妖怪*コメディ
「…はっ!」
瞼を勢いよく開けると、そこは知らない天井だった。
ツンとする消毒液の匂いに覚えがあって、希空は上半身を起こした。
「希空ちゃん、大丈夫?」
おっとりとした声がきこえて、希空は右に目をやった。
そこには、白衣をゆったりと纏った薄い茶髪の女の人がいた。胸元のプレートに書いてある字をぼんやりとした頭で読み取る。
「如匁さん…?」
女の人…如匁(もめ)はゆったりと頷く。
「私の名前は板野如匁。希空ちゃんだよね」
希空はこくりと首を縦に振った。
「はい…神之池 希空(こうのいけ のあ)です。
初めまして、ですよね?」
如匁は嬉しそうに微笑むと、希空の手を握った。
「身体は大丈夫?」
返事をしようとすると、頭に鈍痛が走った。
頭を抱えてうめく希空を慌てて支えると、如匁がすこし怖い顔をした。希空は怒られる、と怯えた。
「…まずいわね、もうそこまで来ているの…」
如匁が希空の頭を撫でると、すっと痛みが消えた。
代わりに包帯が額からずれてくる。
希空がぱっつんに切り揃えた前髪と包帯をかきあげると、
如匁が急に希空の手を引いて走り出した。
ベッドから急いで起き上がり、必死についていく。
連れられて病室から寒い廊下にでると如匁におぶられる。
風のように走り出した如匁に、ナニカがついてきた…。
(ひっっっ)
希空は声にならない悲鳴をあげた。
廊下に降り積もった埃が、ナニカの足跡で消えていく。
如匁がさらに走るスピードをあげる。
そこで、希空はあることに気づいた。
「如匁さん!この廊下、どこまで続いてるの!?」
いつの間にか白衣を脱ぎ捨てていた如匁に希空が尋ねると、如匁はハッとした様に立ち止まって、迷わず右の方に曲がった。
ナニカの走る足音が後ろから聞こえてきて総毛立つ。
ところが、風を切る音が聞こえると足音がパタリと途絶え、代わりにすとっと降り立つ音がした。
「はぁ…だーからあたしに任せとけっつったのにさあ?」
恐る恐る振り返ると、そこには腰に手を当てた美形の女子がいた。恐らく高校生くらいだ。
灰色に金のメッシュが入ったマッシュボブから、ピンと立ったブロンドの猫耳と腰に生えた二つの尻尾。顔の右半分に通った朱色のリボン。多分穴開いてる。
「あ、あの、助けて頂いてありがとございます、、!」
猫耳の人はぺこりと頭を下げた希空を翠の瞳で見つめた。
ふっと笑って、急に希空の前でこうべを垂れる。
「あたしの名前は珠杜 瑚猫(たまもり こねこ)。
よろしくね、ご主人!」
希空は頭を抱えてしまった。
起きてから、波乱すぎるよお…。
瞼を勢いよく開けると、そこは知らない天井だった。
ツンとする消毒液の匂いに覚えがあって、希空は上半身を起こした。
「希空ちゃん、大丈夫?」
おっとりとした声がきこえて、希空は右に目をやった。
そこには、白衣をゆったりと纏った薄い茶髪の女の人がいた。胸元のプレートに書いてある字をぼんやりとした頭で読み取る。
「如匁さん…?」
女の人…如匁(もめ)はゆったりと頷く。
「私の名前は板野如匁。希空ちゃんだよね」
希空はこくりと首を縦に振った。
「はい…神之池 希空(こうのいけ のあ)です。
初めまして、ですよね?」
如匁は嬉しそうに微笑むと、希空の手を握った。
「身体は大丈夫?」
返事をしようとすると、頭に鈍痛が走った。
頭を抱えてうめく希空を慌てて支えると、如匁がすこし怖い顔をした。希空は怒られる、と怯えた。
「…まずいわね、もうそこまで来ているの…」
如匁が希空の頭を撫でると、すっと痛みが消えた。
代わりに包帯が額からずれてくる。
希空がぱっつんに切り揃えた前髪と包帯をかきあげると、
如匁が急に希空の手を引いて走り出した。
ベッドから急いで起き上がり、必死についていく。
連れられて病室から寒い廊下にでると如匁におぶられる。
風のように走り出した如匁に、ナニカがついてきた…。
(ひっっっ)
希空は声にならない悲鳴をあげた。
廊下に降り積もった埃が、ナニカの足跡で消えていく。
如匁がさらに走るスピードをあげる。
そこで、希空はあることに気づいた。
「如匁さん!この廊下、どこまで続いてるの!?」
いつの間にか白衣を脱ぎ捨てていた如匁に希空が尋ねると、如匁はハッとした様に立ち止まって、迷わず右の方に曲がった。
ナニカの走る足音が後ろから聞こえてきて総毛立つ。
ところが、風を切る音が聞こえると足音がパタリと途絶え、代わりにすとっと降り立つ音がした。
「はぁ…だーからあたしに任せとけっつったのにさあ?」
恐る恐る振り返ると、そこには腰に手を当てた美形の女子がいた。恐らく高校生くらいだ。
灰色に金のメッシュが入ったマッシュボブから、ピンと立ったブロンドの猫耳と腰に生えた二つの尻尾。顔の右半分に通った朱色のリボン。多分穴開いてる。
「あ、あの、助けて頂いてありがとございます、、!」
猫耳の人はぺこりと頭を下げた希空を翠の瞳で見つめた。
ふっと笑って、急に希空の前でこうべを垂れる。
「あたしの名前は珠杜 瑚猫(たまもり こねこ)。
よろしくね、ご主人!」
希空は頭を抱えてしまった。
起きてから、波乱すぎるよお…。