拾われ少年、愛されました。
「…[大文字]あ[/大文字]、やっと来た。全員揃っているよ。それで、話したいことって…なんだい?」
瑠奈の部屋から出てきた零歌を霞が迎える。薄暗い廊下の先のドアからは[明朝体]光[/明朝体]が漏れて複数人の人影を映し出す。
「嗚呼、すぐ話す」
霞の脇を通ってドアへと向かおうとすると、[大文字]ピン[/大文字]、と服の裾を掴まれて止まる。
「アンタも、まだまだ[太字]完治[/太字]には[下線]ほど遠い[/下線]んだからね?[大文字]何度も[/大文字]言うけど、アンタが倒れるとこっちの[打消し]ダメージ[/打消し]が結構デカいんだ。無理だけはしてくれるんじゃ[小文字]ァ[/小文字]ないよ?」
「私ったら愛されてんな。…そんな目でみんなって、冗談だっての。手前らの世話になるのはもう[下線]飽き飽きだ[/下線]」
霞もその言葉を聞いて安心したのか霞も目を細めて零歌の背中を[大文字]バシン[/大文字]と叩いた。あまりの強さに顔を[漢字]顰[/漢字][ふりがな]しか[/ふりがな]めつつも、[下線][明朝体]笑顔で返した。[/明朝体][/下線]
「[大文字]んで[/大文字]、今朝のニュース番組でこんなのが流れてんだ」
リビングに集合した面子を横目にテレビのリモコンで録画を再生する。今朝、朝一番にアリスと共に[打消し]見てしまった[/打消し]ニュース番組。
番組を変える隙に録画を開始させたのだった。しばらくその画面を全員が黙って眺める。
[明朝体]《最近、暗くなってきましたし物騒で怖いものですね___ええ、防犯対策が必要になりますね___では、次のニュースに参りましょう。皆さんお待ちかね、芸能ニュースのお時間です!さ[小文字]ぁ[/小文字]》[/明朝体]
「[明朝体]以上[/明朝体]」
零歌が流れる画面の動きを止めて振り返る。
「…[大文字]どういうことよ[/大文字]。なんでウチらの仕事関連の場所が不特定多数に向けて公開されている訳?」
「そ、[大文字]そうだよ![/大文字]親側の方はまだ理解できるけど…なんでアリスちゃんまで?」
茜と黄昏があり得ることのないはずの疑問点をお手本のように口にする。
そう、[下線]ありえない[/下線]のだ。アリスの父親の遺体は回収した。アリスも回収している。ニュースに取り上げられるようなことではないのだ。遺体が見つかれば話は変わるだろうが、上記の通り、回収している。
彼に友人、ましてや知人などは残っていない。誰も通報することはないのだ。隣人が通報したとしても証拠が不十分すぎてただ夜逃げしたのだろうとあしらわれるはずだ。[明朝体][下線]一体誰が証拠を手にいれ、通報している?[/下線][/明朝体]
「…情報が漏れましたか。流出源は恐らく[下線][太字]敵対勢力[/太字][/下線]が関わっているでしょう」
「さっすが渚クン。あくまでも[下線]こちら側の部下がやらかした[/下線]という考えは無いんだね?」
太宰がおちゃらけた様に水を差す。揚げ足を取ろうとしているように見えても、ただの情報の整理のためのアドヴァイスのようなものである。
太宰はあくまでも[漢字]戦闘員[/漢字][ふりがな]・・・[/ふりがな]。元司令の立場であれど[漢字]現司令[/漢字][ふりがな]渚[/ふりがな]のサポート、成長のために水を差す程度にとどめているのだ。
「[明朝体]コホン![/明朝体]…今回の任務で引き連れた部下はベテランのもので政府に忠誠を誓ったものしかいません。部下がやらかしたということはありえないでしょう。…ただ、」
「ただ、その中に[太字]スパイ[/太字]がいなければ?」
芥川が納得したような声を上げる。渚も正解だというように首を縦に振る。
「スパイの特定…じゃあ、[漢字]妾[/漢字][ふりがな]アタシ[/ふりがな]ら非戦闘員は盗聴、盗撮されてないか調べるとでもしようかい?」
「…[小文字]る[/小文字]、瑠奈さんが特定の電波だけを妨害するジャマーの開発をしてるって、言ってた。急いでもらうよう、頼んでみる」
「そうだったのか。役立つ情報だ。教えてくれてありがとな」
[小文字]「えへへ…」[/小文字]
零歌が頭をポンと撫でると黄昏は柔らかくはにかんだ。その笑みに向かって抱き着いて黄昏を押し倒しかけた茜は見なかったことにしよう。
「やることは決まりましたね。ここからは一切の情報を漏らさぬよう、この事に関する会話はしないように。…[斜体]作戦開始[/斜体]」
渚の声を合図に、皆が一斉に視線を交わして等しい瞬間に口を開いて声帯を鳴らした。
[中央寄せ]「「「「「了解」」」」」[/中央寄せ]
瑠奈の部屋から出てきた零歌を霞が迎える。薄暗い廊下の先のドアからは[明朝体]光[/明朝体]が漏れて複数人の人影を映し出す。
「嗚呼、すぐ話す」
霞の脇を通ってドアへと向かおうとすると、[大文字]ピン[/大文字]、と服の裾を掴まれて止まる。
「アンタも、まだまだ[太字]完治[/太字]には[下線]ほど遠い[/下線]んだからね?[大文字]何度も[/大文字]言うけど、アンタが倒れるとこっちの[打消し]ダメージ[/打消し]が結構デカいんだ。無理だけはしてくれるんじゃ[小文字]ァ[/小文字]ないよ?」
「私ったら愛されてんな。…そんな目でみんなって、冗談だっての。手前らの世話になるのはもう[下線]飽き飽きだ[/下線]」
霞もその言葉を聞いて安心したのか霞も目を細めて零歌の背中を[大文字]バシン[/大文字]と叩いた。あまりの強さに顔を[漢字]顰[/漢字][ふりがな]しか[/ふりがな]めつつも、[下線][明朝体]笑顔で返した。[/明朝体][/下線]
「[大文字]んで[/大文字]、今朝のニュース番組でこんなのが流れてんだ」
リビングに集合した面子を横目にテレビのリモコンで録画を再生する。今朝、朝一番にアリスと共に[打消し]見てしまった[/打消し]ニュース番組。
番組を変える隙に録画を開始させたのだった。しばらくその画面を全員が黙って眺める。
[明朝体]《最近、暗くなってきましたし物騒で怖いものですね___ええ、防犯対策が必要になりますね___では、次のニュースに参りましょう。皆さんお待ちかね、芸能ニュースのお時間です!さ[小文字]ぁ[/小文字]》[/明朝体]
「[明朝体]以上[/明朝体]」
零歌が流れる画面の動きを止めて振り返る。
「…[大文字]どういうことよ[/大文字]。なんでウチらの仕事関連の場所が不特定多数に向けて公開されている訳?」
「そ、[大文字]そうだよ![/大文字]親側の方はまだ理解できるけど…なんでアリスちゃんまで?」
茜と黄昏があり得ることのないはずの疑問点をお手本のように口にする。
そう、[下線]ありえない[/下線]のだ。アリスの父親の遺体は回収した。アリスも回収している。ニュースに取り上げられるようなことではないのだ。遺体が見つかれば話は変わるだろうが、上記の通り、回収している。
彼に友人、ましてや知人などは残っていない。誰も通報することはないのだ。隣人が通報したとしても証拠が不十分すぎてただ夜逃げしたのだろうとあしらわれるはずだ。[明朝体][下線]一体誰が証拠を手にいれ、通報している?[/下線][/明朝体]
「…情報が漏れましたか。流出源は恐らく[下線][太字]敵対勢力[/太字][/下線]が関わっているでしょう」
「さっすが渚クン。あくまでも[下線]こちら側の部下がやらかした[/下線]という考えは無いんだね?」
太宰がおちゃらけた様に水を差す。揚げ足を取ろうとしているように見えても、ただの情報の整理のためのアドヴァイスのようなものである。
太宰はあくまでも[漢字]戦闘員[/漢字][ふりがな]・・・[/ふりがな]。元司令の立場であれど[漢字]現司令[/漢字][ふりがな]渚[/ふりがな]のサポート、成長のために水を差す程度にとどめているのだ。
「[明朝体]コホン![/明朝体]…今回の任務で引き連れた部下はベテランのもので政府に忠誠を誓ったものしかいません。部下がやらかしたということはありえないでしょう。…ただ、」
「ただ、その中に[太字]スパイ[/太字]がいなければ?」
芥川が納得したような声を上げる。渚も正解だというように首を縦に振る。
「スパイの特定…じゃあ、[漢字]妾[/漢字][ふりがな]アタシ[/ふりがな]ら非戦闘員は盗聴、盗撮されてないか調べるとでもしようかい?」
「…[小文字]る[/小文字]、瑠奈さんが特定の電波だけを妨害するジャマーの開発をしてるって、言ってた。急いでもらうよう、頼んでみる」
「そうだったのか。役立つ情報だ。教えてくれてありがとな」
[小文字]「えへへ…」[/小文字]
零歌が頭をポンと撫でると黄昏は柔らかくはにかんだ。その笑みに向かって抱き着いて黄昏を押し倒しかけた茜は見なかったことにしよう。
「やることは決まりましたね。ここからは一切の情報を漏らさぬよう、この事に関する会話はしないように。…[斜体]作戦開始[/斜体]」
渚の声を合図に、皆が一斉に視線を交わして等しい瞬間に口を開いて声帯を鳴らした。
[中央寄せ]「「「「「了解」」」」」[/中央寄せ]