通学エブリデイ
「ハルくん、来たよー」
インターホンが鳴り、冬香の声が家に響く。まだ食パンを食ってる途中である俺は焦って、咥えたまま「行ってきます」とふごふご言って家を出た。
「いってらー」
「気をつけてよ、ハル」
「本当に昔から仲良いな、鈴代さん家の娘さんと」
口々にそういう家族の声はドアを閉めることで遮られる。そんな俺を冬香は大きい目を更に大きく開いてまじまじと見つめる。何だよとばかりに冬香を一瞥すると彼女は楽しげに笑い出した。
「何それ、少女漫画みたいっ」
「そうは言ってもそんな少女漫画、実際に見たことないんだよなぁ」
一度食パンを手に持って、口の中のものを飲み込みそう言った。いや本当にあれ、何の漫画なの?誰か教えて欲しい。
「で、高校が始まった訳だけどさ。どうやって友達作るんだっけ」
「あー、自然にできるんじゃないの?」
「自然ってなんだよ...」
まずい、このままでは不自然な男として名を馳せてしまう。でもどうやって話しかけんの?まさか全ての女子が食パン咥えて俺にぶつかってくれる訳じゃないだろ?いやそんな女子一人もいねぇよ。しかし俺がパン咥えてぶつかったところで、学校で少女漫画に憧れたキモ男子現る(笑)とか言われて居場所がなくなること請け合いだ。何これ詰んでるじゃん。俺が戦ってる人生はもしかして藤井聡太だったの?にしても詰むの早すぎじゃない?強い。藤井聡太強い。
「そんなに心配するならあたしが手伝おうか?」
「いやいいよ、というか止めてくれ。すっげえ居た堪れないから」
そんなことになってみろ。俺は穴があったら入りたくなってしまう。で、誰もそのことに気付かず俺は埋められていくんだ...。しかし俺は小物兄!うまるくん!になりたくない。
「じゃあ手伝うとかじゃなく、俺と教室で過ごしてくれ。冬香に話しかけた奴らと話せば俺も友達がゲットてきるって作戦だ。自己紹介では当たり障りないこと言うのが肝だ」
「うわぁ、必死だ...」
いや引かないで?俺は人を引かせたいのではなく惹かせたいんだよ。お前がいなくなったら高校生活ゲームオーバーでコンティニュー機能なしだよ...。人生ハードモードすぎてやばい。語彙力がやばくなるくらいにやばい。チュートリアルがしたいです...。そんな自分を情けないとは思うが、今更何をという感じに強く開き直っているのが俺だ。この世界は、やる気のないものから脱落するッ!すると冬香がとててっと俺より数歩ほど前にでて振り向く。日と重なったその笑顔が眩しく見える。
「そんな必死にならなくてもさ、自然体でいようよ。そっちの方が絶対いいと思うよ!」
「し、自然体...?俺って普段どんなだっけ?」
「ダメだこりゃ」
冬香は大袈裟に肩を竦めて、首を振る。ああ、呆れられた、諦められた。終わりだよ、俺。お母さん、お父さん、ごめんなさい。私、これ以上耐えられない!
朝からげっそりした顔で校門坂を見据える。友達何人できるかな。満潮時の沖ノ鳥島でみんなでおにぎり食べたいな。超絶低い目標を立てて、俺は冬香の方へ向く。
「お前は一緒におにぎり食べてくれるよな」
「え、何の話?」
「な?」
「いやだから何の話?ねえ、ハルくん?」
しっかりとした足音ととぼとぼと頼りない足音が学校の前で交錯していた。...はぁ、どうしよ。不安だああぁーっ!心の中で叫んで、パシッと両手で顔を叩いて気持ちをリセットした。よし、自然体だったな。自然体を強く意識しろ、俺。
「何その不自然な歩き方」
冬香は苦笑いしながら俺に放った。いやマジで、...どうすればいいのん?
インターホンが鳴り、冬香の声が家に響く。まだ食パンを食ってる途中である俺は焦って、咥えたまま「行ってきます」とふごふご言って家を出た。
「いってらー」
「気をつけてよ、ハル」
「本当に昔から仲良いな、鈴代さん家の娘さんと」
口々にそういう家族の声はドアを閉めることで遮られる。そんな俺を冬香は大きい目を更に大きく開いてまじまじと見つめる。何だよとばかりに冬香を一瞥すると彼女は楽しげに笑い出した。
「何それ、少女漫画みたいっ」
「そうは言ってもそんな少女漫画、実際に見たことないんだよなぁ」
一度食パンを手に持って、口の中のものを飲み込みそう言った。いや本当にあれ、何の漫画なの?誰か教えて欲しい。
「で、高校が始まった訳だけどさ。どうやって友達作るんだっけ」
「あー、自然にできるんじゃないの?」
「自然ってなんだよ...」
まずい、このままでは不自然な男として名を馳せてしまう。でもどうやって話しかけんの?まさか全ての女子が食パン咥えて俺にぶつかってくれる訳じゃないだろ?いやそんな女子一人もいねぇよ。しかし俺がパン咥えてぶつかったところで、学校で少女漫画に憧れたキモ男子現る(笑)とか言われて居場所がなくなること請け合いだ。何これ詰んでるじゃん。俺が戦ってる人生はもしかして藤井聡太だったの?にしても詰むの早すぎじゃない?強い。藤井聡太強い。
「そんなに心配するならあたしが手伝おうか?」
「いやいいよ、というか止めてくれ。すっげえ居た堪れないから」
そんなことになってみろ。俺は穴があったら入りたくなってしまう。で、誰もそのことに気付かず俺は埋められていくんだ...。しかし俺は小物兄!うまるくん!になりたくない。
「じゃあ手伝うとかじゃなく、俺と教室で過ごしてくれ。冬香に話しかけた奴らと話せば俺も友達がゲットてきるって作戦だ。自己紹介では当たり障りないこと言うのが肝だ」
「うわぁ、必死だ...」
いや引かないで?俺は人を引かせたいのではなく惹かせたいんだよ。お前がいなくなったら高校生活ゲームオーバーでコンティニュー機能なしだよ...。人生ハードモードすぎてやばい。語彙力がやばくなるくらいにやばい。チュートリアルがしたいです...。そんな自分を情けないとは思うが、今更何をという感じに強く開き直っているのが俺だ。この世界は、やる気のないものから脱落するッ!すると冬香がとててっと俺より数歩ほど前にでて振り向く。日と重なったその笑顔が眩しく見える。
「そんな必死にならなくてもさ、自然体でいようよ。そっちの方が絶対いいと思うよ!」
「し、自然体...?俺って普段どんなだっけ?」
「ダメだこりゃ」
冬香は大袈裟に肩を竦めて、首を振る。ああ、呆れられた、諦められた。終わりだよ、俺。お母さん、お父さん、ごめんなさい。私、これ以上耐えられない!
朝からげっそりした顔で校門坂を見据える。友達何人できるかな。満潮時の沖ノ鳥島でみんなでおにぎり食べたいな。超絶低い目標を立てて、俺は冬香の方へ向く。
「お前は一緒におにぎり食べてくれるよな」
「え、何の話?」
「な?」
「いやだから何の話?ねえ、ハルくん?」
しっかりとした足音ととぼとぼと頼りない足音が学校の前で交錯していた。...はぁ、どうしよ。不安だああぁーっ!心の中で叫んで、パシッと両手で顔を叩いて気持ちをリセットした。よし、自然体だったな。自然体を強く意識しろ、俺。
「何その不自然な歩き方」
冬香は苦笑いしながら俺に放った。いやマジで、...どうすればいいのん?