【参加型・一旦〆切!】旅する絵描きと思い出の色
翌日──
待ち侘びていた人が、大きなスーツケースを真夏のアスファルトに引きずってやってきた。
「久しぶりっ!紐だよ〜」
嶺「紐ちゃぁぁん〜〜!!!!」
透き通るような白い癖毛や、くすんだ藍色の瞳や、その笑った口元までが、懐かしかった。
最後に会った時より綺麗になっていて(無論前も綺麗だったが)、しっかりと大人だった。
紐「ほえ〜、じゃあ絵探してるんだ。」
嶺「うん。じいちゃんが『お前の人生が絶対変わるから』とさ。」
下手な声真似でじいちゃんの声を真似ると、案外ウケた。
紐「嶺も大人になったね〜、前はめちゃくちゃ頑固だったのに…」
嶺「いや、それ小5の頃の話でしょ…」
紐「ん〜、まあでも、胸の辺りはそんなに成長してない…かな…?」
嶺「北海道名物三途の川を見せてあげよう」
失言をかましてきた上背のある紐の頭を思いっきり叩くと、ぴぇ、と変な声を出した。
全く、どいつもこいつも胸のサイズがどうこう言いやがる。
…そんなに小さいか?
心の中で質疑応答を繰り返しながら、桜咲家の扉を開けた。
[水平線]
紐「よし、わかった。千歳に行こう!」
嶺「いや、だからなんでそうなる。」
1時間後、私たちは女子トーク(?)に花を咲かせていたが、急に紐ちゃんが千歳に行こうと言い出した。
紐「だからー!千歳には人生を変えるほどの絶景があるんだよ!?てかね、北海道っていい景色の宝箱なんだから!そんな宝箱を目の前にしてあんたはクーラーの効いた環境で引きこもるの!?んで、絵、上達したいんでしょ!絵の具持って行きなさい!!!!私貴方の絵好きだし!」
早口で捲し上げられ、結局連れていかれることになった。
行き先は、苔の回廊という場所だ。
簡単にいうと、支笏湖の近く。なぜ支笏湖じゃないんだ。
紐はあの後北海道各地を回るそうで、後は1人で頑張って!とのことだ。
いや、無茶だろ。
方向音痴と運動音痴のダブルプライスを舐めないでくれ。
まぁ、本州に比べて道広いから行けるか…?
とりあえず、車借りよう。
スマホを取り出して、クーポンをフル活用して車を借りる。
こんな時のために貯めておいてよかった…
そう思いつつ、人生を変えるほどの景色が描きたくて仕方がなかった。