拾われ少年、愛されました。
「「「いただきます」」」
リビングに声が少し木霊した。
「たっくん、平気かしら?」
「…今日は、ダメ、みたい…ごめん、茜。」
申し訳無さそうに目を逸らす。茜は少しだけ、物悲しそうな顔をして、黄昏の肩を叩いた。
「ウチがやりたくてやってるんだから、気にしないでもいいのよ。」
黄昏の皿の上にあるものを少量小皿にとって口にする。
そんな茜を脅えながら黄昏が窺う。
「うん。美味しいわ。アリスちゃんって料理がとっても上手なのね。ひょっとして、零歌よりも上手なのかもしれないわ。」
悪戯っ気に笑った。黄昏も追われるように、皿に手を付ける。
「!美味しい…。すごい、アリス…ちゃん…?」
黄昏の表情も明るくなる。嬉しげに、アリスの口角が上がった。
「「「ごちそうさまでした」」」
アリスがおぼつかなく、食器を台所へ運ぶ。
「有難う」―――そう云って頭を撫でると、喉がごろごろと音を鳴らした。
「ふふっ。アリスは可愛いな。」
「そ、う…?」
不思議そうに首を傾げた。
そういうところだよ――笑いながらアリスを抱き上げた。
「今から昨日言ってた別の奴に会いに行こうと思うんだけど…大丈夫か?」
「おねぇ、さんと…いっしょ、なら。」
昨晩と同じ回答をした。霊歌の脳裏に依然、霞に叱責された時の言葉が浮かぶ。
「…ッし。一緒に行くか!」
小さくアリスが首を振った。
一緒に薄暗い廊下を歩き、一つのドアの前に立つ。ドアのプレートには『☆瑠奈ちゃんの部屋☆』と書かれていた。
コン、コンと二階ノックを鳴らし、返事を待つ。ドアの下の隙間から、『入っていーよ☆』と書かれた紙が出てくる。
ドアを開けると、少女がパソコンに向き合って座っている。
「こうやって直接会うのは久しぶりか?先生。」
『先生なんて呼ばなくてもい~のに~!嗚呼!初めましてだね~私は「中原 瑠奈」!情報屋、兼、カウンセラーをやってるんだ~!』
「…?」
よくわからないようで、助けを求めるように零歌を見上げる。
「あ~…先生、説明してやってくれないか?」
『私ね、声が出ないんだ~。後、私は情報屋でね。結構いろんな人に狙われるし私自身もアルビノで日光とかに弱くて、引きこもってる。会話するために、モニターに文字打ち込んで会話してるってわけ。ま、この速度で打てるから気にしないでい~よ~。』
目にもとまらぬ速さでキーボードを打つ。アリスは少し心配そうに見た。
「…本人が大丈夫っつってんだ。取り敢えずは気にしなくてもいい。」
こくりと首を振って、瑠奈の手招きされるまま、スツールに座った。
『外は好き?』
「…わかんない。そとは、でちゃダメって。ちっちゃいころにいっかいぐらいしかでたことない。でも、たのしかった。」
言葉が詰まった。零歌の服の裾を掴む力が強くなる。
「おかあさんが、いたから。」
アリスがやや俯く。寂しいのか、母が居なくなる迄は幸せだったのか。本人のみが知る心情に零歌は物悲しく思った。
『じゃあさ、零歌ちゃんは好き?』
「え…あ…っ…はい。」
(⁉え、あッ⁉ちょ、今…⁉)
顔が暑くなるような感じがする。
『ふふっ…ねぇ、アリスちゃんは私たちとずっとが一緒いい?其れとも、ちゃんとした施設に入って真っ当な暮らしがしたい?』
「…みんなと、はなれるってこと…?」
『つまり、そう云う事だね。アリスちゃん、私たちはね、誰もが真っ当な出身じゃないの。それぞれが、何かしらの事情を抱えてる。それらの事情のせいで、表立って、胸を張っては生きていけない。つまりは、私たちは裏側に住まう者。アリスちゃんはまだ、表でも生きていける。それでも、私たちと一緒がいい?』
瑠奈がエンターキーを押して、アリスの様子をうかがおうと振り向いた。同時にアリスが口を開く。
「ここがいい。」
『はやっ。え、あ、うん。アリスちゃんがいいなら私たちもしっかりアリスちゃんの事サポートしてあげるからね。』
アリスが零歌の方を向く。零歌は驚いて少々固まっていたが、アリスの頭を撫でた。
『零歌ちゃん、皆に話したいことあるんでしょ?アリスちゃんにお話聞いてる間に行きなよ。』
アリスの方を向くと、縦に首を振った。
「じゃ、じゃあ、行ってきます。」
零歌が部屋から出る。部屋よりも少し明るい光が漏れ、瑠奈が微笑んだ。
リビングに声が少し木霊した。
「たっくん、平気かしら?」
「…今日は、ダメ、みたい…ごめん、茜。」
申し訳無さそうに目を逸らす。茜は少しだけ、物悲しそうな顔をして、黄昏の肩を叩いた。
「ウチがやりたくてやってるんだから、気にしないでもいいのよ。」
黄昏の皿の上にあるものを少量小皿にとって口にする。
そんな茜を脅えながら黄昏が窺う。
「うん。美味しいわ。アリスちゃんって料理がとっても上手なのね。ひょっとして、零歌よりも上手なのかもしれないわ。」
悪戯っ気に笑った。黄昏も追われるように、皿に手を付ける。
「!美味しい…。すごい、アリス…ちゃん…?」
黄昏の表情も明るくなる。嬉しげに、アリスの口角が上がった。
「「「ごちそうさまでした」」」
アリスがおぼつかなく、食器を台所へ運ぶ。
「有難う」―――そう云って頭を撫でると、喉がごろごろと音を鳴らした。
「ふふっ。アリスは可愛いな。」
「そ、う…?」
不思議そうに首を傾げた。
そういうところだよ――笑いながらアリスを抱き上げた。
「今から昨日言ってた別の奴に会いに行こうと思うんだけど…大丈夫か?」
「おねぇ、さんと…いっしょ、なら。」
昨晩と同じ回答をした。霊歌の脳裏に依然、霞に叱責された時の言葉が浮かぶ。
「…ッし。一緒に行くか!」
小さくアリスが首を振った。
一緒に薄暗い廊下を歩き、一つのドアの前に立つ。ドアのプレートには『☆瑠奈ちゃんの部屋☆』と書かれていた。
コン、コンと二階ノックを鳴らし、返事を待つ。ドアの下の隙間から、『入っていーよ☆』と書かれた紙が出てくる。
ドアを開けると、少女がパソコンに向き合って座っている。
「こうやって直接会うのは久しぶりか?先生。」
『先生なんて呼ばなくてもい~のに~!嗚呼!初めましてだね~私は「中原 瑠奈」!情報屋、兼、カウンセラーをやってるんだ~!』
「…?」
よくわからないようで、助けを求めるように零歌を見上げる。
「あ~…先生、説明してやってくれないか?」
『私ね、声が出ないんだ~。後、私は情報屋でね。結構いろんな人に狙われるし私自身もアルビノで日光とかに弱くて、引きこもってる。会話するために、モニターに文字打ち込んで会話してるってわけ。ま、この速度で打てるから気にしないでい~よ~。』
目にもとまらぬ速さでキーボードを打つ。アリスは少し心配そうに見た。
「…本人が大丈夫っつってんだ。取り敢えずは気にしなくてもいい。」
こくりと首を振って、瑠奈の手招きされるまま、スツールに座った。
『外は好き?』
「…わかんない。そとは、でちゃダメって。ちっちゃいころにいっかいぐらいしかでたことない。でも、たのしかった。」
言葉が詰まった。零歌の服の裾を掴む力が強くなる。
「おかあさんが、いたから。」
アリスがやや俯く。寂しいのか、母が居なくなる迄は幸せだったのか。本人のみが知る心情に零歌は物悲しく思った。
『じゃあさ、零歌ちゃんは好き?』
「え…あ…っ…はい。」
(⁉え、あッ⁉ちょ、今…⁉)
顔が暑くなるような感じがする。
『ふふっ…ねぇ、アリスちゃんは私たちとずっとが一緒いい?其れとも、ちゃんとした施設に入って真っ当な暮らしがしたい?』
「…みんなと、はなれるってこと…?」
『つまり、そう云う事だね。アリスちゃん、私たちはね、誰もが真っ当な出身じゃないの。それぞれが、何かしらの事情を抱えてる。それらの事情のせいで、表立って、胸を張っては生きていけない。つまりは、私たちは裏側に住まう者。アリスちゃんはまだ、表でも生きていける。それでも、私たちと一緒がいい?』
瑠奈がエンターキーを押して、アリスの様子をうかがおうと振り向いた。同時にアリスが口を開く。
「ここがいい。」
『はやっ。え、あ、うん。アリスちゃんがいいなら私たちもしっかりアリスちゃんの事サポートしてあげるからね。』
アリスが零歌の方を向く。零歌は驚いて少々固まっていたが、アリスの頭を撫でた。
『零歌ちゃん、皆に話したいことあるんでしょ?アリスちゃんにお話聞いてる間に行きなよ。』
アリスの方を向くと、縦に首を振った。
「じゃ、じゃあ、行ってきます。」
零歌が部屋から出る。部屋よりも少し明るい光が漏れ、瑠奈が微笑んだ。