不遇水魔法使いの禁忌術式 オケアノスの塔
「オレの策に乗れ」
「何かあるのか!?でもとりあえずこの風刃をなんとかしないと…」
復活したヴェルダーはまたしてもワイバーンを狙撃。風刃の雨をすり抜ける糸を通すような狙撃だ。ワイバーンには避けられたがこちらを警戒している。そのおかげで一時的に風刃の雨が止んだ。
「これで少し猶予ができたな。アマガサ…その魔剣は魔物だろ?ついでに言うと風刃の魔力を吸収してるんじゃないか?」
「よくわかったな…」
「魔力の吸収なんて魔法使いの私でも分からないのにどうしてヴェルダーさんは分かるんですか?」
「魔物も魔力も経験則でなんとなく分かるもんだ」
経験則でそこまでできるものなのだろうか。魔物かどうかはともかく魔力に関しても見抜いているとは…ヴェルダーの洞察力には驚きだ。
「そしてこの作戦はその魔剣が鍵だ。詳しく説明するぞ───
───これでどうだ?」
「一か八かにも程があるだろ…」
そうして魔獣討伐の最終作戦が開始した。
[水平線]
ワイバーンの攻撃が再開、風刃の雨が降り注ぐ。だか今度は3人がかりで防ぐ。俺は剣閃で、サーシャは水の散弾とシールドで、ヴェルダーは魔力弾で防いだ。銃である以上俺とサーシャより撃ち落とせる数は少ないはずなのにヴェルダーがいると安心感が違う。なぜなら風刃の中でも俺達に当たるものだけを的確に見抜き撃ち落としているからだ。最初の攻撃も俺達を庇わなければ余裕で防げただろう。本当にヴェルダーが人間か怪しくなってきた。
そして風刃を防がれることに痺れを切らしたワイバーンが別の攻撃に切り替えた。それは水竜と同じ竜種であるため持つ奥義──竜の[漢字]息吹[/漢字][ふりがな]ブレス[/ふりがな]だ。
「(きた!)」
竜の息吹を使わせることはヴェルダーの作戦の内だ。同時に作戦の本番が始まることを意味する。上空ではワイバーンの口元に風が集まる。そして暴風を極限まで凝縮したビームは地上の俺達目掛けて放たれた。同じ息吹でも水竜のそれとは明らかに違う。暴力的な魔獣の力の象徴だ。
「アクアレールガン───」
「魔導ライフル─────」
「「最大出力!!」」
息吹に対抗して放たれたのは後先考えずに魔力を込められた洪水のビームと魔力の弾だ。魔法は魔力を込めれば込めるだけ威力が上がり、魔導ライフルも同じように魔力で弾を生成するため威力が上がる。2人とも持てる魔力を全て込めた最大出力だ。次はもうない、だからこれで決めるしかない。
3つの破壊の力が激突する。だが最大出力の技2つでも魔獣の奥義には勝てない。だから俺が後押しする。
「食らえ!!」
俺が放ったのはいつの日かケンタウロスを屠ったデュランハルの投擲だ。それを3つの力が激突している場所に投げ入れて捻じ込む。そこまでしてようやく力が拮抗、同時に破壊の攻撃全て対消滅。強烈な余波が吹き荒れた。息吹は防げた。だかワイバーンは次の息吹を放とうとしている。俺達が全力を賭けたものでも魔獣は連発できるらしい。対してこちらの手札はない…いや一つある。俺の手の中に余波で吹き飛ばされてきたデュランハルだ。
そしてそれは竜の息吹、破壊の水の奔流、最大出力の魔力弾、それらと激突し全ての魔力を喰らった魔喰剣だ。
『(ボクに限界まで魔力を溜めさせる…そんな無茶な作戦を思いつくとは…彼なかなかやるね)』
そうヴェルダーが考案したのは竜の息吹を誘発、それに攻撃をぶつけ同時にデュランハルに魔力を集めるというものだ。デュランハルが言ったように無茶な作戦。だか成功した。そして握るデュランハルの中の力が伝わってくる。
斬れる。ワイバーンは剣の間合いより遥か遠くの上空にいるが確信した。ワイバーンの2発目の息吹が放たれた。それに向かい剣を振る。
「デュランハル・グーラ────[漢字]限界突破[/漢字][ふりがな]オーバーフロー[/ふりがな]」
デュランハルのから溜めた魔力が溢れ出る。切れ味が上がるなんて程度のものではない。放たれたのは魔力の斬撃。何もかも壊滅させる破滅の斬撃だ。
上空へ飛んだ魔喰剣の斬撃は竜の息吹、そしてワイバーンすらもまとめて切り裂いた。ワイバーンは両断され地に落ちる。だが地面に墜落する前に体が消滅、同時に周囲の砂嵐も消えた。
それが異世界二度目の魔獣討伐の証だった。
「何かあるのか!?でもとりあえずこの風刃をなんとかしないと…」
復活したヴェルダーはまたしてもワイバーンを狙撃。風刃の雨をすり抜ける糸を通すような狙撃だ。ワイバーンには避けられたがこちらを警戒している。そのおかげで一時的に風刃の雨が止んだ。
「これで少し猶予ができたな。アマガサ…その魔剣は魔物だろ?ついでに言うと風刃の魔力を吸収してるんじゃないか?」
「よくわかったな…」
「魔力の吸収なんて魔法使いの私でも分からないのにどうしてヴェルダーさんは分かるんですか?」
「魔物も魔力も経験則でなんとなく分かるもんだ」
経験則でそこまでできるものなのだろうか。魔物かどうかはともかく魔力に関しても見抜いているとは…ヴェルダーの洞察力には驚きだ。
「そしてこの作戦はその魔剣が鍵だ。詳しく説明するぞ───
───これでどうだ?」
「一か八かにも程があるだろ…」
そうして魔獣討伐の最終作戦が開始した。
[水平線]
ワイバーンの攻撃が再開、風刃の雨が降り注ぐ。だか今度は3人がかりで防ぐ。俺は剣閃で、サーシャは水の散弾とシールドで、ヴェルダーは魔力弾で防いだ。銃である以上俺とサーシャより撃ち落とせる数は少ないはずなのにヴェルダーがいると安心感が違う。なぜなら風刃の中でも俺達に当たるものだけを的確に見抜き撃ち落としているからだ。最初の攻撃も俺達を庇わなければ余裕で防げただろう。本当にヴェルダーが人間か怪しくなってきた。
そして風刃を防がれることに痺れを切らしたワイバーンが別の攻撃に切り替えた。それは水竜と同じ竜種であるため持つ奥義──竜の[漢字]息吹[/漢字][ふりがな]ブレス[/ふりがな]だ。
「(きた!)」
竜の息吹を使わせることはヴェルダーの作戦の内だ。同時に作戦の本番が始まることを意味する。上空ではワイバーンの口元に風が集まる。そして暴風を極限まで凝縮したビームは地上の俺達目掛けて放たれた。同じ息吹でも水竜のそれとは明らかに違う。暴力的な魔獣の力の象徴だ。
「アクアレールガン───」
「魔導ライフル─────」
「「最大出力!!」」
息吹に対抗して放たれたのは後先考えずに魔力を込められた洪水のビームと魔力の弾だ。魔法は魔力を込めれば込めるだけ威力が上がり、魔導ライフルも同じように魔力で弾を生成するため威力が上がる。2人とも持てる魔力を全て込めた最大出力だ。次はもうない、だからこれで決めるしかない。
3つの破壊の力が激突する。だが最大出力の技2つでも魔獣の奥義には勝てない。だから俺が後押しする。
「食らえ!!」
俺が放ったのはいつの日かケンタウロスを屠ったデュランハルの投擲だ。それを3つの力が激突している場所に投げ入れて捻じ込む。そこまでしてようやく力が拮抗、同時に破壊の攻撃全て対消滅。強烈な余波が吹き荒れた。息吹は防げた。だかワイバーンは次の息吹を放とうとしている。俺達が全力を賭けたものでも魔獣は連発できるらしい。対してこちらの手札はない…いや一つある。俺の手の中に余波で吹き飛ばされてきたデュランハルだ。
そしてそれは竜の息吹、破壊の水の奔流、最大出力の魔力弾、それらと激突し全ての魔力を喰らった魔喰剣だ。
『(ボクに限界まで魔力を溜めさせる…そんな無茶な作戦を思いつくとは…彼なかなかやるね)』
そうヴェルダーが考案したのは竜の息吹を誘発、それに攻撃をぶつけ同時にデュランハルに魔力を集めるというものだ。デュランハルが言ったように無茶な作戦。だか成功した。そして握るデュランハルの中の力が伝わってくる。
斬れる。ワイバーンは剣の間合いより遥か遠くの上空にいるが確信した。ワイバーンの2発目の息吹が放たれた。それに向かい剣を振る。
「デュランハル・グーラ────[漢字]限界突破[/漢字][ふりがな]オーバーフロー[/ふりがな]」
デュランハルのから溜めた魔力が溢れ出る。切れ味が上がるなんて程度のものではない。放たれたのは魔力の斬撃。何もかも壊滅させる破滅の斬撃だ。
上空へ飛んだ魔喰剣の斬撃は竜の息吹、そしてワイバーンすらもまとめて切り裂いた。ワイバーンは両断され地に落ちる。だが地面に墜落する前に体が消滅、同時に周囲の砂嵐も消えた。
それが異世界二度目の魔獣討伐の証だった。