想い出は友情、時々希望。
王巳「…へぇ…」
黄夏「交渉は成立でしょ?さっさと装飾品の情報を頂戴」
王巳「…オーケー。」
黄夏「あっ、言っておくけど情報はレイルさんたち…わたしの仲間に渡してよ。
わたしに渡されても困るわ、どうせここから帰れなくなるのに」
王巳「あらめざとい。騙してやろうかと思ったのに」
王巳「……」
黄夏「何?」
王巳「ううん、なんでもない。…そだ、これ」
黄夏「…チョーカー?」
王巳「仲間の印ね。私もつけてるでしょ?」
そういって彼女は首元を見せてくる。
押し付けてきたチョーカーとまるで同じ、
琥珀色の装飾がついたシンプルなチョーカーがつけられていた。
黄夏「ふーん。その辺拘るんだ」
王巳「当たり前、組織でしょ?」
[水平線]
シエル視点
ガチャ
神威「!」
ドアが開いて、入ってきたのは、王巳さんと黄夏さんだ。
王巳「ハーイ☆」
レイル「…黄夏ちゃん…」
黄夏「…みんな」
少し伏せた目をこちらに向けなおして、きっぱりと言い切った。
黄夏「[太字]わたしは、この組織に入る。[/太字]」
シエル「えっ!?」
アルト「あんた…」
レイル「…っなんで!?どうして…」
黄夏「…決めたこと、だから。取り消さないよ」
レイル「さっき言ったばかりでしょう!?あいつに屈するわけないって!!」
黄夏「別に屈してはない。…ただ、逆らえなかっただけ。」
黄夏「断ったらたぶん、[太字]皆まとめて死ぬだけだから[/太字]」
黄夏「…ただ仲間失うだけじゃ嫌だけど、わたしの夢託して去れるならいいじゃん。」
レイル「[太字]黄夏ちゃんがいなくて、この旅に何の意味があるの!?
…だって、だってあんたの願いなのに…![/太字]」
黄夏「…大丈夫、わたしの望み以外にも[太字]意味はあるよ[/太字]」
レイル「…それって」
黄夏「だってこうして旅して、さ。」
黄夏「[太字]シエルさんは決断の大切さを[/太字]」
シエル「…っ」
黄夏「[太字]アルトさんは自分を受け入れることを[/太字]」
アルト「!」
黄夏「[太字]レイル先輩は誰かに頼ることを知った[/太字]」
レイル「…」
黄夏「意味ないわけないじゃない。これ、確かな成長だよ。」
レイル「……成長」
黄夏「だからわたし、皆に夢を託す。」
黄夏「[太字]みんながこの旅路で成長できるように、わたしはその旅路を途絶えさせないようにする[/太字]」
シエル「…」
王巳「…話は終わった?」
黄夏さんはうなずく。
王巳「じゃあ仲間の印。つけて。」
黄夏「…」
黄夏さんは首にチョーカーをつけると、突然…
目が虚ろになった。
神威「えっ…!」
王巳「もう仲間だからね。[太字]ちょっと言う通りにしてもらうよ。[/太字]」
レイル「…っ黄夏ちゃん!!」
黄夏「…わたしは___」
王巳「交渉はちゃんと果たしてあげる。はい、これ。」
ぽす、と。地図のような、古ぼけた紙が床に置かれる。
ソプラノ「……」
王巳「じゃ。行きましょ。」
王巳さんはそう言って黄夏さんの肩に手を置くと、連れていくように歩き出した。