二次創作
ヴィーナスさんは変態が多過ぎるので引きこもりたい。
申し遅れたが、 私の名前は来間 寧々子と言います。
下の名前が寧々子なので後ろの2文字を取ってねこ ちゃんだ。
中々に可愛いあだ名だ。前世と全く同じ名前だけど、前世のあだ名は同じオタクでも仲のいい子に寧々ち ゃんと呼ばれるだけだったので可愛いあだ名があるのが嬉しい。
それにねこちゃんって呼ばれても全然許される天使の顔立ちだからな私。
そんな感じで自己肯定感関東一の幼女が幼稚園に登園しますよっと。
あっ、これも言い忘れてたけど私5歳児だ。つまり年中さんです。
前世の記憶を思い出したのは3歳の 時。当時はめちゃくちゃ混乱して泣き叫んだけど、小さくなった体で美人さんにだっこされてお乳を飲むなんてn番煎じの展開は脳内で何万回とシミュレーションしてきたのですぐに慣れた。
オタクの適応力なめち ゃいかんよ。
そして時は過ぎて転生してから2年が経とうとしていた。
2年というと短いような気もするが、 自分の取 り巻く環境を理解して人生をどう生きるか考えるには十分な時間だった。
父は人気バンドのリーダー、 母は知名度激高の歌手なのでお金面は二人が何かやらかして界隈から干され ない限りは大丈夫。
そもそもやらかすような人じゃないので私の方が気をつけないといけないすらある。
つまり、私は将来傾国確定の美少女で 両親は音楽関係の有名人なので実家も太い。
このまま習い事と勉強をしまくってマナーと教養を身につけた立派な淑女となり、この顔を全力で利用して人生イージーモードするしかなくないですか!?
ゲスい発想かもしれないけど、楽な方があるとわかればそっちを迷いなく取るのが人間ってこのなんで恨まないでね。
「まっ、たまのこしこんできるほどこみゅりょくはないからいっしょうどくしんかくていだけど……」
「ねこちゃん?」
「な、なんでもないよ……」
「そーなの?じゃあそぼ!!!!!」
「あ、あぅ……あ、そば、ない」
「なんでぇ?」
「おそと、や。や、なの。わたし、なかでごほんよむの」
「えー、おれあそびたい!!!」
「ゆ、ゆ、ゆうたくんとあそんだらいいじゃんっ」
「?おれはねこちゃんとあそびたいんだよ」
チッ、お気に入りのお友達に誘導してもダメだったか。
こうなりゃ仕方ないっと、室内で園児の相手をしている先生を探したけど生憎なことに嫌なことからそれとなく遠ざけてくれるベテランじゃなくて、ちょっと正しいんだけど強引なところがある新米先生しか居なかった。
そして、さらに残念なことに先生と目が合って近づいてこられたことだ。
あああああ、これ絶対強制的に遊ばされるやつだぁああ!!!
「寧々子ちゃん、光太郎くん遊ぼうって言ってるよ?こういうときどうするの?」
「いや。あそばない」
「こら、違うでしょ?」
「なにもちがわないよ、せんせい。こうたろうくんはあそびたいかもしれないけど、わたしはあそびたくないの」
「っ、たまには中で絵本ばっかり読むんじゃなくて、外でみんなと遊ぼうよ」
「せんせぇにもいやなことあるでしょ。それとおんなじだよ、わたしはそとがいやなの!」
「えー!!ねこちゃんあそぼうよ!!!」
「やっ、」
部屋の隅で絵本を抱えて必殺の駄々っ子をお見舞いするが、先生も相手も引かない。
両者一歩も引かない降着状態の中、一番先に動いたのは私だった。
ぴょんっと、お母さんの勧めてやっていたバレエで鍛えられた脚力と速さで二人の間をすり抜けて、棚に入れられた私のリュックサックを引っ張っりだした。
「ちょっと寧々子ちゃん、どこ行くの!?」
先生の怒声を浴びて泣く演技をしながら「おそとやっ、いえかえる!!」っと叫んだ。
先生から見た私はきっと、年中になったのに聞き分けのない子供に映ったんだろう。中身は成人済みのオタクなのでちょっとムカつくけど、それでいい。
聞き分けのない仕方がない子と先生の間で広がってての施しようのない園児だと思われたらその内構われなくなるだろう。
前世の幼稚園児時代も人と関わりたくなさすぎて同じようなことしてたし。我ながら悪知恵が働く陰キャだ。
性格には可愛げがないけど、顔が可愛いからオールオッケーです。
外履きを隠してる上履きを仕舞い、如何にも外に出ましたという風にして短い足で階段を駆け上がる。
2階の奥はほとんど倉庫代わりになっていて、何かのイベントがないと人が来ないことを私は知っている。教室は鍵が掛かっているので廊下の端っこのかトイレの中で遊びの時間を潰す。リュックサックを持って来たのもこのためだ。
ぺろっと取り出したのは「小学生の総まとめ・中学生の予習」というタイトルの分厚いドリルと鉛筆。
折角転生したんだし一から勉強しようというのと、成績はそれなりだったけどテスト前に「毎日勉強しとけばよかったぁ〜」と後悔するタイプの学生だったので、勉強する習慣をつけようとという発想だ。
本音は幼児のうちから天才ムーブしときたいってだけ。
幼稚園児が小学生高学年向けのドリルどうなんだ?って話なんだけど私の中身は成人済みだし、パパとママは私がドリル解いても「うちの子天才♡」で済ます親バカなのでよし。
あと、めっちゃ褒めて貰えるのチョーキモチー。自己肯定感が爆上がりするからお勧めだ。
あ〜この感じ、友達いなくてトイレでご飯食べた後に小テストの勉強してた中高時代を思い出すぜぇ〜っと自分で自分の古傷を抉りながらも問題集を解き進める。
そして数分後に私を呼ぶ声がした。
「寧々子ちゃーん」
見つかったか……。
トイレのすぐそばまで来ているんだろう声がはっきりと聞こえた。
しかしこの声はどう考えても男で、私が居るぶどうぐみを受け持っている新米先生でもベテラン先生とも違う。この園で男の保育士さんといったらももぐみの中堅先生だけ。
なんで、ももぐみの先生が私を探しているんだ?
私の脱走はなにもこれが初めてじゃないし、園内の先生全員が捜索するほど全力でかくれんぼしていない。
それにベテラン先生には私が居る場所はバレてるのでベテラン先生も新米先生も見つけようと思えば私を簡単に見つけられる。なのに、なぜ?
嫌な予感がして、個室から出ようとした。
でも、もう遅かった。
「寧々子ちゃん」
「………せんせい?」
園児用にわざと低くされた壁を利用して先生はこっちを覗き込んだ。扉開けたらいいじゃんっとおもいつつも、開けたら入ってくるしなぁ……っと、どうしようか考える。
顔は優しい笑顔を浮かべているけど、漏れ出している鼻息と血走った目からは欲望が隠しきれていない。中身が成人済みの私じゃなかったらトラウマレベルの気味の悪さだ。発想はクソだけど、詰めが甘い性格出てますねぇ!!
死ね。
ママとパパのいいと取りをした顔面強々黒髪の儚げな美幼女なので誘蛾灯に寄る蛾の如く、私の容姿に近寄ってくる不審者にはよく絡まれていた。
まぁ、その度にママの少林寺拳法が炸裂して警察のお世話(※ママじゃなくて不審者の方が)になっているんだけど……。
そんな感じで週一のペースで不審者に遭遇していた私は生存本能からか目の前の人間がペドの変態クソ野郎か、そうでないかを判断する新機能が追加された。本当はこんな機能欲しくないんだけど、そうでもしないと生き残れないので……。
ちなみにこの人はペドの変態クソ野郎です。私の[漢字]勘[/漢字][ふりがな]サイドエフェクト[/ふりがな]がそう言ってる。
「ダメじゃないか。また先生たちに黙ってこんなところに来たのかい?」
「あんどうせんせーにはいってるよ」
ベテラン先生の名前を出すと一瞬男の先生は怯んだけど、取り繕うように「えー安藤先生からなんにも聞いてないなぁ」っと続けた。
あと、お前ごときの変態が「ダメじゃないか」って言うなよ?そのセリフはcv:櫻⚪︎孝宏の最悪の呪詛師と感情を処理できないゴミ以外言っちゃいけないセリフなんだよっ!!
まぁ、口は回るみたいだ。私じゃなかったら騙せてただろうね。と、内心思いながら「へー」と興味なさげに問題集を解き進める。先生には警戒心のない園児だと、自分の思惑に気づいていない幼女だと写ってくれればいい。
この人の性格上、他の先生に抜けるとかそういう根回していないから多分可笑しいと思った先生が居るはずだ。
今すぐにでも悲鳴を上げてやりたいんだけど押さえ込まれるのがオチだから、異変に気がついた先生が来るまで出来る限り時間を伸ばして無理になったときに悲鳴をあげよう。
そのときになったら、筆箱の中の鋏でこいつの息子(暗喩)を絶対切り落とす。いや切り落とすのも生ぬるいので繋がったまま、一個一個潰してやる……。