【参加終了】旅する絵描きと思い出の色
その後しばらく苔の回廊を散策し、思いっきり苔と自然を堪能した。めちゃくちゃ楽しかったが、普段運動していない私にとっては足に大ダメージが入っている。体がついていっていない状況だ。
紐ちゃんとはもう少し遊べると思っていたのだが、苔の回廊散策が終わってから支笏湖から出ているバスに乗って千歳空港まで行ってしまった。
彼女が何を目指しているのかはよくわからないが『もっかい日本一周してくるわ!!!!』と元気に北海道を出て行った。
嶺「ヤッベェ…どうしよ」
さて、私の現在地は支笏湖。苔の回廊の近くにある結構ポピュラーな湖だが、ちょっと探索してみようと思ったのに普通に迷子になった。
この歳になって迷子センターってのもどうかと思うぜ私??
嶺「一旦スマホ……」
私のスマホの充電は異常なほどよくきれているので不安だったが、今回はきちんとついていた。
だが、支笏湖と検索しても出てくるのは歪な形の水色だけ。湖を表す色だが、この範囲がデカすぎて何がなんやらである。
嶺「道戻ってみるか…さらに迷子になるような予感しかしないけど」
スマホをポケットにしまうと、湖畔沿いに歩き出した。
にしても綺麗な湖だ。確かこの色のことを『支笏湖ブルー』というんだったっけ。水彩絵の具では再現しきれない良さがある。
ふっと顔を上げると、挙動が怪しい男性がいた。いや、冗談抜きで怪しい。
道をふらふらして『やばいやばいやばい』と呟いている。格好も何故かスーツで、先ほどチラッと見えた顔は真っ青だ。
ここは観光客も地元の人も少ないエリアで、誰も彼に気がつく人はいない。やっぱり声をかけるべきだろうか。変な人だったらやだな。
「……あっ」
心なしかバチっと音がする。めちゃくちゃ目があってしまった。
その瞬間、彼は『あのっ、あっ……あ…』と同じ言葉しか発しない怪物のようになってしまった。なんか可哀想になってきたので近寄って声をかけてみる。
嶺「あの、大丈夫ですか?顔色悪いですよ…?」
「あ……ありがとうございます。大丈夫です……多分」
センター分けにするために少々長くなっている黒髪から茶色の頼りないタレ目がのぞいている。スーツ姿だからかはよくわからないが、20代後半くらいだろうか。
「あの……スマホを無くしてしまいまして…この辺で黒いスマホを見ませんでしたか?」
嶺「えっ、スマホ!?」
真っ青な顔色はそういうわけか。なるほどなるほど。
道中でスマホらしきものは特に見かけなかったし、何か助けになれたらいいんだけど。
嶺「すみません、見てないですね……あっ、電話かけてみましょうか?」
「いいんですか?お願いします…!」
嶺「いえいえ………、あれ…?」
リュックサックを下ろすと、ガサガサと漁ってみる。あるのは、画材、カメラ、スケッチブック。……スマホは?
やばい。
そう思ってリュックサックをひっくり返すと、バラバラと絵の具と筆が溢れてくる。バケツ、結構いい値段した一眼レフ、お馴染みスケッチブック。
変な汗がブワァッと全身を襲う。
嶺「……スマホ無くした」
「……え」
私は、挙動不審な男性と顔を見合わせた。きっと、お互いの顔は真っ青だっただろう。
紐ちゃんとはもう少し遊べると思っていたのだが、苔の回廊散策が終わってから支笏湖から出ているバスに乗って千歳空港まで行ってしまった。
彼女が何を目指しているのかはよくわからないが『もっかい日本一周してくるわ!!!!』と元気に北海道を出て行った。
嶺「ヤッベェ…どうしよ」
さて、私の現在地は支笏湖。苔の回廊の近くにある結構ポピュラーな湖だが、ちょっと探索してみようと思ったのに普通に迷子になった。
この歳になって迷子センターってのもどうかと思うぜ私??
嶺「一旦スマホ……」
私のスマホの充電は異常なほどよくきれているので不安だったが、今回はきちんとついていた。
だが、支笏湖と検索しても出てくるのは歪な形の水色だけ。湖を表す色だが、この範囲がデカすぎて何がなんやらである。
嶺「道戻ってみるか…さらに迷子になるような予感しかしないけど」
スマホをポケットにしまうと、湖畔沿いに歩き出した。
にしても綺麗な湖だ。確かこの色のことを『支笏湖ブルー』というんだったっけ。水彩絵の具では再現しきれない良さがある。
ふっと顔を上げると、挙動が怪しい男性がいた。いや、冗談抜きで怪しい。
道をふらふらして『やばいやばいやばい』と呟いている。格好も何故かスーツで、先ほどチラッと見えた顔は真っ青だ。
ここは観光客も地元の人も少ないエリアで、誰も彼に気がつく人はいない。やっぱり声をかけるべきだろうか。変な人だったらやだな。
「……あっ」
心なしかバチっと音がする。めちゃくちゃ目があってしまった。
その瞬間、彼は『あのっ、あっ……あ…』と同じ言葉しか発しない怪物のようになってしまった。なんか可哀想になってきたので近寄って声をかけてみる。
嶺「あの、大丈夫ですか?顔色悪いですよ…?」
「あ……ありがとうございます。大丈夫です……多分」
センター分けにするために少々長くなっている黒髪から茶色の頼りないタレ目がのぞいている。スーツ姿だからかはよくわからないが、20代後半くらいだろうか。
「あの……スマホを無くしてしまいまして…この辺で黒いスマホを見ませんでしたか?」
嶺「えっ、スマホ!?」
真っ青な顔色はそういうわけか。なるほどなるほど。
道中でスマホらしきものは特に見かけなかったし、何か助けになれたらいいんだけど。
嶺「すみません、見てないですね……あっ、電話かけてみましょうか?」
「いいんですか?お願いします…!」
嶺「いえいえ………、あれ…?」
リュックサックを下ろすと、ガサガサと漁ってみる。あるのは、画材、カメラ、スケッチブック。……スマホは?
やばい。
そう思ってリュックサックをひっくり返すと、バラバラと絵の具と筆が溢れてくる。バケツ、結構いい値段した一眼レフ、お馴染みスケッチブック。
変な汗がブワァッと全身を襲う。
嶺「……スマホ無くした」
「……え」
私は、挙動不審な男性と顔を見合わせた。きっと、お互いの顔は真っ青だっただろう。