想い出は友情、時々希望。
アルト視点
ドアがギィ…と閉まる。
シエル「…」
床に冷たく置かれた地図を、ただただ見つめることしかできなかった。
アルト「………」
レイル「なんでっ…なんでよ、黄夏ちゃん…」
レイルさんがそう嘆くのもわかる。
相手が何してくるかわかったもんじゃないのに、手中に行くなんて…
神威「…[太字]行きましょう。この地図のもとへ。[/太字]」
シエル「神威先輩…」
神威「[太字]黄夏さんが託したんですから。繋ぐしかないです[/太字]」
レイル「……そうよね。」
…でも…
アルト「……」
そんなことできるか?
光を失った蛾みたいなオレらに。
アルト「…[太字]できない[/太字]」
ソプラノ「!?」
シエル「アルトさん!?」
アルト「[太字]オレだってなんでかわかんないけど、黄夏さん…
あの人がいなきゃ何も出来やしない気がするんだ[/太字]」
ソプラノ「…」
レイル「…でも、やるしかない」
レイル「[太字]私たちは黄夏ちゃんの想いを繋がなきゃいけないの[/太字]」
レイル「[太字]できないかもしれないけど…それでも、これが使命だと思うから…[/太字]」
アルト「…」
____[明朝体]ほんとありがとう。…私だけじゃ見つけられなかったわ。[/明朝体]
あの時のレイルさんとは、きっともう違うんだ。
アルト「そっか。そうだよな」
意味も拍子もなく唐突に襲った不安に違和感を持ちながら、
オレはそうとだけ言った。
[水平線]
レイル視点
レイル「…」
私たちは、あの後すぐに意識を失って、気が付いたらそれぞれの部屋にいた。
あまりに元通りの景色で、一瞬夢かと思ったが…
レイル「やっぱり通じない。」
メールも電話も、黄夏ちゃんには届かずにいる。
それに、会社にも来ない現状だった。
そんなことすべてが私に「[漢字]悪夢じゃない[/漢字][ふりがな]現実だよ[/ふりがな]」って囁く。
レイル「…そろそろ、覚悟を決めないといけないみたい」
鏡に映る自分は、ピンク色と黄色の混ざったロングヘアで、
向かって[太字]左目が母譲りのピンク色、右目が父譲りの黄色のオッドアイ[/太字]だ。
レイル「…お母さん、私頑張るから…」
クエスト・セクステットのリーダーとして。
黄夏ちゃんがいない今、私がみんなを引っ張るべきなんだ。
机のそばに置いた、新しく買った童話のタイトルを眺めて、私はそう思いなおすのだった。