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涙が醒める日は最悪であってほしいとここに願う

#4

歩いた先

四方八方。
どこも真っ暗。
何度も転び、何度も泣いた。
いっそ私は失明していて、私には見えない明るい世界を歩いている。
そう信じて歩いた。

歩いて。
歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて

歩いて。
何時間近くも歩いて。それでも光は見えない。
●●は既に希望を諦めていたのかもしれない。
しかし、頭の中には常に父親と、今まで別れてきた親友たちの姿があった。
母が死んでから男手一人で育ててくれた父にはとても感謝している。
仲が良かった子と別れるときは、いつも泣いていた。

ああ、どうか神様。私を...ここから出してください。



その願いが通じたのか。
前方遥か向こう。一筋の光が見えた。
ゆらゆらと不安定なそれは、●●にどんどん近づいている。

そして遂に、目の前まで来た光がなんなのか知った。
松明を持った80近い老人が、こちらを見ていた。

「お前さん...大丈夫かえ」

人の声に●●は泣いてしまった。孤独にさらされた人間は、人と関わることがここまで嬉しいのかと。いたく実感した。

「う、グスッ...あの...私...ここから出たくて...助けてください。」
「ん、まさかあんた。入口からここまで歩いてきたのかい?その様子だと、どうやら橋が目当てではないようだね。」
「はい...」
「そりゃあ大変だったろう。ほら、こっちにおいで。」

お爺さんに連れられて歩いた暗闇は、一人のときよりずっと良かった。
ものが見える。これは何より安心できた。
松明の火はとても温かく、●●にとって一番の光だった。●●は暫く出口のことも忘れていた。



着いた先は、小さな家だった。家の中から暖かい光が漏れ出て、何やらいい匂いもした。
扉を開けると木製の家具が並んでおり、生活感が溢れていた。
狼(?)がペットとして居座り、外の暗闇からは全く想像できないほど安心できる場所だった。

「なかなかいい場所だろう。儂はここから出れなくて、死ぬまでこの家で過ごすつもりさ。」
「え?ここからは出られないんですか?」
「まあ、出られる方法はあるけどねえ。儂一人じゃどうもてきないんだよ。」


「でも、アンタなら...もしかしたら帰れるかもな。」
「! あの、どうやったら出られるんですか?お家に帰りたいんです。」
「いいよ。分かった。教えてやろう。」





[水平線]
ここから出る方法はたった一つだ。
そしてここにやってくる連中は、皆[太字]ソレ[/太字]目当てで落ちてくる。

...この先に、それは大きな山があってね。儂たちは[漢字]蒼馬[/漢字][ふりがな]そうま[/ふりがな]山と呼んでいる。

その山を越えると、川が流れている。川上に、[太字]青白く光る橋[/太字]があるからそこに行くんだ。

そして橋の下で、[太字]誰かと二人同時に[/太字]お願いごとをする。

その時に連中は「不老不死」とか「大富豪」とかを願うが、あんたはソレ目当てで来たわけじゃないだろ?

「帰りたい」と心から願えばきっと大花さまも叶えてくださるだろう。
[水平線]

2025/01/27 20:14

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