二次創作
ヴィーナスさんは変態が多過ぎるので引きこもりたい。
「寧々子ちゃんは偉いね、まだちっちゃいのにそんなに勉強してるんだ。お母さんにやれって言われてるの?可哀想だね」
「べつにいわれてにない」
「無理しなくてもいいんだよ。みんなと遊ぶのも出来ないぐらい宿題いっぱい出されてるんでしょ?」
「むりしてないよ。それにみんなとあそぶのよりべんきょーするほうがたのしいだけ。しゅくだいなんてない」
先生から話題振ってくるんの楽じゃんって考えてたけど最後ので吹っ飛んだわ。なにお前ごときが私の完璧で美しいお母様を悪く言ってんの?
このワークも私が選んだものだって。お母さんはちゃんと私の年齢にあったドリル買ってきたけど、私が直ぐに解いてつまんなそうだったから一緒に本屋さん行って選んだの。
ママが優しさと配慮ということを知らないペド野郎は消えてろ。カス!っと、内心散々悪口言いながら耐える。ここで下手なこと言ってキレられたら命の危険なんで。怒りを抑えてそっけなく返すだけにしよう。
「別にお母さんを庇わなくてもいいんだよ。大丈夫、先生は寧々子ちゃんの味方だから」
「はぁ?ぶとうぐみのせんせいじゃないどころか、このようちえんでかぞえるぐらいしかあったことないおまえがわたしのみかた?わらわせんなよきしょくわるい。よくぼうをおさえられずにわたしにてをだそうとするあくがいぺどやろうのまちがいでしょ?これいじょうちかづくのやめてもらえる?ひどくはきけがする。じゃま、きえて」
「は、」
拝啓、前話前の私へ。
怒りを抑えてそっけなく返すだけって言いたけど思わずキレて長文レスバ炸裂しちゃった☆
君の努力無駄にしてごめんね。でも、ママ貶された挙句に味方面とかキレる要素しかなくない?ってことで許してちょ。\イイヨー/
許してくえれてありがとう前話の私。
「ね、ねこちゃん……」
「なまえもよばないで」
さっき爆発して抑えられなくなった感情が溢れてくる。こんな男に私の名前を呼ばれるなんて我慢できない、嫌だ。
いやだ、きらい、きたない、どっかいって、よぶな、きらい、ヤダヤダ!
幼児の少ない語彙力を使って男を拒絶した。頭の中ではこんなことを言ったら逆上されるって分かっていたけど幼さゆえに感情のセーブが効かなかった。
精神年齢と身体年齢が釣り合わなくて考えていても感情が爆発するというのは転生してから時々あった。わざわざ泣かなくてもいいのに涙が出るし、怖くて動けなくなる。チグハグな思考と感情に脳がぐるぐる回る。
「あなたは、[漢字]ねこ[/漢字][ふりがな]わたし[/ふりがな]とかんけいないでしょ!!」
抑えられなくなった感情のまま、涙を流して扉を開けた。男は勢いよく開けた扉に対応し切れずによろめいて地面に手を付いた。やーい!!おまえなんかトイレのゴミムシとキスする方がお似合いなんだよォオ!!
中指を立てたかったけど時間が勿体無いので立てなかった。絡れる足でトイレ内を爆走しながら大声で助けを求めようと思っていたけど、そんなに上手く行く筈もなく手を伸ばした男に掴まれて転倒した。
トイレの床じゃなくてギリギリ外に出ていたのが救いだ。
それに、すぐに見える位置だし。
「う、嘘だ!!!寧々子ちゃんは、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!寧々子ちゃんが、お、俺の運命の人が俺を否定する訳ないっ!!!そ、そうだ、俺の気を引きたくて嘘ついてるんだろ?なっ、そうだろ??じゃなきゃ、お前は誰なんだよっ!!!」
えっ、キッショ。
「寧々子ちゃん、寧々子ちゃん、嘘はダメだよ。ね、ねぇ?嘘は、いけない。ね、ダメなことなんだよ。嘘ついたらお仕置きしないといけないんだ。あっ、そうだ。お仕置き、俺が寧々子ちゃんをお仕置き………ふひ、ふひひひひひひ!!ひ、ひひっ!!そっかぁ、そっかぁお仕置きかぁ。そおだねぇ、それもいいねぇ。じゃあ寧々子ちゃん、服脱ごうか」
えっ、キッショ。(2回目)
シンプルにきしょい。えぇ、何?解釈違いで嘘ついてるとか別人とか言い出すような繊細なタイプのオタクじゃないでしょ、お前。というか、そんな繊細なオタクなら幼稚園児に迫るようなことしないもん。
本当に繊細なオタクなら実際に会って解釈違いを起こす事すら恐れてライブ行ったりや配信聞いたりも気軽に出来なんだからな?これ、実体験だから。
まぁいいや、こいつは拒絶されることを極端に嫌うタイプなんだろう。
ならこのタイミングでとことん拒絶してやろう。別にコレは嫌がらせとかじゃないから。……そうじゃないったら!!というツンデレごっこを挟んで更なる激情を煽る。
こいつにもっと大声出して先生に来てやろう作戦である。
「[漢字]██████[/漢字][ふりがな]ピイィーーーーーーーー[/ふりがな]やろうが」
「寧々子ちゃん……?そんな言葉どこで?」
「ねぇ、かってにぺらぺらしゃべらないでもらえる?はっきりいってみみざわりとか、そういうれべるのうるささじゃないの。はつじょうきののらねこのほうがのほうがまだしずかだよ」
「ちが、寧々子ちゃんはそんなこと……」
「ざんねん。めのまえのおんなのこがねねこちゃんだよ。もしかして、またにせものだとじぶんにいいわけしようとしてる?めぇくさってるにしてもげんかいあるよ」
死ねゴミカス。
という気持ちを込めて前世の記憶の中でも一番屈辱的な悪口を言ったらコンプライアンスに引っ掛かったので一部ノリが貼られて規制音が鳴りましたがお気になさらず。
本当にこいつ気持ち悪い。
私の味方っていうのはパパやママ、おじいちゃんおばあちゃんの家族やご近所の優しい人たちだ。
間違ってもお前のような欲望を抑えれない上に園内で服を脱がせるなどの性的行為に及ぼうとする浅はかなペド野郎ではない。死ね。
あと運命ってなに?お前、今年で25って言ってただろ。20歳以上年下のガキがお前の運命な訳あるか。
一応ここで注釈しておくと、私は歳の差恋愛に否定的な訳じゃ無い。25歳の保育士と幼稚園児っていう絵面と年齢が問題だって言ってる。
別に私も45歳と26歳の恋愛なら好きにしろって感じだけど、今は25歳と6歳。
うーんこれはギルティ、次お会いするのは法廷ですね。まぁ代理人弁護士に任せるけど。
それにしも、怒りに任せて言いたいことを全部言ったら全部煽りになるとか超絶楽だな。ストレス発散にもなるし、害悪なければ言葉のサウンドバックとして買いたかった。
「っ、あ。ぅあああああああああああ!!!!」
はーい、待ってましたよ!お前の咆哮。
私がわざわざ喉使わなくても叫んでくれたのありがとう。もう遠慮なく死んでいいよ。
男はガット私の小さな首に手を回して、喉を締めたけど殺すことへの躊躇がまだ残っているのか力が弱くて意識飛ぶ程苦しいとかそういうのは無かった。
だけど、体はまだ幼児なので大の男が馬乗りになって首を絞めてきているという状況に確かな恐怖も覚えていたので目の端から熱い涙が溢れる。
男はそれに興奮したようで、涙を舐め取ろうと顔を近づけてきた。キッショ………。
だけど私に夢中になってくれたから足音には気付かなかったんでしょうね。
「な、なに……してるん、ですか……………?」
「ねこちゃんからはなれろ!!!」
構えられたカメラ、男の顔面に決まった園児の蹴り。
決定的瞬間をありがとうございます!!!これでお前の社会的死は免れない、お疲れ様でした〜
***
その日、幼稚園は緊急閉園となった。
保育士がトイレに居た園児に手を出した挙句、拒否された怒りのままに首を絞めたんだもの。そりゃ閉園にして警察に来てもらわないとねぇ。
あの後、男は無事逮捕。
現場に居合わせた幼稚園児と先生の証言&階段を登っている段階で聞こえて来たペド野郎の可笑しな言葉を聞いた先生が一応、といって取っといてくれた動画がなによりの証拠となった。
ちなみに私の煽りは映って無かった。よし、これで「信頼していた先生に裏切られて殺されかけた哀れな幼女」という体は保てる。
私は病院の検査に念の為に病院に行った。パパとママは収録を途中で止めて来てくれたのでちょっと申し訳無かったけど、それを言ったらめっちゃ怒られた。
そして逃亡してトイレに立て籠っていたことも怒られた。
うっ、はい………いや、ほんと………勝手に出ていってすいません。で、でも、こうなると思わなくて………うっ、はい。その通りです。ごめんなさい……。
次からはちゃんと気をつけます。人がいない所に行きません……。そう誓わされてお説教は終わった。
その後に大人たちの難しい話があるので子供達は待機。
まぁつまり、私とこうたろうくんだけの時間である。
水色のソファーに二人で腰掛けて、短い足をプラプラさせた。いつもなら落ち着きがないってお母さんに怒られるけど今日ばっかりはおセンチな気分なのでお許し願いたい。
相手が悪かったというもは勿論だけど、他の先生は全然悪くないいい人たちなのにあんなペド野郎が1匹招き込んで、私の不注意でここまでの大事にしてしまったのは罪悪感がある。
あれは私以外の被害者を出す前にしっかり法で裁かれるべきで、そのために今がここで声をあげるのが大切だって分かるけど、声を大きくしたらきっと世間に見つけられる。
人の不幸を娯楽にして遊ぶ連中がいるのは転生しても変わらなかった。
ペンを使わなくても指先だけで簡単に情報が発信で来てしまう世界ではそんな人たちが嬉々としてこの事件を面白おかしく書き立てて、私を守ろうとした人が傷つくのは嫌だ。
それなら最初から一人にならずに、しっかり周囲を警戒しろって話なんだけど、一人の時間がないと死ぬ族の私にはそれは難しい。
どうしたもんかと考えていたら、こうたろうくんが話しかけてきた。
「ねこちゃん」
「ん、どーしたの?」
「ねこちゃん、おれきらい?おれのこときらいだから、にげちゃったの?」
いつもはぴょこんと跳ねているミミズクみたいな前髪をしおしおと垂らして聞いてきた。
前世では二次元のショタキャラにしか発揮されていなかった母性が爆発して思わず撫で回してしまう。
よーしよしよしよしよし。
パパがやってくれてるみたいにわちゃわちゃと髪の毛を掻き混ぜるみたいにやって、最後は萎れていた前髪を立ててやって、撫でるのはおしまい。
「べつに、こうたろうくんのことはきらいじゃないよ」
ただ、外に出るののや、大き声や音が苦手なんだと伝える。
外に出るのが苦手なのは前世陰キャだったときの名残りだけど、この体に転生してからはあまり騒がしすぎるところはダメになった。
ママとパパの子供時代も似たようなものだったらしく、私の聴覚過敏に理解を示してくれているので、よく話すし仲はいいけど家自体は静かだ。
こうたろうくんには、人が多すぎるところや、子供の声、急に鳴る音……。とにかく私がそういうのが苦手なだけで、君は嫌いじゃないよ。
でも、どうしても外に出るのや、音が苦手なの。っと、幼稚園児らしい語彙力でこうたろうくんに伝えた。
「よかったぁ。おとがやなだけで、ねこちゃんおれのこときらいじゃないんだね」
「……ウン、ソウダヨ!」
い、言えない……。
こんな心の底から「俺は嫌われてないんだ、よかったぁ!!」という顔をしているショタに、「拙者、陰のものなので陽の貴殿とは相容れないで御坐る」とか言えない。
こんな輝かんばかりの笑顔をへにょへにょな泣き顔に出来ない………。そんなことしたらダメだって私の良心が言ってる。
「じゃあもっと、しずかにねこちゃんとあそぶね!!」
遊ぶことは決定事項なんだ……。
「べつにいわれてにない」
「無理しなくてもいいんだよ。みんなと遊ぶのも出来ないぐらい宿題いっぱい出されてるんでしょ?」
「むりしてないよ。それにみんなとあそぶのよりべんきょーするほうがたのしいだけ。しゅくだいなんてない」
先生から話題振ってくるんの楽じゃんって考えてたけど最後ので吹っ飛んだわ。なにお前ごときが私の完璧で美しいお母様を悪く言ってんの?
このワークも私が選んだものだって。お母さんはちゃんと私の年齢にあったドリル買ってきたけど、私が直ぐに解いてつまんなそうだったから一緒に本屋さん行って選んだの。
ママが優しさと配慮ということを知らないペド野郎は消えてろ。カス!っと、内心散々悪口言いながら耐える。ここで下手なこと言ってキレられたら命の危険なんで。怒りを抑えてそっけなく返すだけにしよう。
「別にお母さんを庇わなくてもいいんだよ。大丈夫、先生は寧々子ちゃんの味方だから」
「はぁ?ぶとうぐみのせんせいじゃないどころか、このようちえんでかぞえるぐらいしかあったことないおまえがわたしのみかた?わらわせんなよきしょくわるい。よくぼうをおさえられずにわたしにてをだそうとするあくがいぺどやろうのまちがいでしょ?これいじょうちかづくのやめてもらえる?ひどくはきけがする。じゃま、きえて」
「は、」
拝啓、前話前の私へ。
怒りを抑えてそっけなく返すだけって言いたけど思わずキレて長文レスバ炸裂しちゃった☆
君の努力無駄にしてごめんね。でも、ママ貶された挙句に味方面とかキレる要素しかなくない?ってことで許してちょ。\イイヨー/
許してくえれてありがとう前話の私。
「ね、ねこちゃん……」
「なまえもよばないで」
さっき爆発して抑えられなくなった感情が溢れてくる。こんな男に私の名前を呼ばれるなんて我慢できない、嫌だ。
いやだ、きらい、きたない、どっかいって、よぶな、きらい、ヤダヤダ!
幼児の少ない語彙力を使って男を拒絶した。頭の中ではこんなことを言ったら逆上されるって分かっていたけど幼さゆえに感情のセーブが効かなかった。
精神年齢と身体年齢が釣り合わなくて考えていても感情が爆発するというのは転生してから時々あった。わざわざ泣かなくてもいいのに涙が出るし、怖くて動けなくなる。チグハグな思考と感情に脳がぐるぐる回る。
「あなたは、[漢字]ねこ[/漢字][ふりがな]わたし[/ふりがな]とかんけいないでしょ!!」
抑えられなくなった感情のまま、涙を流して扉を開けた。男は勢いよく開けた扉に対応し切れずによろめいて地面に手を付いた。やーい!!おまえなんかトイレのゴミムシとキスする方がお似合いなんだよォオ!!
中指を立てたかったけど時間が勿体無いので立てなかった。絡れる足でトイレ内を爆走しながら大声で助けを求めようと思っていたけど、そんなに上手く行く筈もなく手を伸ばした男に掴まれて転倒した。
トイレの床じゃなくてギリギリ外に出ていたのが救いだ。
それに、すぐに見える位置だし。
「う、嘘だ!!!寧々子ちゃんは、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!寧々子ちゃんが、お、俺の運命の人が俺を否定する訳ないっ!!!そ、そうだ、俺の気を引きたくて嘘ついてるんだろ?なっ、そうだろ??じゃなきゃ、お前は誰なんだよっ!!!」
えっ、キッショ。
「寧々子ちゃん、寧々子ちゃん、嘘はダメだよ。ね、ねぇ?嘘は、いけない。ね、ダメなことなんだよ。嘘ついたらお仕置きしないといけないんだ。あっ、そうだ。お仕置き、俺が寧々子ちゃんをお仕置き………ふひ、ふひひひひひひ!!ひ、ひひっ!!そっかぁ、そっかぁお仕置きかぁ。そおだねぇ、それもいいねぇ。じゃあ寧々子ちゃん、服脱ごうか」
えっ、キッショ。(2回目)
シンプルにきしょい。えぇ、何?解釈違いで嘘ついてるとか別人とか言い出すような繊細なタイプのオタクじゃないでしょ、お前。というか、そんな繊細なオタクなら幼稚園児に迫るようなことしないもん。
本当に繊細なオタクなら実際に会って解釈違いを起こす事すら恐れてライブ行ったりや配信聞いたりも気軽に出来なんだからな?これ、実体験だから。
まぁいいや、こいつは拒絶されることを極端に嫌うタイプなんだろう。
ならこのタイミングでとことん拒絶してやろう。別にコレは嫌がらせとかじゃないから。……そうじゃないったら!!というツンデレごっこを挟んで更なる激情を煽る。
こいつにもっと大声出して先生に来てやろう作戦である。
「[漢字]██████[/漢字][ふりがな]ピイィーーーーーーーー[/ふりがな]やろうが」
「寧々子ちゃん……?そんな言葉どこで?」
「ねぇ、かってにぺらぺらしゃべらないでもらえる?はっきりいってみみざわりとか、そういうれべるのうるささじゃないの。はつじょうきののらねこのほうがのほうがまだしずかだよ」
「ちが、寧々子ちゃんはそんなこと……」
「ざんねん。めのまえのおんなのこがねねこちゃんだよ。もしかして、またにせものだとじぶんにいいわけしようとしてる?めぇくさってるにしてもげんかいあるよ」
死ねゴミカス。
という気持ちを込めて前世の記憶の中でも一番屈辱的な悪口を言ったらコンプライアンスに引っ掛かったので一部ノリが貼られて規制音が鳴りましたがお気になさらず。
本当にこいつ気持ち悪い。
私の味方っていうのはパパやママ、おじいちゃんおばあちゃんの家族やご近所の優しい人たちだ。
間違ってもお前のような欲望を抑えれない上に園内で服を脱がせるなどの性的行為に及ぼうとする浅はかなペド野郎ではない。死ね。
あと運命ってなに?お前、今年で25って言ってただろ。20歳以上年下のガキがお前の運命な訳あるか。
一応ここで注釈しておくと、私は歳の差恋愛に否定的な訳じゃ無い。25歳の保育士と幼稚園児っていう絵面と年齢が問題だって言ってる。
別に私も45歳と26歳の恋愛なら好きにしろって感じだけど、今は25歳と6歳。
うーんこれはギルティ、次お会いするのは法廷ですね。まぁ代理人弁護士に任せるけど。
それにしも、怒りに任せて言いたいことを全部言ったら全部煽りになるとか超絶楽だな。ストレス発散にもなるし、害悪なければ言葉のサウンドバックとして買いたかった。
「っ、あ。ぅあああああああああああ!!!!」
はーい、待ってましたよ!お前の咆哮。
私がわざわざ喉使わなくても叫んでくれたのありがとう。もう遠慮なく死んでいいよ。
男はガット私の小さな首に手を回して、喉を締めたけど殺すことへの躊躇がまだ残っているのか力が弱くて意識飛ぶ程苦しいとかそういうのは無かった。
だけど、体はまだ幼児なので大の男が馬乗りになって首を絞めてきているという状況に確かな恐怖も覚えていたので目の端から熱い涙が溢れる。
男はそれに興奮したようで、涙を舐め取ろうと顔を近づけてきた。キッショ………。
だけど私に夢中になってくれたから足音には気付かなかったんでしょうね。
「な、なに……してるん、ですか……………?」
「ねこちゃんからはなれろ!!!」
構えられたカメラ、男の顔面に決まった園児の蹴り。
決定的瞬間をありがとうございます!!!これでお前の社会的死は免れない、お疲れ様でした〜
***
その日、幼稚園は緊急閉園となった。
保育士がトイレに居た園児に手を出した挙句、拒否された怒りのままに首を絞めたんだもの。そりゃ閉園にして警察に来てもらわないとねぇ。
あの後、男は無事逮捕。
現場に居合わせた幼稚園児と先生の証言&階段を登っている段階で聞こえて来たペド野郎の可笑しな言葉を聞いた先生が一応、といって取っといてくれた動画がなによりの証拠となった。
ちなみに私の煽りは映って無かった。よし、これで「信頼していた先生に裏切られて殺されかけた哀れな幼女」という体は保てる。
私は病院の検査に念の為に病院に行った。パパとママは収録を途中で止めて来てくれたのでちょっと申し訳無かったけど、それを言ったらめっちゃ怒られた。
そして逃亡してトイレに立て籠っていたことも怒られた。
うっ、はい………いや、ほんと………勝手に出ていってすいません。で、でも、こうなると思わなくて………うっ、はい。その通りです。ごめんなさい……。
次からはちゃんと気をつけます。人がいない所に行きません……。そう誓わされてお説教は終わった。
その後に大人たちの難しい話があるので子供達は待機。
まぁつまり、私とこうたろうくんだけの時間である。
水色のソファーに二人で腰掛けて、短い足をプラプラさせた。いつもなら落ち着きがないってお母さんに怒られるけど今日ばっかりはおセンチな気分なのでお許し願いたい。
相手が悪かったというもは勿論だけど、他の先生は全然悪くないいい人たちなのにあんなペド野郎が1匹招き込んで、私の不注意でここまでの大事にしてしまったのは罪悪感がある。
あれは私以外の被害者を出す前にしっかり法で裁かれるべきで、そのために今がここで声をあげるのが大切だって分かるけど、声を大きくしたらきっと世間に見つけられる。
人の不幸を娯楽にして遊ぶ連中がいるのは転生しても変わらなかった。
ペンを使わなくても指先だけで簡単に情報が発信で来てしまう世界ではそんな人たちが嬉々としてこの事件を面白おかしく書き立てて、私を守ろうとした人が傷つくのは嫌だ。
それなら最初から一人にならずに、しっかり周囲を警戒しろって話なんだけど、一人の時間がないと死ぬ族の私にはそれは難しい。
どうしたもんかと考えていたら、こうたろうくんが話しかけてきた。
「ねこちゃん」
「ん、どーしたの?」
「ねこちゃん、おれきらい?おれのこときらいだから、にげちゃったの?」
いつもはぴょこんと跳ねているミミズクみたいな前髪をしおしおと垂らして聞いてきた。
前世では二次元のショタキャラにしか発揮されていなかった母性が爆発して思わず撫で回してしまう。
よーしよしよしよしよし。
パパがやってくれてるみたいにわちゃわちゃと髪の毛を掻き混ぜるみたいにやって、最後は萎れていた前髪を立ててやって、撫でるのはおしまい。
「べつに、こうたろうくんのことはきらいじゃないよ」
ただ、外に出るののや、大き声や音が苦手なんだと伝える。
外に出るのが苦手なのは前世陰キャだったときの名残りだけど、この体に転生してからはあまり騒がしすぎるところはダメになった。
ママとパパの子供時代も似たようなものだったらしく、私の聴覚過敏に理解を示してくれているので、よく話すし仲はいいけど家自体は静かだ。
こうたろうくんには、人が多すぎるところや、子供の声、急に鳴る音……。とにかく私がそういうのが苦手なだけで、君は嫌いじゃないよ。
でも、どうしても外に出るのや、音が苦手なの。っと、幼稚園児らしい語彙力でこうたろうくんに伝えた。
「よかったぁ。おとがやなだけで、ねこちゃんおれのこときらいじゃないんだね」
「……ウン、ソウダヨ!」
い、言えない……。
こんな心の底から「俺は嫌われてないんだ、よかったぁ!!」という顔をしているショタに、「拙者、陰のものなので陽の貴殿とは相容れないで御坐る」とか言えない。
こんな輝かんばかりの笑顔をへにょへにょな泣き顔に出来ない………。そんなことしたらダメだって私の良心が言ってる。
「じゃあもっと、しずかにねこちゃんとあそぶね!!」
遊ぶことは決定事項なんだ……。