人間ですが、獣人専用高校で結ばれました
[太字][大文字]隼人×匠[/大文字][/太字]
ご注意ください。
「おはようございまーす」
私はいつも通り教室のドアを開けて、挨拶をした。
一つ違うのは、歩美が風邪で休みだということ。
「おはよー」
匠が気だるげに挨拶を返してくる。
これもいつものこと。
「ちょっとシャーペン貸してくんね?忘れちった」
「はいはい」
それは人に頼む態度ではないだろう。
まあ言っても無駄だし結局は貸してやるけど。
シャーペンを渡すときに頭を小突いてやる。
「いってぇ、酷いなぁ」
「はいはい、ゴメンネー」
痛いなんてこれっぽっちも思ってないくせに。
さあ、カバンの整理をしようと体の向きを変えたときだった。
「匠、どうしてだ」
珍しく怒っているような隼人の声が聞こえて、思わず振り返る。
だが、信じられない光景を目にして、目をこすった。
おかしい。絶対におかしい。
だって隼人が匠を抱き寄せて、顎クイしてるんだもの.........!
何?どうして?何が起こっているの??
「何故俺を頼ってくれない」
「おい、こんなところでやめろって...」
「やめない」
「そんな...んむっ」
おいおいおいおい!!あっついキスを始めないでもらってよろしいですか!?
匠もまんざらでもなさそうにするな!!
しかもクラスメイトは誰一人戸惑うことはせず、なんなら『あーあ、また始まったよ』的な雰囲気が漂っている。
え?おかしいのって私?私なの??
ああ、頭痛がしてきた...。
「はぁーーーーーー」
辛い。とても辛い。
あんなのを延々と見せ続けられてかれこれ四時間。
実験中もべったり、体育中もべったり、なんなら教室の授業中もお互いを見つめあっていた。
うがーー。
今からお昼ご飯。どこか二人きりになれる場所に行けばいいのに、何故か教室に居座っている。
私が別の場所に移ろうかとも思ったけれど、歩美が休みだからどこかで一人で食べることになってしまう。
それは......ちょっと寂しい。
「ほら、あーん」
「隼人、恥ずかしいよ」
「ん?でも俺は全然恥ずかしくない」
「そんなこと言ったって...」
「分かった。じゃあ香里に壁になってもらおう」
はい!?やめてよ、私を防波堤に使うのは!!
抗議する間もなく、私は二人の前に背中を向けて座らされた。
............。
最悪...!
掃除の時間、大和を見つけて駆け寄る。
そうだ、大和は!?
どう思ってるの...?
「え?あの二人?」
「う、うん」
「お似合いじゃないかな?イチャイチャされると...まあちょっと反応に困るけれど」
「え?」
どういうこと?大和は匠と付き合ったりしていない訳?
...じゃあ歩美は?
「あ、歩美って今彼氏いるっけ?」
「ーーーえ?歩美、さん?」
「?そうだけど」
「ごめん、知らないや。違うクラス?」
「ーーーーーーえ?」
一気に冷や汗が吹き出てきた。
嘘。嘘。
だって、歩美と今朝会ったんだもん。
風邪だから、ごめんねって言われたもん。
居てもたってもいられなくて、私は走り出した。
ごめん、大和。
「匠!」
「ど、どうしたんだよ。そんな必死な顔して」
「ねえ、歩美って分かるよね?そうでしょ?」
「はあ?何言ってるんだ」
「誰だよ?その子」
嘘.........そんな。
私は教室を見渡して、歩美の机を探す。
窓際の、一番後ろの席。
泣きそうになった。
「ない......」
隼人、隼人は?
廊下に隼人を見つけたから、私は最後の望みをかけて隼人に駆け寄った。
「はや......」
あ、やばい。転ける。
転けている場合じゃないのに。
私が思い切り転けたものだから、隼人が助け起こしてくれた。
「大丈夫か?」
「ご、ごめん。ねえ、歩美って分かるよね?」
「はあ?」
...ああ、もう終わりだ。
「分かるに決まってるだろ。逆に何で分からないと思ったんだよ」
「え?」
ぱちぱちと瞬きをする。
分かるの?何で?え?
「そ、そっか、ありがと...」
私は立ち上がって、ふらふらと歩美の部屋に向かう。
コンコンとノックをして、出てきたのは...
「歩美っ.........!」
「ええっ、香里?どうしたの?風邪が移っちゃうよ」
そんなのどうでもいいよ。
歩美がいてくれて、本当によかった......。
「香里は、パラレルワールドに行っていたのかもね」
「ぱられるわーるど?」
「うーん、まあ別の世界?って感じかな」
「本当に怖かった...。でもどうしてぱられるわーるどに行っちゃったんだろう」
「朝、転けた記憶はない?」
「え、どうして分かるの?確かに転けた...けど.........」
もしかして。
もしかしてもしかして。
「そういうこと?」
「まあ分からないけどね」
歩美はにっこり笑った。
「香里が帰ってこれてよかった」
「歩美...!」
「風邪が移るってば」
ああよかった。
ちなみに隼人と匠の話をしたら、歩美と大和は笑っていた。
隼人と匠は恥ずかしそうにしていて、その後各々が彼女に媚びを売っていたらしい。
ご注意ください。
「おはようございまーす」
私はいつも通り教室のドアを開けて、挨拶をした。
一つ違うのは、歩美が風邪で休みだということ。
「おはよー」
匠が気だるげに挨拶を返してくる。
これもいつものこと。
「ちょっとシャーペン貸してくんね?忘れちった」
「はいはい」
それは人に頼む態度ではないだろう。
まあ言っても無駄だし結局は貸してやるけど。
シャーペンを渡すときに頭を小突いてやる。
「いってぇ、酷いなぁ」
「はいはい、ゴメンネー」
痛いなんてこれっぽっちも思ってないくせに。
さあ、カバンの整理をしようと体の向きを変えたときだった。
「匠、どうしてだ」
珍しく怒っているような隼人の声が聞こえて、思わず振り返る。
だが、信じられない光景を目にして、目をこすった。
おかしい。絶対におかしい。
だって隼人が匠を抱き寄せて、顎クイしてるんだもの.........!
何?どうして?何が起こっているの??
「何故俺を頼ってくれない」
「おい、こんなところでやめろって...」
「やめない」
「そんな...んむっ」
おいおいおいおい!!あっついキスを始めないでもらってよろしいですか!?
匠もまんざらでもなさそうにするな!!
しかもクラスメイトは誰一人戸惑うことはせず、なんなら『あーあ、また始まったよ』的な雰囲気が漂っている。
え?おかしいのって私?私なの??
ああ、頭痛がしてきた...。
「はぁーーーーーー」
辛い。とても辛い。
あんなのを延々と見せ続けられてかれこれ四時間。
実験中もべったり、体育中もべったり、なんなら教室の授業中もお互いを見つめあっていた。
うがーー。
今からお昼ご飯。どこか二人きりになれる場所に行けばいいのに、何故か教室に居座っている。
私が別の場所に移ろうかとも思ったけれど、歩美が休みだからどこかで一人で食べることになってしまう。
それは......ちょっと寂しい。
「ほら、あーん」
「隼人、恥ずかしいよ」
「ん?でも俺は全然恥ずかしくない」
「そんなこと言ったって...」
「分かった。じゃあ香里に壁になってもらおう」
はい!?やめてよ、私を防波堤に使うのは!!
抗議する間もなく、私は二人の前に背中を向けて座らされた。
............。
最悪...!
掃除の時間、大和を見つけて駆け寄る。
そうだ、大和は!?
どう思ってるの...?
「え?あの二人?」
「う、うん」
「お似合いじゃないかな?イチャイチャされると...まあちょっと反応に困るけれど」
「え?」
どういうこと?大和は匠と付き合ったりしていない訳?
...じゃあ歩美は?
「あ、歩美って今彼氏いるっけ?」
「ーーーえ?歩美、さん?」
「?そうだけど」
「ごめん、知らないや。違うクラス?」
「ーーーーーーえ?」
一気に冷や汗が吹き出てきた。
嘘。嘘。
だって、歩美と今朝会ったんだもん。
風邪だから、ごめんねって言われたもん。
居てもたってもいられなくて、私は走り出した。
ごめん、大和。
「匠!」
「ど、どうしたんだよ。そんな必死な顔して」
「ねえ、歩美って分かるよね?そうでしょ?」
「はあ?何言ってるんだ」
「誰だよ?その子」
嘘.........そんな。
私は教室を見渡して、歩美の机を探す。
窓際の、一番後ろの席。
泣きそうになった。
「ない......」
隼人、隼人は?
廊下に隼人を見つけたから、私は最後の望みをかけて隼人に駆け寄った。
「はや......」
あ、やばい。転ける。
転けている場合じゃないのに。
私が思い切り転けたものだから、隼人が助け起こしてくれた。
「大丈夫か?」
「ご、ごめん。ねえ、歩美って分かるよね?」
「はあ?」
...ああ、もう終わりだ。
「分かるに決まってるだろ。逆に何で分からないと思ったんだよ」
「え?」
ぱちぱちと瞬きをする。
分かるの?何で?え?
「そ、そっか、ありがと...」
私は立ち上がって、ふらふらと歩美の部屋に向かう。
コンコンとノックをして、出てきたのは...
「歩美っ.........!」
「ええっ、香里?どうしたの?風邪が移っちゃうよ」
そんなのどうでもいいよ。
歩美がいてくれて、本当によかった......。
「香里は、パラレルワールドに行っていたのかもね」
「ぱられるわーるど?」
「うーん、まあ別の世界?って感じかな」
「本当に怖かった...。でもどうしてぱられるわーるどに行っちゃったんだろう」
「朝、転けた記憶はない?」
「え、どうして分かるの?確かに転けた...けど.........」
もしかして。
もしかしてもしかして。
「そういうこと?」
「まあ分からないけどね」
歩美はにっこり笑った。
「香里が帰ってこれてよかった」
「歩美...!」
「風邪が移るってば」
ああよかった。
ちなみに隼人と匠の話をしたら、歩美と大和は笑っていた。
隼人と匠は恥ずかしそうにしていて、その後各々が彼女に媚びを売っていたらしい。