side なろ屋

僕がこの学校に転校してきて、数週間という時を経たある日のこと。
今日も今日とて、野太い教師の声明がクラス中に響いた。
「えー、1ヶ月後。我が校恒例の文化祭があることは知っているだろう。」
色で例えるなら赤色。そんな感じの浮遊感に、教室中が包まれた。

そして教師はその雰囲気の殻を割るように話を進める。
「まあうちのクラスからも出し物を決めるんだが....」
「え絶対メイド喫茶！！」　「いや執事喫茶でしょ！！」　「舞台！！おしばいやろうよ！！」
明るいクラスだなあと思いながら、僕は頬杖をついてちらっと隣に目を向ける。
そう、隣は●●さん。いつみてもほんっっとかわいい....♡
何をしているかと思えば、教師の次の言葉を待つように、じっと前を向いている。しかも、すごく真顔で。
するとふいに教師と目があった。教師は●●さんの方に目をやり、くいっと顔を動かす。
おそらく、●●さんが一人真剣な眼差しを送ってくることに圧迫感を覚えたのだろう。
僕はふっと吹き出し、こう発した。
「ねえねえ●●さんっ」
僕は教師に助け舟を出したと言っても過言ではない。
感謝してよね。
「.........あっ、ど、どうしたの...？」
気付いていなかったのか、●●さんはハッとした表情で僕に体を向けた。
もうなんか全部がかわいい.......
「文化祭の出し物、何やりたいとかあるの？」
僕はそう●●さんに問いかける。
「.......うーん...特はないけど、私...いっつも姫奈ちゃんとかに作業任せちゃってて申し訳ないから、私が自分で何かを準備できるものをやりたい....みたいなのはあるかな...」
なんでこんなに素敵な理由が浮かび上がるのだろう。
「そうなんだ、素敵だね」

すると教師が呆れたように大きく声を発した。
「えー静かに！わかっていると思うが、お前たちはまだ1年生だ。いいか。食べ物・演劇、及びその他大きすぎる多額の予算を出費をする出し物は禁止だ！」

[大文字]「ええーーーーーーっ！？！？」[/大文字]

どのクラスも、同じことを話していたのだろうか。
一斉に学年から叫び声が聞こえた。