不遇水魔法使いの禁忌術式 オケアノスの塔
「あれがブリザードトレント…」
目の前にいるのは氷を纏った大きな口ある樹木、ブリザードトレント。そして通路の壁の根より一回り小さい根を触手のようにこちらに伸ばしてきた。
「アクアボム!」
詠唱をするとバスケットボールより少し小さい水球ができそれを投げ入れた。そして水の爆風が根と本体に直撃した。
「硬いな」
結果として根は氷が吹き飛ばされ露出し動きも鈍ったが、本体は無傷、樹木の氷が少し削れた程度だろう。
「トレント系は口の中が弱点です。ですからそこに何とか攻撃を入れさえすれば…」
弱点は一応あるようだ。ただその難易度は高いだろう。そこで一つ思いついたのは…
「さっきの爆弾は応用が効くのか?」
「ええ、私が生成してあなたが持つこともできますし、時間差で爆発させることもできます。」
「なら俺があいつの口のなかに爆弾をぶち込む。サーシャは根を何とかしてくれ。」
「わ、わかりました。でも気をつけてくださいね、トレントにも牙はありますから。根は出来る限り私が対処します。…いきますよ、爆弾の爆発は10秒後です。」
10ーサーシャは俺に爆弾を手渡し、同時に俺も駆け出した。
9ー根の触手が邪魔をしてくる。さっきの爆発でダメージは与えたがそれでも俺を行動不能にさせるには十分だろう。
8ー「アクアスナイプ。」サーシャが魔法の詠唱をし水のレーザーを放った。爆弾と違い根触手に大ダメージとはいかないが、俺への攻撃は中断できた。
7ーブリザードトレントは目の前だ。そして突如、ブリザードトレントの本体から大量の果物のようなものが落ちてきた。まずい…見た目は問題なさそうに見えるが、おそらく花と同じように触れると氷漬けにされるだろう。
6ー「アクアショットガン!」サーシャの間一髪の詠唱で水の散弾が放たれ果物は全て吹き飛ばされた。
5ーようやく手の届く距離まで近づくことができた。近くで見ると口ある樹木というものはとても不気味に見えた。
4ーブリザードトレントの中に腕を突っ込んだ。そしてサーシャの警告通り牙があり、腕を噛み砕こうとして…
3ーガキンッという音と共にブリザードトレントの牙が砕かれた。なぜなら俺が突っ込んだのは右腕、氷漬けになった右腕だ。賭けには勝った、このまま勝たせてもらう。
2ー左手で無防備な口に爆弾を入れた。これで1番の難所は乗り越えた。
1ー急いで右腕を引き抜き、ブリザードトレントから距離を取った。そして…
0ー水の爆弾が爆発し、ブリザードトレントを内側から破裂させた。
俺も爆風で吹き飛ばされたが特に怪我はないようだ。
そしてブリザードトレントの体が消滅し、それに伴い、通路の壁…つまり根も消滅し部屋全体の氷も溶けた。ついでに俺の右腕も氷が溶けもとに戻った。そうして元の石造りの塔に戻ったところで口の中に何かを突っ込まれた。
「ほへははんだ?」
「前に言った魔法食ですよ。ここまでぶっ通しで来ましたし、休憩しましょう。それによく倒せましたね。あなたのおかげで何とかなりました。ハヤアキ。」
魔法食を味わっているとふと自分の呼ばれ方に違和感を覚えた。
「もしかして初めて呼び捨てされた?」
「いいじゃないですか。親交を深めた証ですよ。あなたも私のこと呼び捨てていいですから。」
「わかった、サーシャ。じゃあこれからもよろしくな。」
異世界で初めての魔物討伐、その余韻はすぐに次の階層へ挑む心に変わっていくのだった。
目の前にいるのは氷を纏った大きな口ある樹木、ブリザードトレント。そして通路の壁の根より一回り小さい根を触手のようにこちらに伸ばしてきた。
「アクアボム!」
詠唱をするとバスケットボールより少し小さい水球ができそれを投げ入れた。そして水の爆風が根と本体に直撃した。
「硬いな」
結果として根は氷が吹き飛ばされ露出し動きも鈍ったが、本体は無傷、樹木の氷が少し削れた程度だろう。
「トレント系は口の中が弱点です。ですからそこに何とか攻撃を入れさえすれば…」
弱点は一応あるようだ。ただその難易度は高いだろう。そこで一つ思いついたのは…
「さっきの爆弾は応用が効くのか?」
「ええ、私が生成してあなたが持つこともできますし、時間差で爆発させることもできます。」
「なら俺があいつの口のなかに爆弾をぶち込む。サーシャは根を何とかしてくれ。」
「わ、わかりました。でも気をつけてくださいね、トレントにも牙はありますから。根は出来る限り私が対処します。…いきますよ、爆弾の爆発は10秒後です。」
10ーサーシャは俺に爆弾を手渡し、同時に俺も駆け出した。
9ー根の触手が邪魔をしてくる。さっきの爆発でダメージは与えたがそれでも俺を行動不能にさせるには十分だろう。
8ー「アクアスナイプ。」サーシャが魔法の詠唱をし水のレーザーを放った。爆弾と違い根触手に大ダメージとはいかないが、俺への攻撃は中断できた。
7ーブリザードトレントは目の前だ。そして突如、ブリザードトレントの本体から大量の果物のようなものが落ちてきた。まずい…見た目は問題なさそうに見えるが、おそらく花と同じように触れると氷漬けにされるだろう。
6ー「アクアショットガン!」サーシャの間一髪の詠唱で水の散弾が放たれ果物は全て吹き飛ばされた。
5ーようやく手の届く距離まで近づくことができた。近くで見ると口ある樹木というものはとても不気味に見えた。
4ーブリザードトレントの中に腕を突っ込んだ。そしてサーシャの警告通り牙があり、腕を噛み砕こうとして…
3ーガキンッという音と共にブリザードトレントの牙が砕かれた。なぜなら俺が突っ込んだのは右腕、氷漬けになった右腕だ。賭けには勝った、このまま勝たせてもらう。
2ー左手で無防備な口に爆弾を入れた。これで1番の難所は乗り越えた。
1ー急いで右腕を引き抜き、ブリザードトレントから距離を取った。そして…
0ー水の爆弾が爆発し、ブリザードトレントを内側から破裂させた。
俺も爆風で吹き飛ばされたが特に怪我はないようだ。
そしてブリザードトレントの体が消滅し、それに伴い、通路の壁…つまり根も消滅し部屋全体の氷も溶けた。ついでに俺の右腕も氷が溶けもとに戻った。そうして元の石造りの塔に戻ったところで口の中に何かを突っ込まれた。
「ほへははんだ?」
「前に言った魔法食ですよ。ここまでぶっ通しで来ましたし、休憩しましょう。それによく倒せましたね。あなたのおかげで何とかなりました。ハヤアキ。」
魔法食を味わっているとふと自分の呼ばれ方に違和感を覚えた。
「もしかして初めて呼び捨てされた?」
「いいじゃないですか。親交を深めた証ですよ。あなたも私のこと呼び捨てていいですから。」
「わかった、サーシャ。じゃあこれからもよろしくな。」
異世界で初めての魔物討伐、その余韻はすぐに次の階層へ挑む心に変わっていくのだった。