「ああ。あれか。」
おじさんの顔が、苦い顔になった。
「詳しい事件資料なら、そこにある。昨日ちょっと、徹夜だったから寝かせてもらうぞ。」
と言って、本を頭に乗せて三秒くらいで、いびきをかき始めた。
所轄の事件資料を見ても、変わりはなく遺書意外に不審な点はなかった。
仕方がないので、事件資料だけ借りて戻ることにした。


「あれから、聞き込みもしたけどそんなに収穫ないわねー。」
「いじめも、誰がやったのか誰も現場を見てないんですよ。それから、久保田恵理子は、久保田紗友里と血は繋がってません。」
「！」
なるほど。何となくわかった。だけど、こりゃあ掘り起こしたくない案件だな。
「よくやった。誰から、聞いたの？」
「父親の親族からです。」
「そう。とりあえず、今日はあがっていいよ。もう遅いし。私も帰りたいわ。」
「そうですね。」


警視庁を出て、駅のホームに入る。
私の家は結構遠いから、大変なんだよね。

新宿の所轄のおじさんが、苦い顔をした理由がよくわかる。
今回の自殺は、全て久保田恵理子が原因なんだろな.........。直接ではないにしろ.......
「あなた、ずっとつけてますよね。」
私に声をかけたのではないみたいだが、びっくりして振り返ると、高坂と五十代くらいの男性がいた。
「ええと、そいつは？」
「ストーカーですね。ずっと貴方のことつけてましたよ。」
「じゃあ、駅の警備員に放り込んどこう。」
「....ええ。」

「助かったわ。ところで、なんでここに？」
「帰り道がこっちの方面なんですよ。」
「へー」
「じゃ　電車も同じなんだ。飲みにいく？」
家の方面の電車に乗りながら聞いた。
「いや.........さけ弱いので...。」
「えええー残念。」
「新田さん。」
高坂が、迷惑ですよ。言いたげな表情をしている。
ちょっと、声がデカかったかな
「けっ[大文字]うるせぇな[/大文字]カップルが、いちゃいちゃしやがって。」
前の席に座っているあまり顔色のよくない男性が言った。