼人と二人で跳び跳ねた。
つい先日、プロポーズをされたところだ。

籍を入れるのは私たちが付き合った日にしようとなったから、もう少し先だ。
でもそれもあと一週間。正直待ちきれない。

それともうすぐ、隼人の家で同居も始める予定だ。
結婚式のことも考え初めて、毎日が凄く楽しい。

私たちはもう立派な大人なので、しっかり働いている。
私が勤めているのは獣人の街の保育園。
皆可愛すぎる。

ホワイトな職場で、皆が優しい。
働いている人間は私一人だけど、そんなの関係なく接してくれる。
人間の中には獣人を恐れる人もいるけど、やっぱり実際に交流することが大切だと思う。決めつけはよくないよね。

そして隼人は何と消防士になった。すっごくカッコいい。
昔から筋肉はあったけど、さらに成長したと思う。
隼人の職場の人々もすごく優しいから、私はちょくちょく差し入れを持って訪ねに行く。
最初は邪魔だろうと遠慮していたが、どうやら本当に来て欲しいみたいだ。
まあついでに片付けとかしてるしね。
でも仕事仲間の皆さんいわく、一番嬉しいのは、隼人の仕事がはかどることだって。えへへ。

今日もクッキーを持って隼人のところへレッツゴーだ。

「こんにちは、お疲れ様でーす」
「あっ、歩美ちゃん」
「蒼馬さん、こんにちは」

私に気付いてくれたのは隼人の同僚の蒼馬さん、熊の獣人だ。
ここで働く人たちは基本的に皆大きいから、顔を見て話そうとすると首が痛くなる。
隼人くらいが丁度いいや。

「今日の差し入れはクッキー?嬉しいなあ」
「ふふ、綺麗に焼けたんですよ。隼人に全部食べられてしまう前に一枚どうぞ」
「ありがとう!いただくよ」

蒼馬さんが口にクッキーを入れようとしたとき...

「お前に食べさせるかよ」

ひょい、とクッキーが奪われた。
やれやれと蒼馬さんが肩をすくめる。
私もジト目で隼人を見る。

「もう、隼人ったら...」
「今日も美味い」
「それは、よかったけどさあ」
「歩美ちゃん、気にしてないからいいよ。いつものことだし。香りを楽しめたからよしとするさ」
「蒼馬さん...すみません」

私を大事にしてくれるのは嬉しいけど、隼人は少しばかりやりすぎな気がする。いいけどさ。

「何かお手伝いすることありますか?」
「そうだなあ、応接室の掃除をお願いしてもいいかな?」
「勿論です!」
「ありがとう。隼人もそこで書類仕事してきたら?」
「言われなくてもそうする」

隼人が書類を取りに行っている間に、私は応接室に入る。
ここに来るのも慣れたものだ。
テレビが付きっぱなしだったから、消そうとしたときだった。

『謎のウイルスが流行り始めています。感染した場合の死亡確率が非常に高く...』

テレビに映るアナウンサーが、そう告げる。
私は眉をよせた。
ウイルス?そんな話知らなかった...。
ちょっと怖いな。

私が突っ立っていると、ぽんと後ろから頭に手を置かれる。

「隼人...」
「このウイルスは獣人にのみ感染するそうだ。だから安心しろ」
「そんな!じゃあ隼人も危ないじゃない」

安心するどころか、余計に不安が大きくなってしまった。
自分が死ぬより、隼人が死ぬ方が何倍も辛い。

「大丈夫さ」

隼人は無理やりテレビを消して、書類仕事を始めてしまう。
仕方なく私も掃除をするが、まったく集中できずに終わった。


「一緒に帰ろう」
「うん、そうしよう」

二人で並んで歩く。
通りがかった人間の知り合いの女の人に挨拶をする。

「こんばん...」


え?
私が言い終える前に、信じられない速さで通りすぎて行ってしまった。
私は戸惑う。
急いでいたのかな?

「.........」


隼人が黙って手を繋いできた。
少し戸惑ったが、私も軽く握り返した。
するとお返しに隼人も握り返してくるが、......い、痛い......。強いよ、隼人。


気付くともう別れる場所だった。

「じゃあね、隼人。また明日......隼人?」
「好きだ」

いつまでも手を離さない隼人を不思議に思っていたら、予想しなかった言葉を言われて驚く。

「あ、ありがとう?どうしたの、急に...」
「歩美は?歩美は俺のこと、好き?」
「え?好きだよ、大好き」

不安になったのだろうか。マリッジブルー?
私は安心させるように、隼人の背中をぽんぽんと叩いた。

すると隼人の顔がゆっくり近付いてきて、..................離れていった。
私は拍子抜けする。
ええ?キスしてくれるんじゃないの?
まあ今日は気分じゃなかったのかも。

色々あったけど、何とか家に帰った。

次の日も、元気に朝を迎える。


「おはようございます」
「.........」

「おはようございまーす...」
「.........」

「......おはようございます...」
「.........」


何度も色んな人に話しかけても、挨拶が返ってくることはなかった。
これはさすがに私も傷付く。
何で?どうして?私、嫌われてる?

落ち込んで少し歩調が遅くなっていたとき、近所のおば様たちの話し声が聞こえてきた。


「......ねえ、あの歩美ちゃんて子、獣人と付き合ってるんでしょ?」
「......もうすぐ結婚もするらしいわよ」
「......やーねぇ、恐いわ...お願いだからウイルスだけは移してほしくないわね」
「......本当よね。獣人にしか感染しないなんて言うけど、信じられないわ」
「......勿体無いわよねえ。あんなに美人で性格も悪くないのに、よりによって野蛮な獣人を選ぶなんて」
「......その通りよ。獣人と仲良くなんてできるわけないわ。気持ち悪いもの」
「......結局、獣と何も変わらないくせに、偉そうにしないでほしいわ」
「......~~」
「......~」


信じられなかった。
そんな.........。酷い。
獣人は優しくて、親切で、賢くて。
人間と一緒で、嬉しかったら笑うし、腹が立ったら怒るし、悲しかったら涙を流すのに。
酷いよ...。





「歩美ちゃん、大丈夫?」
「え?あ、は、はい...すみません。大丈夫です」

私は先輩に声をかけられて、意識を現実に戻した。
先輩は心配そうに私を見つめる。


「でも顔色が悪いわ。今日はもう帰ったら?」


さすがホワイト職場。
ありがたくそうさせてもらおうかな......。

子供たちが寄ってきてくれた。

「せんせえ、だいじょうぶ?」
「わたしの飴ちゃんあげるよ」


子供たちも、仕事場の人たちも、心配してくれてる。
...ほら、こんなに優しい。
泣きそうになったけれど、堪えた。
さすがに子供たちの前では泣けないや。

私が口を開こうとしたときだった。
ぱたぱたと、仕事仲間が駆けてきた。


「歩美、電話が.........」
「え?」


嫌な予感がする。最悪の考えが頭に浮かんだ。
馬鹿馬鹿。そんなわけない。
よりによって隼人が、そんなわけ...............


『歩美ちゃん、落ち着いて聞いてくれ』

電話の向こう側にいるのは蒼馬さんだ。
胸のざわめきが収まらない。嫌、嫌、やめて......!








『...隼人がウイルスに感染した。今は隔離されてる』

作者メッセージ

長くなりそうです...汗

2025/07/16 14:13

まっちゃん ID:≫ 9tLeB9AxJiZq2
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