【参加型】アークライト魔道具店に今日も何方か来たようです。
「今日もつまらないですねぇ…募集したはいいけど、店員さんも中々集まりませんし…」
小さな店に女性と少年、二人分の嘆息が響く。
しかし、それは互いに意味が違う。
女性の方は食傷だが、もう一方は閉口だ。
「…ブレンダくん…ワタシは世界で一番、愚痴と共感を求められる事が嫌いだ、と何度も言っているだろう。」
「えー…コレも共感なんです?愚痴は確かにそうかもですケド…」
女性の口から再び溜息が溢れるのを聞いて、少年はやれやれと言わんばかりに肩を竦める。
「そうは言っても、三文小説の題材にすらならないこの状況じゃあ、さすがに退屈もして当然というものか…」
そう呟いた黒髪に黒い和装の可愛らしい少年は、手元のメモに何かを書き込んでいる。
如何やらソレは創作用らしく、幾らか文字が書いてはある。
だが、生憎筆が乗っているとは言い難い状況のようだ。
一方、その言葉に追従するかのように頷く女性は、広いカウンターにぐたりと倒れ込んでいる。
というよりむしろ、退屈で溶けていると言った方が正確か。彼女は何よりも面白いコトを好み、つまらないコトを嫌うのだ。
ものの見事に閑古鳥の鳴く此処は、アークライト魔道具店。
そう、読んで字の如く[漢字]魔道具を売る店だ[/漢字][ふりがな]・・・・・・・・[/ふりがな]。
棚には数多の魔道具が並び、来店者の目を立ち所に見開かせるだろう。
中には、あっという間に魅入られ、狂おしいほどに手を伸ばしたくなるモノだってあるかもしれない。
少々特殊な空間にあるこの店は、何処からでも行く事ができる。
魔法界、天界、魔界、その何処だって、この魔道具店がある異界に繋がる門はある。
勿論、人間界にも存在する。時たま現れる神秘を知らない客は、いつ見ても面白いモノなのだ。
何処かの街の小さな路地の、立ち並ぶビルと数多の雑踏の合間の小さな隙間、貴方の街にも有るかもしれないそんな場所。
そんな場所からしか行く事ができない、住所不定、店員未定の謎の店。
とどのつまり、「何処にでも有るが何処にも無い」とはそういう事である。
故に当然、基本的に訪れる者など居る筈も無く、余程の事が無ければ見つけられない寂れた小さな魔道具店だ。
そこの主である、短めの銀髪を軽く編み込み、血のような赤い瞳を僅かに伏せた女性は、また一つ嘆息を洩らす。
「なんか面白いコト、無いかなぁ…ねぇ、予算降ろして下さいよー…店主は私でしょう…」
「どうせまた変なモノを買って来て、尻拭いはワタシになるのがオチだろう。却下だよ。」
スッパリと、それはもうとりつく島も一切無く却下する少年。
どうやら彼はその小柄な体格に似合わず、彼女より遥かにしっかりした性格のようだ。
「仕方ありませんね…私、奥で魔道具でも作って来ます…店番、頼みました…」
「店主がソレで良いワケがないだろう。ワタシはタダの帳簿係であって、使いっ走りの店番じゃあないんだよ?」
う、ですよね…と言いながらも、後退りを止めない店主。
その途端、カラン、とドアベルが鳴った。
少年の口角が少しばかり上がり、メモのページを静かに捲る。
店主の背筋はピシリと伸び、その黒い衣は、接客用の燻んだ赤色のエプロンに変わった。
どうやら退屈は此処までのようだ、と店員達は互いに目を交わし、一つ頷く。
「いらっしゃいませ、アークライト魔道具店にようこそ!」
「初めまして、こんにちは。本日は何をお探しでしょう?」
そう、これは。
不思議な不思議な魔道具店と、その魔道具に纏わる人々の物語である。
小さな店に女性と少年、二人分の嘆息が響く。
しかし、それは互いに意味が違う。
女性の方は食傷だが、もう一方は閉口だ。
「…ブレンダくん…ワタシは世界で一番、愚痴と共感を求められる事が嫌いだ、と何度も言っているだろう。」
「えー…コレも共感なんです?愚痴は確かにそうかもですケド…」
女性の口から再び溜息が溢れるのを聞いて、少年はやれやれと言わんばかりに肩を竦める。
「そうは言っても、三文小説の題材にすらならないこの状況じゃあ、さすがに退屈もして当然というものか…」
そう呟いた黒髪に黒い和装の可愛らしい少年は、手元のメモに何かを書き込んでいる。
如何やらソレは創作用らしく、幾らか文字が書いてはある。
だが、生憎筆が乗っているとは言い難い状況のようだ。
一方、その言葉に追従するかのように頷く女性は、広いカウンターにぐたりと倒れ込んでいる。
というよりむしろ、退屈で溶けていると言った方が正確か。彼女は何よりも面白いコトを好み、つまらないコトを嫌うのだ。
ものの見事に閑古鳥の鳴く此処は、アークライト魔道具店。
そう、読んで字の如く[漢字]魔道具を売る店だ[/漢字][ふりがな]・・・・・・・・[/ふりがな]。
棚には数多の魔道具が並び、来店者の目を立ち所に見開かせるだろう。
中には、あっという間に魅入られ、狂おしいほどに手を伸ばしたくなるモノだってあるかもしれない。
少々特殊な空間にあるこの店は、何処からでも行く事ができる。
魔法界、天界、魔界、その何処だって、この魔道具店がある異界に繋がる門はある。
勿論、人間界にも存在する。時たま現れる神秘を知らない客は、いつ見ても面白いモノなのだ。
何処かの街の小さな路地の、立ち並ぶビルと数多の雑踏の合間の小さな隙間、貴方の街にも有るかもしれないそんな場所。
そんな場所からしか行く事ができない、住所不定、店員未定の謎の店。
とどのつまり、「何処にでも有るが何処にも無い」とはそういう事である。
故に当然、基本的に訪れる者など居る筈も無く、余程の事が無ければ見つけられない寂れた小さな魔道具店だ。
そこの主である、短めの銀髪を軽く編み込み、血のような赤い瞳を僅かに伏せた女性は、また一つ嘆息を洩らす。
「なんか面白いコト、無いかなぁ…ねぇ、予算降ろして下さいよー…店主は私でしょう…」
「どうせまた変なモノを買って来て、尻拭いはワタシになるのがオチだろう。却下だよ。」
スッパリと、それはもうとりつく島も一切無く却下する少年。
どうやら彼はその小柄な体格に似合わず、彼女より遥かにしっかりした性格のようだ。
「仕方ありませんね…私、奥で魔道具でも作って来ます…店番、頼みました…」
「店主がソレで良いワケがないだろう。ワタシはタダの帳簿係であって、使いっ走りの店番じゃあないんだよ?」
う、ですよね…と言いながらも、後退りを止めない店主。
その途端、カラン、とドアベルが鳴った。
少年の口角が少しばかり上がり、メモのページを静かに捲る。
店主の背筋はピシリと伸び、その黒い衣は、接客用の燻んだ赤色のエプロンに変わった。
どうやら退屈は此処までのようだ、と店員達は互いに目を交わし、一つ頷く。
「いらっしゃいませ、アークライト魔道具店にようこそ!」
「初めまして、こんにちは。本日は何をお探しでしょう?」
そう、これは。
不思議な不思議な魔道具店と、その魔道具に纏わる人々の物語である。