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し に が み 料 理 店 *

#4

04:サルビアとすずらんと一希と

氷華「目を開けてみて」
一希「ここ、って……!?」

目を開けると見慣れた家のドア前。
間違いなく私の家だった。
母に、謝らなきゃ。
ドアをすり抜けるとリビングのソファで両親が泣いていた。

父親「ごめんな、本当にごめんな、一希……」
母親「死ぬ前最後にあんな喧嘩させて……私……っ」

そうだ、私は事故死したのだ。
申し訳ない、こんな娘に育ってしまって…。
最後の会話は、「もういい!」だったの、ごめんね。
パパもママもありがとう。
もう泣かないで…。

氷華「今からあなたの姿を出すわ。でも少しだけよ……」
一希「ありがと……う…」

氷華さんが手をかざすと父と母が目を大きく見開く。

父親「っ……!?いつ、き…?」
母親「一希なのね!?」
一希「私死んじゃった、本当にごめんなさい。」
母親「私こそごめんなさい、良い母親になれなくてごめんね……」
一希「パパ、ママ今までありがとう、大好きだよ……っ!」
父親「パパこそありがとう、俺達の子になってくれてありがとう……!」

[水平線]

父と母が私に触れようとする。
触れてしまうときっと現実が戻って来てしまう。
だから私は遮るように最後の言葉を放った。

一希「じゃあね、今まで迷惑かけてごめんなさい。私パパとママの子で良かった!大好きだよ!」

氷華さんが私の方に触れる。
多分このとき、気を失ったはず。

[水平線]

氷華「さぁ、食べなさい!」
一希「………ん?あれ?」

目が覚めると料理店に戻っていた。
目の前には大層美味しそうなカルボナーラ。

氷華「あなたの心の中にあった後悔と思い出と家族愛、真実で作ったの」
一希「え、っと……さっきの瓶の光が、その”感情”ですか?」
氷華「そうよ。食べればきっと心が浄化されるわ。」

そういって氷華さんは小瓶を渡してくれた。
さっきはただの小瓶だったけど、ラベルが貼られて、
コルクの栓が入って、小瓶の中身は光ではなく橙色の粉に変わっていた。
ラベルには、サルビアとすずらんの絵が書かれていた。

一希「天国に行っても大切にします、!」
氷華「……ええ……大切にしなさい、家族のように……!」
一希「それじゃあ、ありがとうございました、っ!!」

こうして葛西一希は正式に[漢字]天国へ旅立った。[/漢字][ふりがな]未練を晴らした[/ふりがな]
ふふふ。あの子、気づいていないのね……、サルビアとすずらんの花言葉。
サルビアは”家族愛”、すずらんは”再びあなたに幸せが訪れる”。
あの子ああ見えて家族のことを大切にしていたのね……!
天国でも元気でね、一希ちゃん。

店先のオリーブの青々した葉が
氷華の言葉に応えるように静かに揺れた。

作者メッセージ

今回で 葛西一希 編 は終了です!
次回からはどんな物語が始まるのか……
そういえば、獅子葉学園って他の作品にも……?

2025/01/14 14:45

琉 鈴 . ID:≫gmihWxdNkmYz6
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