不遇水魔法使いの禁忌術式 オケアノスの塔
天井の崩落に巻き込まれたデュラハン、誰が見ても俺たちの勝ちだろう。ただ問題は崩落した天井だ。崩落したのは三層の天井、つまり四層の床とも言える。そして四層の床が無くなり雪崩れ込んできたのは…
人型で人間とほぼ同じ魔物だった、ところどころ体の一部が腐っていることを除けばだが。
「今度はゾンビかよ、次から次へと…」
この世界の魔物に詳しくない俺でも分かる有名な魔物だった。それも1体ではない大群、十数体はいるだろう。
「ゾンビは再生してキリがありません。ゾンビがいるなら親玉のネクロマンサーがいるはずですが見当たりませんね。」
天井が崩落したと言っても部屋の中央の一部分だけなのでまだネクロマンサーは四層にいるのだろう。ただ四層に行くには目の前のゾンビの大群をどうにかしなければならない。
「蹴散らして階段まで突っ込みますよ!アクアガトリング!」
その詠唱で放たれたのは水の散弾、ただアクアショットガンのように弾が拡散しない一極集中の連射だった。サーシャは主にゾンビの足を狙っているようで、次々とバランスが崩れ倒れていった。
「さっき言った通り再生しますから、今のうちに」
そうして階段へ向かうと天井の穴から追加でゾンビが1体落ちてきた。サーシャは気づいていない。
だが、足元にデュラハンの騎士剣が落ちていた。
大きさ的に片手剣だろうし、実際デュラハンも片手で振り回していた。俺はそれを拾ったが、とても重い。両手で持つのが精一杯なそれを持ち上げゾンビに叩きつけ吹き飛ばした。
「た、助かりました…急ぎましょう!」
念の為騎士剣を持ち運び、階段を駆け上り四層についた。心無しか他の階層より薄暗く見えた四層の奥には落ち損ねたゾンビが数体、その中央に魔法使いのようなローブと帽子を被った骸骨がいた。しかもこっちを見て警戒するような動きをとっている。
「どうする。向こうもこっちに気づいてるぞ。」
「いつも通り遠距離からボコします。アクアガトリング。」
水の散弾の連射によって周りのゾンビは蹴散らすことができたが、ネクロマンサーは紫色のシールドを展開し防いでいた。
「闇属性の魔法ですね。厄介です。こっちは連戦で魔力を消耗し疲れてるのに長引きやすい魔法対決はジリ貧です。」
「俺にも何かできることはないか?」
「そうですね、今再生中のゾンビ数体を引きつけてください。」
ゾンビの再生は速く、もう起き上がりそうだった。
「わかった何とかする。」
今度はネクロマンサーから闇の弾丸が放たれ、サーシャは水のシールドでそれを防いでいた。2人の攻撃の射線上に入らないようにしつつ向かってくるゾンビを騎士剣で何とか迎撃した。剣なんて握ったことはないがゾンビの動きは鈍いので何とかなりそうだ。
しかし突然ネクロマンサーが攻撃を中断、足元に魔法陣を出現させたその直後、俺の目の前に瞬間移動してきた。俺を優先して倒すつもりだろう。しかもこの位置ではサーシャがネクロマンサーを攻撃しようとすれば俺を巻き込んでしまう。
ネクロマンサーはまた魔法を発動、闇の球体が何個も出現した。やばいやばいやばい。爆発か、斬撃か、飛び道具か、どんな攻撃かは分からないがこの距離では絶対に回避できない。
死が見えかけた時、俺が片手で振り回した騎士剣が球体を全て切り裂き、そのままネクロマンサーも細切れにした。そしてネクロマンサーは消滅、それが引き金になりゾンビも全て消滅した。サーシャも駆け寄ってきたが…
「逃げ…」
「くっ!」
体が勝手に動きサーシャへ剣が振るわれた。サーシャは何とか避けようとしたが、剣が肩に掠り苦鳴を漏らした。
違和感を持つべきだった。ブリザードトレントも今、目の前で倒したネクロマンサーも消滅するときは塵一つ残さず消えていた。つまりデュラハンを倒して騎士剣が残るなんてあり得ない。ありえるとしたら可能性は一つ…
「騎士剣が…本体…」
体の制御が効かない、乗っ取られている。
無機質な騎士剣が不気味に笑ったような気がした。
人型で人間とほぼ同じ魔物だった、ところどころ体の一部が腐っていることを除けばだが。
「今度はゾンビかよ、次から次へと…」
この世界の魔物に詳しくない俺でも分かる有名な魔物だった。それも1体ではない大群、十数体はいるだろう。
「ゾンビは再生してキリがありません。ゾンビがいるなら親玉のネクロマンサーがいるはずですが見当たりませんね。」
天井が崩落したと言っても部屋の中央の一部分だけなのでまだネクロマンサーは四層にいるのだろう。ただ四層に行くには目の前のゾンビの大群をどうにかしなければならない。
「蹴散らして階段まで突っ込みますよ!アクアガトリング!」
その詠唱で放たれたのは水の散弾、ただアクアショットガンのように弾が拡散しない一極集中の連射だった。サーシャは主にゾンビの足を狙っているようで、次々とバランスが崩れ倒れていった。
「さっき言った通り再生しますから、今のうちに」
そうして階段へ向かうと天井の穴から追加でゾンビが1体落ちてきた。サーシャは気づいていない。
だが、足元にデュラハンの騎士剣が落ちていた。
大きさ的に片手剣だろうし、実際デュラハンも片手で振り回していた。俺はそれを拾ったが、とても重い。両手で持つのが精一杯なそれを持ち上げゾンビに叩きつけ吹き飛ばした。
「た、助かりました…急ぎましょう!」
念の為騎士剣を持ち運び、階段を駆け上り四層についた。心無しか他の階層より薄暗く見えた四層の奥には落ち損ねたゾンビが数体、その中央に魔法使いのようなローブと帽子を被った骸骨がいた。しかもこっちを見て警戒するような動きをとっている。
「どうする。向こうもこっちに気づいてるぞ。」
「いつも通り遠距離からボコします。アクアガトリング。」
水の散弾の連射によって周りのゾンビは蹴散らすことができたが、ネクロマンサーは紫色のシールドを展開し防いでいた。
「闇属性の魔法ですね。厄介です。こっちは連戦で魔力を消耗し疲れてるのに長引きやすい魔法対決はジリ貧です。」
「俺にも何かできることはないか?」
「そうですね、今再生中のゾンビ数体を引きつけてください。」
ゾンビの再生は速く、もう起き上がりそうだった。
「わかった何とかする。」
今度はネクロマンサーから闇の弾丸が放たれ、サーシャは水のシールドでそれを防いでいた。2人の攻撃の射線上に入らないようにしつつ向かってくるゾンビを騎士剣で何とか迎撃した。剣なんて握ったことはないがゾンビの動きは鈍いので何とかなりそうだ。
しかし突然ネクロマンサーが攻撃を中断、足元に魔法陣を出現させたその直後、俺の目の前に瞬間移動してきた。俺を優先して倒すつもりだろう。しかもこの位置ではサーシャがネクロマンサーを攻撃しようとすれば俺を巻き込んでしまう。
ネクロマンサーはまた魔法を発動、闇の球体が何個も出現した。やばいやばいやばい。爆発か、斬撃か、飛び道具か、どんな攻撃かは分からないがこの距離では絶対に回避できない。
死が見えかけた時、俺が片手で振り回した騎士剣が球体を全て切り裂き、そのままネクロマンサーも細切れにした。そしてネクロマンサーは消滅、それが引き金になりゾンビも全て消滅した。サーシャも駆け寄ってきたが…
「逃げ…」
「くっ!」
体が勝手に動きサーシャへ剣が振るわれた。サーシャは何とか避けようとしたが、剣が肩に掠り苦鳴を漏らした。
違和感を持つべきだった。ブリザードトレントも今、目の前で倒したネクロマンサーも消滅するときは塵一つ残さず消えていた。つまりデュラハンを倒して騎士剣が残るなんてあり得ない。ありえるとしたら可能性は一つ…
「騎士剣が…本体…」
体の制御が効かない、乗っ取られている。
無機質な騎士剣が不気味に笑ったような気がした。