二次創作
ヴィーナスさんは変態が多過ぎるので引きこもりたい。
動くたびに揺れて、光を散らすブロンドの髪。
茶色と緑が混じり合ったヘーゼルの瞳が太陽光に当たって、見る角度で表情を変える宝石のようだった。
そんな宝石の瞳を縁取る長いまつ毛、少し垂れ気味の太眉。ツンとした小さな鼻。
まるで地上に降り立った天使、人を導く麗しいの公子、空に輝く希望の星。
そんな小さな天使が、薄く色づいた桜色のほっぺたに笑窪を作って笑っている。
同じ母から生まれ、同じ胎で過ごした三つ子の兄達を踏みつけて得意げにボンタ◯アメの最後の一粒を頬張っていた。
「ハッ、殴り合いでワシに勝ったことあらへんのに喧嘩挑からこうなんねん」
天使の如き容姿を持つ弟に殴られて傷んだ頬と、引っ張られてなんか調子が可笑しい肩を抱えて泣き崩れる兄達を、清廉な微笑みを浮かべながら貶んだ。
顔面に完璧な位置で配置された花びらのような唇から飛び出るのはコテコテの関西弁と、刺々しい言葉。
天使のごとき少年……もといい、宮 孟は俗に言う、見た目詐欺だった。
小さな背中から今にも羽が生えて飛び立ちそうなくらい可憐で清廉。
美しすぎて、見る人にSAN値チェックを強要するAPP18越えの、この世に存在していいのかと疑うほど完璧な美貌。
……そんな良すぎる顔面と、孟の性格は恐ろしいほど噛み合わなかった。
話してダメなら殴れ。
どれだけ相手が強くても、目的を達成するまでボッコボッコのギッタンギッタンになるまで殴る。
それが孟のポリシーというか信念だった。
さらに厄介なのは孟の自分への圧倒的自信。孟は自分が360度どこから見ても天使にしか見えない美少年だと理解している点だ。
その荒々しすぎる精神と信念を咎められても。うるうる上目遣いとぶりっ子ポーズでだいたい誤魔すし、誤魔化せれる。
それが効かないのは後に親友になる女と母親だけ。
侑と治?ないない、あいつらは孟と染色体からの付き合いだけど未だに孟の顔面になれてい。
ベビーベッドの上で弟の顔を見た時にこの世の人間とは思えない美貌に恐れ慄き、SAN値チェックに失敗したんだろう。
そしてその新生児時代の失敗を今も引きずった結果、喧嘩で取っ組み合いしても顔面に見惚れるから一瞬の隙をつかれて惨敗している。
さて、孟の顔面についての話はそこそこに、ボンタ◯アメに戻る。
宮兄弟の最近のブームは駄菓子屋でお菓子を買って、近くの公園で食べることだった。まだ小学一年生でお小遣いにも制限のある宮兄弟はお菓子を買うのにも3人で出し合ってようやく一個、それを分け合って食べるというのが通例だった。
そして今日のお菓子に選ばれたのはみんな大好き駄菓子屋のボ◯タンアメ。
メジャーで3人とも食べたことのあるお菓子だったし、そこまではまぁ良かった。
だがひとつ、三つ子が間違えた。そのボンタ◯アメが10粒入りだったのだ……。
10÷3=3あまり1。
最近覚えたばっかりの割り算で導き出したのはあまりにも無慈悲な答えだった。
この計算結果は全員が3つづつ食べれるが、この中の誰かが4つ目を食べれることを表している。
負けん気の強い男兄弟、3時の公園、最後の一粒。何も起きないはずがなく………。
宮兄弟の◯ンタンアメ最後の一粒を賭け、たまたま通りかかった近所の村田さん家の次郎丸(元野良のオス猫)がドン引くレベルの激しい乱闘が起こった。
後に「宮さんちのの大乱闘〜最後のボンタン◯メを巡って〜」と名付けられ、野良猫会議で議題に上がるその争いの勝者はもちろんのこと宮 孟。
彼は顔だけではなく腕っぷしもかなり強かった。
顔面で油断させて、鉄板も素手で歪ませる拳で即KOをキメるという戦法で大抵はボコボコにできた。
彼の腕っぷしと顔面で地に沈み、死体の山として積み上げられた者は、将来を約束され死麗しの美少年のくせにバカ強いとかモリモリな属性で、老若男女関係なく性癖をメチョンメチョンのギッタギッタのギェンピッピーダァウダァに歪められた。
えっ聞いたことのない効果音がする?それはきっと、性癖が捩じ切れて新しく芽生えた音だね。そのうち聞き慣れるよ。
ちなみに、孟の兄たちもその腕力の拳の被害者だが特に性癖は歪んでいない。
というか顔は完璧だけど性格もポリシーも全部ぶっ飛んでるヤベェ弟が幼少期どころか生まれた時からいるせいで、ふわふわしていて適度に可愛い素直な妹みたいな女の子がタイプになった。
これはこれである意味歪んでいる気もするが………まぁいいか。
街を歩けばナンパとスカウトの嵐を巻き起こす天使の如き外見を持っていて、尚且つ武神のように強い自分は最強だと孟は思っていた。
世界は自分中心に回っていて、誰よりも自分は美しく、強いと。
彼は超自分本位人間でわがままな考えを本気を持っていたし、信じていた。
____だけどそれは、俺様最強期の真っ只中である1年生の2学期に、全て崩れていった。
背中いっぱい広がった豊かな黒髪は、窓から差し込む光を受けるとキラキラして星が瞬いているようだった。
ぱっちりと大きな二重瞼で跳ね上がった目尻が猫っぽいのに、脂っ気のないサラサラの前髪越しの流し目で儚げな雰囲気大爆発事件。
存在感を主張しない小さな鼻とちょこんとした桜色の唇。
夏の暑さで薄く染まったほっぺたが可愛らしい。
孟の美貌が天使と見紛う圧倒的正統派の美少年ならば、この少女は気づけば桜吹雪に攫われてしまいそうな儚く、危うい春の精のよう。
孟の目の前に現れた少女は、自分より美しい存在はいないと思っていた孟の価値観を簡単に壊すぐらい美しかった。
綺麗で、可愛くて、儚げで、えげつないまでに美しい。
気づけば孟はこの世に自分よりも美しい者は存在しないという思い込みも、プライドも捨ててポツリと本音を漏らした。
「「美しい………!」」
それは少女も同じだったようで、孟のボーイソプラノと少女の鈴を転がしたような声が重なった。
「あっ、はず………」
寧々子な思わず漏れていた自分の声を恥じたように口元に手当てて視線を左右にウロチョロさせた。
本人は真正面から自分の感想を本人に言ってしまったという事実に羞恥しているだけなのだが、周りから見ればただ親近感が湧く仕草、言い換えれば思わせぶりな態度だった。
対して孟の方は大きく目を見開いていた瞳を通常の大きさに戻して、緩りと口元に弧を描いた。
外見は天使としか思えない彼にしては珍しい、何かの含みと期待を混ぜこぜにした邪悪な笑みだった。一言で言えばゲス顔。そんな表情も顔がいいばっかりにカッコこよく見えてしまうのはもはや罪。
孟はその笑顔のまま、一歩二歩と寧々子に近づいてガッチリと肩を掴んだ。
「なぁ、オマエ転校生やんな?どこから来た?というか名前は?」
「えっちょっ、一旦離れて」
「言うたら離すさかい、はよ言え!ちなみに俺は宮 孟、よろしく!」
「うわっ勢いつよ………あーもう、私は来間 寧々子、東京から来た。はい言った!早く手離して」
寧々子が諦めたように言えば、孟は言葉通り寧々子の肩を離した。
だが、それで終わる孟ではない。
「寧々子。ふぅん……寧々子な。ねねはありきたりやし、ワシはこれからねこって呼ぶさかい呼ばれたら返事せぇよ」
「えっ、勝手にあだ名で呼ぶ人に返事したくねぇです」
ジェスチャー付きで返事をすれば孟は疑問符を浮かべた。
だって今まで、こうやって強引にでも距離を詰めて喜ばない女は居なかったんだけどなぁ……っと、某御門みたいな事を呟けば、やはり寧々子も「どこの御門だよ……」というツッコミを返した。
「みかど……?」
「あー何でもない。それで、何か用があるの?なかったら私、職員室に行かないといけないんだけど」
心底迷惑そうな顔をした寧々子だが、孟はそれすら全く気づかない様子でその麗しい顔面を近づけた。
寧々子は孟の綺麗すぎる顔に一瞬たじろいだ。
孟はその一瞬を逃さず、攻撃を放つ。
「なぁ、ねこ。俺のミューズになってよ」
ヘーゼルの瞳と、アメジストの瞳が絡み合った。
かっちりと歯車と歯車が噛み合うみたいに、2色の絵の具が混じり合うみたいに。
この時、この瞬間、二人の運命が重なりあった。
後に、その少女___来間 寧々子と孟のこの出会いは、ヴィーナスとナルキッソスの邂逅と言われることとなる。
茶色と緑が混じり合ったヘーゼルの瞳が太陽光に当たって、見る角度で表情を変える宝石のようだった。
そんな宝石の瞳を縁取る長いまつ毛、少し垂れ気味の太眉。ツンとした小さな鼻。
まるで地上に降り立った天使、人を導く麗しいの公子、空に輝く希望の星。
そんな小さな天使が、薄く色づいた桜色のほっぺたに笑窪を作って笑っている。
同じ母から生まれ、同じ胎で過ごした三つ子の兄達を踏みつけて得意げにボンタ◯アメの最後の一粒を頬張っていた。
「ハッ、殴り合いでワシに勝ったことあらへんのに喧嘩挑からこうなんねん」
天使の如き容姿を持つ弟に殴られて傷んだ頬と、引っ張られてなんか調子が可笑しい肩を抱えて泣き崩れる兄達を、清廉な微笑みを浮かべながら貶んだ。
顔面に完璧な位置で配置された花びらのような唇から飛び出るのはコテコテの関西弁と、刺々しい言葉。
天使のごとき少年……もといい、宮 孟は俗に言う、見た目詐欺だった。
小さな背中から今にも羽が生えて飛び立ちそうなくらい可憐で清廉。
美しすぎて、見る人にSAN値チェックを強要するAPP18越えの、この世に存在していいのかと疑うほど完璧な美貌。
……そんな良すぎる顔面と、孟の性格は恐ろしいほど噛み合わなかった。
話してダメなら殴れ。
どれだけ相手が強くても、目的を達成するまでボッコボッコのギッタンギッタンになるまで殴る。
それが孟のポリシーというか信念だった。
さらに厄介なのは孟の自分への圧倒的自信。孟は自分が360度どこから見ても天使にしか見えない美少年だと理解している点だ。
その荒々しすぎる精神と信念を咎められても。うるうる上目遣いとぶりっ子ポーズでだいたい誤魔すし、誤魔化せれる。
それが効かないのは後に親友になる女と母親だけ。
侑と治?ないない、あいつらは孟と染色体からの付き合いだけど未だに孟の顔面になれてい。
ベビーベッドの上で弟の顔を見た時にこの世の人間とは思えない美貌に恐れ慄き、SAN値チェックに失敗したんだろう。
そしてその新生児時代の失敗を今も引きずった結果、喧嘩で取っ組み合いしても顔面に見惚れるから一瞬の隙をつかれて惨敗している。
さて、孟の顔面についての話はそこそこに、ボンタ◯アメに戻る。
宮兄弟の最近のブームは駄菓子屋でお菓子を買って、近くの公園で食べることだった。まだ小学一年生でお小遣いにも制限のある宮兄弟はお菓子を買うのにも3人で出し合ってようやく一個、それを分け合って食べるというのが通例だった。
そして今日のお菓子に選ばれたのはみんな大好き駄菓子屋のボ◯タンアメ。
メジャーで3人とも食べたことのあるお菓子だったし、そこまではまぁ良かった。
だがひとつ、三つ子が間違えた。そのボンタ◯アメが10粒入りだったのだ……。
10÷3=3あまり1。
最近覚えたばっかりの割り算で導き出したのはあまりにも無慈悲な答えだった。
この計算結果は全員が3つづつ食べれるが、この中の誰かが4つ目を食べれることを表している。
負けん気の強い男兄弟、3時の公園、最後の一粒。何も起きないはずがなく………。
宮兄弟の◯ンタンアメ最後の一粒を賭け、たまたま通りかかった近所の村田さん家の次郎丸(元野良のオス猫)がドン引くレベルの激しい乱闘が起こった。
後に「宮さんちのの大乱闘〜最後のボンタン◯メを巡って〜」と名付けられ、野良猫会議で議題に上がるその争いの勝者はもちろんのこと宮 孟。
彼は顔だけではなく腕っぷしもかなり強かった。
顔面で油断させて、鉄板も素手で歪ませる拳で即KOをキメるという戦法で大抵はボコボコにできた。
彼の腕っぷしと顔面で地に沈み、死体の山として積み上げられた者は、将来を約束され死麗しの美少年のくせにバカ強いとかモリモリな属性で、老若男女関係なく性癖をメチョンメチョンのギッタギッタのギェンピッピーダァウダァに歪められた。
えっ聞いたことのない効果音がする?それはきっと、性癖が捩じ切れて新しく芽生えた音だね。そのうち聞き慣れるよ。
ちなみに、孟の兄たちもその腕力の拳の被害者だが特に性癖は歪んでいない。
というか顔は完璧だけど性格もポリシーも全部ぶっ飛んでるヤベェ弟が幼少期どころか生まれた時からいるせいで、ふわふわしていて適度に可愛い素直な妹みたいな女の子がタイプになった。
これはこれである意味歪んでいる気もするが………まぁいいか。
街を歩けばナンパとスカウトの嵐を巻き起こす天使の如き外見を持っていて、尚且つ武神のように強い自分は最強だと孟は思っていた。
世界は自分中心に回っていて、誰よりも自分は美しく、強いと。
彼は超自分本位人間でわがままな考えを本気を持っていたし、信じていた。
____だけどそれは、俺様最強期の真っ只中である1年生の2学期に、全て崩れていった。
背中いっぱい広がった豊かな黒髪は、窓から差し込む光を受けるとキラキラして星が瞬いているようだった。
ぱっちりと大きな二重瞼で跳ね上がった目尻が猫っぽいのに、脂っ気のないサラサラの前髪越しの流し目で儚げな雰囲気大爆発事件。
存在感を主張しない小さな鼻とちょこんとした桜色の唇。
夏の暑さで薄く染まったほっぺたが可愛らしい。
孟の美貌が天使と見紛う圧倒的正統派の美少年ならば、この少女は気づけば桜吹雪に攫われてしまいそうな儚く、危うい春の精のよう。
孟の目の前に現れた少女は、自分より美しい存在はいないと思っていた孟の価値観を簡単に壊すぐらい美しかった。
綺麗で、可愛くて、儚げで、えげつないまでに美しい。
気づけば孟はこの世に自分よりも美しい者は存在しないという思い込みも、プライドも捨ててポツリと本音を漏らした。
「「美しい………!」」
それは少女も同じだったようで、孟のボーイソプラノと少女の鈴を転がしたような声が重なった。
「あっ、はず………」
寧々子な思わず漏れていた自分の声を恥じたように口元に手当てて視線を左右にウロチョロさせた。
本人は真正面から自分の感想を本人に言ってしまったという事実に羞恥しているだけなのだが、周りから見ればただ親近感が湧く仕草、言い換えれば思わせぶりな態度だった。
対して孟の方は大きく目を見開いていた瞳を通常の大きさに戻して、緩りと口元に弧を描いた。
外見は天使としか思えない彼にしては珍しい、何かの含みと期待を混ぜこぜにした邪悪な笑みだった。一言で言えばゲス顔。そんな表情も顔がいいばっかりにカッコこよく見えてしまうのはもはや罪。
孟はその笑顔のまま、一歩二歩と寧々子に近づいてガッチリと肩を掴んだ。
「なぁ、オマエ転校生やんな?どこから来た?というか名前は?」
「えっちょっ、一旦離れて」
「言うたら離すさかい、はよ言え!ちなみに俺は宮 孟、よろしく!」
「うわっ勢いつよ………あーもう、私は来間 寧々子、東京から来た。はい言った!早く手離して」
寧々子が諦めたように言えば、孟は言葉通り寧々子の肩を離した。
だが、それで終わる孟ではない。
「寧々子。ふぅん……寧々子な。ねねはありきたりやし、ワシはこれからねこって呼ぶさかい呼ばれたら返事せぇよ」
「えっ、勝手にあだ名で呼ぶ人に返事したくねぇです」
ジェスチャー付きで返事をすれば孟は疑問符を浮かべた。
だって今まで、こうやって強引にでも距離を詰めて喜ばない女は居なかったんだけどなぁ……っと、某御門みたいな事を呟けば、やはり寧々子も「どこの御門だよ……」というツッコミを返した。
「みかど……?」
「あー何でもない。それで、何か用があるの?なかったら私、職員室に行かないといけないんだけど」
心底迷惑そうな顔をした寧々子だが、孟はそれすら全く気づかない様子でその麗しい顔面を近づけた。
寧々子は孟の綺麗すぎる顔に一瞬たじろいだ。
孟はその一瞬を逃さず、攻撃を放つ。
「なぁ、ねこ。俺のミューズになってよ」
ヘーゼルの瞳と、アメジストの瞳が絡み合った。
かっちりと歯車と歯車が噛み合うみたいに、2色の絵の具が混じり合うみたいに。
この時、この瞬間、二人の運命が重なりあった。
後に、その少女___来間 寧々子と孟のこの出会いは、ヴィーナスとナルキッソスの邂逅と言われることとなる。