- 閲覧前にご確認ください -

この作品は拙作、「ハーミット魔道学園は今日も事件だらけのようです。」と世界観を共有しています。

ですが、一応それを読んでいなくても分かるように話を作っていく予定ではあります。

また、作品の都合上、多少暴言や暴力などの表現が含まれる可能性があります。お気をつけ下さい。

お客さんお待ちしております。

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【参加型】アークライト魔道具店に今日も何方か来たようです。

#2

-Prologue-

「今日もつまらないですねぇ…募集したはいいけど、店員さんも中々集まりませんし…」

 小さな店に女性と少年、二人分の嘆息が響く。
 しかし、それは互いに意味が違う。
 女性の方は食傷だが、もう一方は閉口だ。

「…ブレンダくん…ワタシは世界で一番、愚痴と共感を求められる事が嫌いだ、と何度も言っているだろう。」
「えー…コレも共感なんです?愚痴は確かにそうかもですケド…」

 女性の口から再び溜息が溢れるのを聞いて、少年はやれやれと言わんばかりに肩を竦める。

「そうは言っても、三文小説の題材にすらならないこの状況じゃあ、さすがに退屈もして当然というものか…」

 そう呟いた黒髪に黒い和装の可愛らしい少年は、手元のメモに何かを書き込んでいる。
 如何やらソレは創作用らしく、幾らか文字が書いてはある。
 だが、生憎筆が乗っているとは言い難い状況のようだ。

 一方、その言葉に追従するかのように頷く女性は、広いカウンターにぐたりと倒れ込んでいる。
 というよりむしろ、退屈で溶けていると言った方が正確か。彼女は何よりも面白いコトを好み、つまらないコトを嫌うのだ。

 ものの見事に閑古鳥の鳴く此処は、アークライト魔道具店。
 そう、読んで字の如く[漢字]魔道具を売る店だ[/漢字][ふりがな]・・・・・・・・[/ふりがな]。
 棚には数多の魔道具が並び、来店者の目を立ち所に見開かせるだろう。
 中には、あっという間に魅入られ、狂おしいほどに手を伸ばしたくなるモノだってあるかもしれない。

 少々特殊な空間にあるこの店は、何処からでも行く事ができる。
 魔法界、天界、魔界、その何処だって、この魔道具店がある異界に繋がる門はある。

 勿論、人間界にも存在する。時たま現れる神秘を知らない客は、いつ見ても面白いモノなのだ。

 何処かの街の小さな路地の、立ち並ぶビルと数多の雑踏の合間の小さな隙間、貴方の街にも有るかもしれないそんな場所。
 そんな場所からしか行く事ができない、住所不定、店員未定の謎の店。

 とどのつまり、「何処にでも有るが何処にも無い」とはそういう事である。

 故に当然、基本的に訪れる者など居る筈も無く、余程の事が無ければ見つけられない寂れた小さな魔道具店だ。

 そこの主である、短めの銀髪を軽く編み込み、血のような赤い瞳を僅かに伏せた女性は、また一つ嘆息を洩らす。

「なんか面白いコト、無いかなぁ…ねぇ、予算降ろして下さいよー…店主は私でしょう…」
「どうせまた変なモノを買って来て、尻拭いはワタシになるのがオチだろう。却下だよ。」

 スッパリと、それはもうとりつく島も一切無く却下する少年。
 どうやら彼はその小柄な体格に似合わず、彼女より遥かにしっかりした性格のようだ。

「仕方ありませんね…私、奥で魔道具でも作って来ます…店番、頼みました…」
「店主がソレで良いワケがないだろう。ワタシはタダの帳簿係であって、使いっ走りの店番じゃあないんだよ?」

 う、ですよね…と言いながらも、後退りを止めない店主。
 その途端、カラン、とドアベルが鳴った。

 少年の口角が少しばかり上がり、メモのページを静かに捲る。
 店主の背筋はピシリと伸び、その黒い衣は、接客用の燻んだ赤色のエプロンに変わった。

 どうやら退屈は此処までのようだ、と店員達は互いに目を交わし、一つ頷く。



「いらっしゃいませ、アークライト魔道具店にようこそ!」
「初めまして、こんにちは。本日は何をお探しでしょう?」



 そう、これは。
 不思議な不思議な魔道具店と、その魔道具に纏わる人々の物語である。

作者メッセージ

本編始まる前のプロローグなので、「うちの子いないよー?」ってなった方、安心して下さい。
採用した方は出しますので。

あとですね、絶望的なツッコミ不足パーティーが出来上がってしまったんで、ブレンダの使い魔を喋らせようと思います。

2025/01/18 19:05

Ruka(るか) ID:≫ppOwyaLqNDBvA
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