不遇水魔法使いの禁忌術式 オケアノスの塔
王都の街に野次馬が集まっている。なぜなら魔法使いと騎士が竜と市街地で戦っているという異質な状況だからだ。
「危険なので下がっててください!」
「この竜…しぶといな」
私は水のシールドを複数生成し街や人々を竜の攻撃から守った。ヴェルダーが何発を撃ち抜いているが竜はしぶとくまだ倒れない。あの銀髪の魔法使いが再現した魔物は想像以上に厄介だ。見た目は水なので強そうには見えないが、このしぶとさや再現度150%と言っていたことからオリジナルの魔物より強いのだろう。
「時間はかけない。これで終わりだ」
ヴェルダーがそう宣言しに水でできた翼、胴体、頭部を同時に撃ち抜いた。すると竜の形は崩れただの水となって街に降り注いだ。
「アマガサの加勢に行くぞ」
「ちょっと待ってください。この魔法を少し解析させてください」
私は竜を形成していた水に触れ解析を始める。
「やはり相当高度な術式ですね。ただいくら高度な魔法でも解析はできるので、これと同じぐらいのレベルの不死身の魔法ももしかしたら解けるかもしれません」
「でも解析するには触れなきゃいけないんだろ?」
「その方法は後で考えましょう。まずはハヤアキの所へ──」
言いかけたところで何人かの兵士が必死の形相で走ってきた。
「王城が制圧されました!相手は陛下を人質に立て籠っています!」
竜の相手をしていたわずが10分程度でそこまでできたのか。相手の実力は想像の数段上らしい。
「詳しい状況を頼む。王城へ向かいながら聞かせてくれ」
ヴェルダーが兵士にそう言った。私達は王城へ向かいつつ兵士の話を聞いた。
「王城の中にいきなり女が入り込み城内の兵士を殺戮しそのまま陛下を人質にしたそうです。幸い今日は陛下以外の貴族は城にいませんでしたが、使用人などの非戦闘員も大勢が人質にとられています」
そうしているうちに王城が見えた。
「なんですかあれは…」
目に入ったのは王城を囲むように展開された、水のバリアだった。
「女は人質を盾に兵を城の外へ追い出すと、あのようにバリアを貼ったようです」
さらに足止めをしていたはずのハヤアキの姿がない。
「アマガサも生存は厳しいか…?」
ヴェルダーの意見は最もだかあまり信じたくない。そこで私は感知魔法を使ってみた。
「感知魔法を使っても近くには死体もデュランハルも引っかかりません」
「なら連れ去られたのか」
「おそらくそうでしょうね。理由は…魔剣を持ち歩いているからでしょうか?」
「奴が魔法使いならその可能性が高いな。だか生きてるにしても状況はやばいはずだ。すぐに助けるぞ」
「待ってください。城には人質が…」
兵士が異議を唱えた。確かに人質を取られている以上大きな動きはできないだろう。
「だから少数精鋭で気づかれないように忍び込む。時間との勝負だ。さっさとケリをつけるぞ」
私とヴェルダーの王城奪還作戦が始まった。
[水平線]
王城の一室にて
「───────────というわけだ。状況は飲み込めたか?」
いきなり国王だと自称した相手から話されたのは王城が制圧されたという話だった。思っていたよりも深刻な事態だ。
「そういえば余に名乗らせておきながら貴様は名乗ってないな。名はなんだ?」
「俺は雨傘速秋だ。というかあんたが王様ってのがまだ納得できてないよ。その見た目だとせいぜい王子とかじゃないのか?」
「なかなかに不敬なことを言うものだな。余は無意味に嘘は吐かぬぞ」
すると部屋の扉が開けられ銀髪の女が入ってきた。
「もちろんレオ陛下は本物の国王だよ。それも歴代最年少で王位を得た天才だ。だからこそ人質として価値があるんだがね」
「お前!デュランハルをどこに─」
「待てハヤアキ。余がこいつと話す」
咄嗟のことに冷静さを失いかけたがレオに静止され落ち着いてきた。
「単刀直入に聞くがミリル・エルニアス、貴様の目的はなんだ?」
「私の名前知ってるんだ。地下牢に封印されてたわけだし私って意外と有名人なのかな?」
「はぐらかすな」
「ちゃんと答えてあげるさ」
一拍おくとミリルと呼ばれた女は続けた。
「私の目的は王族が持っているとされる宝具・ネレイデスの強奪、それによる大魔法の行使。最終目標は完全な不死身化だ」
魔法使いは妖艶な笑みでそう語った。
「危険なので下がっててください!」
「この竜…しぶといな」
私は水のシールドを複数生成し街や人々を竜の攻撃から守った。ヴェルダーが何発を撃ち抜いているが竜はしぶとくまだ倒れない。あの銀髪の魔法使いが再現した魔物は想像以上に厄介だ。見た目は水なので強そうには見えないが、このしぶとさや再現度150%と言っていたことからオリジナルの魔物より強いのだろう。
「時間はかけない。これで終わりだ」
ヴェルダーがそう宣言しに水でできた翼、胴体、頭部を同時に撃ち抜いた。すると竜の形は崩れただの水となって街に降り注いだ。
「アマガサの加勢に行くぞ」
「ちょっと待ってください。この魔法を少し解析させてください」
私は竜を形成していた水に触れ解析を始める。
「やはり相当高度な術式ですね。ただいくら高度な魔法でも解析はできるので、これと同じぐらいのレベルの不死身の魔法ももしかしたら解けるかもしれません」
「でも解析するには触れなきゃいけないんだろ?」
「その方法は後で考えましょう。まずはハヤアキの所へ──」
言いかけたところで何人かの兵士が必死の形相で走ってきた。
「王城が制圧されました!相手は陛下を人質に立て籠っています!」
竜の相手をしていたわずが10分程度でそこまでできたのか。相手の実力は想像の数段上らしい。
「詳しい状況を頼む。王城へ向かいながら聞かせてくれ」
ヴェルダーが兵士にそう言った。私達は王城へ向かいつつ兵士の話を聞いた。
「王城の中にいきなり女が入り込み城内の兵士を殺戮しそのまま陛下を人質にしたそうです。幸い今日は陛下以外の貴族は城にいませんでしたが、使用人などの非戦闘員も大勢が人質にとられています」
そうしているうちに王城が見えた。
「なんですかあれは…」
目に入ったのは王城を囲むように展開された、水のバリアだった。
「女は人質を盾に兵を城の外へ追い出すと、あのようにバリアを貼ったようです」
さらに足止めをしていたはずのハヤアキの姿がない。
「アマガサも生存は厳しいか…?」
ヴェルダーの意見は最もだかあまり信じたくない。そこで私は感知魔法を使ってみた。
「感知魔法を使っても近くには死体もデュランハルも引っかかりません」
「なら連れ去られたのか」
「おそらくそうでしょうね。理由は…魔剣を持ち歩いているからでしょうか?」
「奴が魔法使いならその可能性が高いな。だか生きてるにしても状況はやばいはずだ。すぐに助けるぞ」
「待ってください。城には人質が…」
兵士が異議を唱えた。確かに人質を取られている以上大きな動きはできないだろう。
「だから少数精鋭で気づかれないように忍び込む。時間との勝負だ。さっさとケリをつけるぞ」
私とヴェルダーの王城奪還作戦が始まった。
[水平線]
王城の一室にて
「───────────というわけだ。状況は飲み込めたか?」
いきなり国王だと自称した相手から話されたのは王城が制圧されたという話だった。思っていたよりも深刻な事態だ。
「そういえば余に名乗らせておきながら貴様は名乗ってないな。名はなんだ?」
「俺は雨傘速秋だ。というかあんたが王様ってのがまだ納得できてないよ。その見た目だとせいぜい王子とかじゃないのか?」
「なかなかに不敬なことを言うものだな。余は無意味に嘘は吐かぬぞ」
すると部屋の扉が開けられ銀髪の女が入ってきた。
「もちろんレオ陛下は本物の国王だよ。それも歴代最年少で王位を得た天才だ。だからこそ人質として価値があるんだがね」
「お前!デュランハルをどこに─」
「待てハヤアキ。余がこいつと話す」
咄嗟のことに冷静さを失いかけたがレオに静止され落ち着いてきた。
「単刀直入に聞くがミリル・エルニアス、貴様の目的はなんだ?」
「私の名前知ってるんだ。地下牢に封印されてたわけだし私って意外と有名人なのかな?」
「はぐらかすな」
「ちゃんと答えてあげるさ」
一拍おくとミリルと呼ばれた女は続けた。
「私の目的は王族が持っているとされる宝具・ネレイデスの強奪、それによる大魔法の行使。最終目標は完全な不死身化だ」
魔法使いは妖艶な笑みでそう語った。