不遇水魔法使いの禁忌術式 オケアノスの塔
「(私としたことが…デュラハンなんで実物は初めて見たから人間を乗っ取れるなんて知らなかった…)」
目の前でサーシャは傷ついた肩を抑えながら魔力を込めている。何か策があるのだろうか。こっちも体の主導権を渡さないように抵抗しているが、足と剣先はサーシャの方へ向かってしまう。
「(連戦したあとの今の魔力の残量的にこれを使ったらもうスッカラカンけど、ハヤアキを傷つけずにあの剣を何とかするにはこれしかない。)」
サーシャはひと呼吸おき冷静な表情でつぶやいた。
「大海原に溺れて、水中で藻掻いて、水底へ沈んで
ーーーアクアギャザリング。」
いつもは一言で魔法の詠唱を済ませていたが、今度はそうではない長い詠唱、つまりこれまで見せたことないレベルの大魔法ということだろう。
そして次の瞬間、轟音と共に壁が外から洪水によって破壊された。その水は今までのような無から生成された水ではなく塔の下の湖のものを利用していた。
つまり圧倒的な質量の暴力、アクアキャノンやアクアショットガンを防いだように剣技で対処するのは不可能だ。俺にその洪水が衝突する寸前、サーシャの操作によって水の勢いが弱まりその中に俺は取り込まれた。
「ゴボゴボ(く、苦しい…息が…)」
「死にはしませんから!安心して溺れてください!」
そんなサーシャのなかなか鬼畜な発言を聞きながら俺は意識を手放した。
「ごほっごほ、はぁ…体が動かせるってことはデュラハンは倒せたのか?」
俺は水を吐き出しながら目を覚まし、体を自由に動かせることに気がついた。
「はい、なんとかハヤアキと切り離すことができました。今はこうやって水の中に閉じ込めています。」
そう言って見せられたのは周りを水でコーティングされたかのようになっている騎士剣・デュラハンの本体だった。剣に呼吸なんて必要ないはずだか苦しそうに震えていた。
「とりあえずこいつはこのままにして休憩しましょう。私も魔力を回復させないといけませんし。」
「そういえば俺が切りつけた傷は大丈夫か?操られていたとはいえ悪かった。」
「謝らなくてもいいですよ。回復魔法も水魔法の分類なのであの程度の傷なら傷跡一つ残さず治せましたよ。」
本当に万能だな水魔法。その後は魔法食で腹を満たし安眠した。床は崩れ、壁は壊され外の豪雨の音が聞こえるが、疲れていたのか水のベッドが優秀なのかすぐに眠ることができた。
翌日ー未だ水に閉じ込められているデュラハンに近づくと怯えたようにビクッと震えていた。
「こいつはどうする?このまま消滅させるか?」
「んーでも生かしてもいいことなさそうですよ。」
サーシャの意見は真っ当だが自分にも考えがあった。
「でもこいつの剣技は有用だし、この様子だと上下関係は教えられたみたいだし使えるんじゃないか。もう俺達に逆らわないよな?」
そうデュラハンに尋ねると全力で肯定するように回転した。
「サーシャ。閉じ込めてるこの魔法を解いてくれ。」
「わかりました。一応私は警戒しておきます。」
そうして水から脱出したデュラハンを手に取ると脳内に剣技のイメージが溢れてきた。
「大丈夫ですか。体、乗っ取られてませんよね?」
「ああ、大丈夫だ。でもこれはすごい。俺でもあの剣技を再現できるみたいだ。身体能力が上がるわけじゃないがかなりいいんじゃないか。それとせっかくだしこいつに新しい名前をつけよう。『デュランハル』 とかどうだ。」
「どうしてその名前に?」
「俺の故郷の架空の聖剣にデュランダルってのがあってな。それの文字りだ。」
そう名付けると魔物デュラハン改め魔剣デュランハルの刀身は満足そうに輝いていた。
目の前でサーシャは傷ついた肩を抑えながら魔力を込めている。何か策があるのだろうか。こっちも体の主導権を渡さないように抵抗しているが、足と剣先はサーシャの方へ向かってしまう。
「(連戦したあとの今の魔力の残量的にこれを使ったらもうスッカラカンけど、ハヤアキを傷つけずにあの剣を何とかするにはこれしかない。)」
サーシャはひと呼吸おき冷静な表情でつぶやいた。
「大海原に溺れて、水中で藻掻いて、水底へ沈んで
ーーーアクアギャザリング。」
いつもは一言で魔法の詠唱を済ませていたが、今度はそうではない長い詠唱、つまりこれまで見せたことないレベルの大魔法ということだろう。
そして次の瞬間、轟音と共に壁が外から洪水によって破壊された。その水は今までのような無から生成された水ではなく塔の下の湖のものを利用していた。
つまり圧倒的な質量の暴力、アクアキャノンやアクアショットガンを防いだように剣技で対処するのは不可能だ。俺にその洪水が衝突する寸前、サーシャの操作によって水の勢いが弱まりその中に俺は取り込まれた。
「ゴボゴボ(く、苦しい…息が…)」
「死にはしませんから!安心して溺れてください!」
そんなサーシャのなかなか鬼畜な発言を聞きながら俺は意識を手放した。
「ごほっごほ、はぁ…体が動かせるってことはデュラハンは倒せたのか?」
俺は水を吐き出しながら目を覚まし、体を自由に動かせることに気がついた。
「はい、なんとかハヤアキと切り離すことができました。今はこうやって水の中に閉じ込めています。」
そう言って見せられたのは周りを水でコーティングされたかのようになっている騎士剣・デュラハンの本体だった。剣に呼吸なんて必要ないはずだか苦しそうに震えていた。
「とりあえずこいつはこのままにして休憩しましょう。私も魔力を回復させないといけませんし。」
「そういえば俺が切りつけた傷は大丈夫か?操られていたとはいえ悪かった。」
「謝らなくてもいいですよ。回復魔法も水魔法の分類なのであの程度の傷なら傷跡一つ残さず治せましたよ。」
本当に万能だな水魔法。その後は魔法食で腹を満たし安眠した。床は崩れ、壁は壊され外の豪雨の音が聞こえるが、疲れていたのか水のベッドが優秀なのかすぐに眠ることができた。
翌日ー未だ水に閉じ込められているデュラハンに近づくと怯えたようにビクッと震えていた。
「こいつはどうする?このまま消滅させるか?」
「んーでも生かしてもいいことなさそうですよ。」
サーシャの意見は真っ当だが自分にも考えがあった。
「でもこいつの剣技は有用だし、この様子だと上下関係は教えられたみたいだし使えるんじゃないか。もう俺達に逆らわないよな?」
そうデュラハンに尋ねると全力で肯定するように回転した。
「サーシャ。閉じ込めてるこの魔法を解いてくれ。」
「わかりました。一応私は警戒しておきます。」
そうして水から脱出したデュラハンを手に取ると脳内に剣技のイメージが溢れてきた。
「大丈夫ですか。体、乗っ取られてませんよね?」
「ああ、大丈夫だ。でもこれはすごい。俺でもあの剣技を再現できるみたいだ。身体能力が上がるわけじゃないがかなりいいんじゃないか。それとせっかくだしこいつに新しい名前をつけよう。『デュランハル』 とかどうだ。」
「どうしてその名前に?」
「俺の故郷の架空の聖剣にデュランダルってのがあってな。それの文字りだ。」
そう名付けると魔物デュラハン改め魔剣デュランハルの刀身は満足そうに輝いていた。