【参加型】アークライト魔道具店に今日も何方か来たようです。
《side カノ・マインド》
やぁ、ワタシの名前はカノだ。
突然ではあるがワタシは今、非常に有意義な時間を過ごしている、と言っても過言ではないように思う。
そう、小説の進みが非常に良いのだ。今は店の奥、バックヤードで書いているのだが…このままいけば、中々良い作品が出来上がりそうな気がするよ。
ただその為には一つだけピースが足りない。あのトンチキ店主が帰ってくるのを待てば、必然ネタには困らないだろうが…
「はーい、ただいま戻りましたよ。」
おや、帰ってきたようだな。声の調子からするに、どうやらかなり良い気分らしい。
それは即ち、彼女にとって面白いモノが買えたという事に他ならない。ああ、今日もいいネタが手に入りそうだ。
今回はかなり多めに予算を渡したからな…
一体、何が飛び出してくるのやら。
「あ、ブレンダおかえりー!」
「おやアモサン。はい、ただいまです。ところで…カノはどこなんです?」
んー、奥でなんか書いてたと思うけどな、なんてアモくんが言うのを聞いて、ブレンダくんはこちらに向かっている。
パタパタと、足音が近づいてくる。一人はブレンダくん、もう一人はアモくんだな。この数日で聴き慣れた。
待てよ、もう一人いるな?
アモくんやブレンダくんよりも、もっと大柄だろう。
成人男性がちょうどこのぐらいなのではないか、と思わせる、しっかりとした足取りだ。
「カノー?バックヤードにいるんです?それとも自室ですか?」
「バックヤードで正解だよ。ほら、入って右手のテーブルだ。」
メモから顔を上げると、予想通りと言うかなんと言うか、ブレンダくんの後ろには見慣れない男が立っている。
そう、つまりこの享楽主義者は、人を連れて帰ってきたという事になる。
しかも、魔道具を買いにきた客であるとも思えない。なのでアモくんはどうやら割と混乱しているようだ。
まぁ無理もないだろう。
ああそれにしたって、なぜそのような事になったんだ?
一体何をしたら、魔道具を買いに行ってノリノリで人一人連れ帰って来られるのか不思議で仕方ない。
さては、人身売買でもして来たというのかい?いやいや、さすがにそんな金額を渡してはいない筈だろう。
ならば、調査するしかないだろうな。
ワタシはメモを一枚捲り、これから話される事を一言一句書き漏らさないように準備を整えてから口を開く。
「おかえり。今日の戦利品はなんだい?」
彼女のやる事は常にぶっ飛んでいて中々愉快だ。今回もその例に漏れないらしい。
いい小説のネタを持って来てくれる非常に面白い観察対象だ、とワタシは常々思っている。理解できないモノというのは、やはり面白いモノなのだ。
「ふっふっふ。色々買ったんですが一番は…この方を雇えたコトですね!」
それではアナタ達に紹介しましょう。ウチの専属になっていただきました!
ブレンダくんはそう言って、先ほどの男を前に押し出す。
「あー…ミオ・スミーラっちゅうモンや。君らは…先輩って事になるんかな。あんじょうよろしゅう。」
明らかに年下であるワタシ達にも丁寧に名乗るとは、中々礼儀のなった人間のようだな。
こういった手合いはやはり、それなりに好感が持てる。
しかし、それを聞いたアモくんが相変わらずテンション高くバンバンと机を叩いて破壊しながら自己紹介を行っているのに気づき、ワタシはペンを置く事にした。
これでは書き込むなんてできそうもない、頭の中にしっかりと残しておく事にしよう。
以前のような、時間やら空間やらに作用する珍妙な品ではない、というのは少しばかり残念だが…
後始末のような無駄な手間が省けたと考えれば、まぁよしとしても良いだろう。
しかし、専属とはな。
先日に続き、またワタシになんの断りもなく従業員を増やしたというのか…
「カノ?静かだけど…どしたの?」
「ああいや、なんでもない。そうだ、自己紹介が遅れたな。ワタシはカノだよ。」
いけないな、好奇心のあまりワタシ自身が礼儀知らずになる所だった。他人にへーこらするのは世界一大嫌いだが、自己紹介や挨拶はそれ以前の問題だろう。
そんな事、絶対にあってはならないのだから重々気をつけるようにしなくては。
「というワケで、私は今からミオサンと魔道具作りに行ってくるので!鬼が寝てるスキに洗濯です!!」
そういうブレンダくんは件の「鬼」、彼女の使い魔である黒猫のエランの部屋の方を向いている。エランはどうも今就寝中らしい。
ちなみに、昔から彼女に振り回されていると聞くのだが…
哀れな生き物だと思うと同時に、少し腹立たしくもあるな。
さぞかしいいネタが手に入っただろうに、彼は黙して語ろうとしないのだから。
「それじゃ、行ってらっしゃーい!あそうだ、今日の夕ご飯なにー?」
「今日の当番はエランですので、エランが起きたら聞いてください!それじゃ、ホラ行きますよミオサン!!」
猫に料理をさせる…
ああ、中々どうしてネタに尽きないな。インスピレーションが沸いたかもしれない。
そうとなれば、今すぐこれを書き留めるという作業が必要だろう!
「…三人とも、今すぐここから出た上で、しばらく入らないでもらえるだろうか。少々集中したい。ああ、難しいようであれば構わない、ワタシが部屋に下がるよ。」
小説を書いている時は、邪魔になる物は一つたりとも存在してはならないからな!!
やぁ、ワタシの名前はカノだ。
突然ではあるがワタシは今、非常に有意義な時間を過ごしている、と言っても過言ではないように思う。
そう、小説の進みが非常に良いのだ。今は店の奥、バックヤードで書いているのだが…このままいけば、中々良い作品が出来上がりそうな気がするよ。
ただその為には一つだけピースが足りない。あのトンチキ店主が帰ってくるのを待てば、必然ネタには困らないだろうが…
「はーい、ただいま戻りましたよ。」
おや、帰ってきたようだな。声の調子からするに、どうやらかなり良い気分らしい。
それは即ち、彼女にとって面白いモノが買えたという事に他ならない。ああ、今日もいいネタが手に入りそうだ。
今回はかなり多めに予算を渡したからな…
一体、何が飛び出してくるのやら。
「あ、ブレンダおかえりー!」
「おやアモサン。はい、ただいまです。ところで…カノはどこなんです?」
んー、奥でなんか書いてたと思うけどな、なんてアモくんが言うのを聞いて、ブレンダくんはこちらに向かっている。
パタパタと、足音が近づいてくる。一人はブレンダくん、もう一人はアモくんだな。この数日で聴き慣れた。
待てよ、もう一人いるな?
アモくんやブレンダくんよりも、もっと大柄だろう。
成人男性がちょうどこのぐらいなのではないか、と思わせる、しっかりとした足取りだ。
「カノー?バックヤードにいるんです?それとも自室ですか?」
「バックヤードで正解だよ。ほら、入って右手のテーブルだ。」
メモから顔を上げると、予想通りと言うかなんと言うか、ブレンダくんの後ろには見慣れない男が立っている。
そう、つまりこの享楽主義者は、人を連れて帰ってきたという事になる。
しかも、魔道具を買いにきた客であるとも思えない。なのでアモくんはどうやら割と混乱しているようだ。
まぁ無理もないだろう。
ああそれにしたって、なぜそのような事になったんだ?
一体何をしたら、魔道具を買いに行ってノリノリで人一人連れ帰って来られるのか不思議で仕方ない。
さては、人身売買でもして来たというのかい?いやいや、さすがにそんな金額を渡してはいない筈だろう。
ならば、調査するしかないだろうな。
ワタシはメモを一枚捲り、これから話される事を一言一句書き漏らさないように準備を整えてから口を開く。
「おかえり。今日の戦利品はなんだい?」
彼女のやる事は常にぶっ飛んでいて中々愉快だ。今回もその例に漏れないらしい。
いい小説のネタを持って来てくれる非常に面白い観察対象だ、とワタシは常々思っている。理解できないモノというのは、やはり面白いモノなのだ。
「ふっふっふ。色々買ったんですが一番は…この方を雇えたコトですね!」
それではアナタ達に紹介しましょう。ウチの専属になっていただきました!
ブレンダくんはそう言って、先ほどの男を前に押し出す。
「あー…ミオ・スミーラっちゅうモンや。君らは…先輩って事になるんかな。あんじょうよろしゅう。」
明らかに年下であるワタシ達にも丁寧に名乗るとは、中々礼儀のなった人間のようだな。
こういった手合いはやはり、それなりに好感が持てる。
しかし、それを聞いたアモくんが相変わらずテンション高くバンバンと机を叩いて破壊しながら自己紹介を行っているのに気づき、ワタシはペンを置く事にした。
これでは書き込むなんてできそうもない、頭の中にしっかりと残しておく事にしよう。
以前のような、時間やら空間やらに作用する珍妙な品ではない、というのは少しばかり残念だが…
後始末のような無駄な手間が省けたと考えれば、まぁよしとしても良いだろう。
しかし、専属とはな。
先日に続き、またワタシになんの断りもなく従業員を増やしたというのか…
「カノ?静かだけど…どしたの?」
「ああいや、なんでもない。そうだ、自己紹介が遅れたな。ワタシはカノだよ。」
いけないな、好奇心のあまりワタシ自身が礼儀知らずになる所だった。他人にへーこらするのは世界一大嫌いだが、自己紹介や挨拶はそれ以前の問題だろう。
そんな事、絶対にあってはならないのだから重々気をつけるようにしなくては。
「というワケで、私は今からミオサンと魔道具作りに行ってくるので!鬼が寝てるスキに洗濯です!!」
そういうブレンダくんは件の「鬼」、彼女の使い魔である黒猫のエランの部屋の方を向いている。エランはどうも今就寝中らしい。
ちなみに、昔から彼女に振り回されていると聞くのだが…
哀れな生き物だと思うと同時に、少し腹立たしくもあるな。
さぞかしいいネタが手に入っただろうに、彼は黙して語ろうとしないのだから。
「それじゃ、行ってらっしゃーい!あそうだ、今日の夕ご飯なにー?」
「今日の当番はエランですので、エランが起きたら聞いてください!それじゃ、ホラ行きますよミオサン!!」
猫に料理をさせる…
ああ、中々どうしてネタに尽きないな。インスピレーションが沸いたかもしれない。
そうとなれば、今すぐこれを書き留めるという作業が必要だろう!
「…三人とも、今すぐここから出た上で、しばらく入らないでもらえるだろうか。少々集中したい。ああ、難しいようであれば構わない、ワタシが部屋に下がるよ。」
小説を書いている時は、邪魔になる物は一つたりとも存在してはならないからな!!