不遇水魔法使いの禁忌術式 オケアノスの塔
速秋とデュランハルがキングスコーピオンを倒す少し前…
[水平線]
「これが…スナモグラですか…」
私と相対しているのはスナモグラ。名前の通りモグラの見た目で砂の中を高速移動する魔物だ。ただキングスコーピオンと同じように巨体で全長10m以上はある。
「アクアシール…ぐっ!」
シールドの展開が間に合わず、負傷した。スナモグラが再び奇襲を仕掛けるために砂の中に潜る。でも私の回復魔法ならこの程度傷は…
「アク……!今度はそっちですか!?」
後ろからの奇襲を何とか回避。だか詠唱をさせてもらえない。相手のスピードが速すぎる。それに前後左右どこから襲ってくるかわからない。
だか不思議なことに私は何か懐かしい感じがした。1人で魔物と戦うのが久しぶりだからだろうか。ピンチはチャンスと言うように私の中で魔法のイメージが新しく浮かんでくる。しかしそんな隙を見逃すスナモグラではない。
だか銃声と共にスナモグラの攻撃が中断された。ヴェルダーからの文字通りの援護射撃だ。ヴェルダーは今、200m程離れた場所で魔物の大群を惹きつけながら戦っている。それでも私に援護射撃をできたというのだからその力量には目を疑うばかりだ。
オケアノスの塔以来のピンチで何かが掴めそうなのだ。何故だか邪魔はしてほしくなかった。
この違和感は何だろう。
私は戦いが好きなのだろうか?
違う。戦闘なんて疲れるから嫌だ。
私は魔法が好きなのだろうか?
違う。魔法よりも大事なものがあるから。
私はもしかしてハヤアキのことが好きなのだろうか?
違う。彼に求めているのは私の予想を超える発想だ。
私は何を求めているのか知りたい。知りたいから魔法を極め、知りたいからハヤアキを召喚した。知りたいからオケアノスの塔を攻略した。
私が好きなのはーー
「……私は…[漢字]未知との遭遇[/漢字][ふりがな]この好奇心[/ふりがな]が好きなんですね…」
[水平線]
サーシャ・アクエリオスを見る周りの目はあまりいいものではなかった。サーシャは幼いころから魔法の才能があったがそのせいでたびたび問題を起こしていたからだ。
その原因は単純な好奇心、知りたいという欲求だ。
魔物図鑑を読んでは実際に魔物に会おうとしたり、水魔法で洪水を起こしたり、興味本位で異世界から人を召喚したり、歴史的建造物を破壊したり。
あげくの果てには追放された。
だかサーシャには好奇心が全ての原動力になっているという自覚はなかった。自分でも分からない理由で行動していた。しかしオケアノスの塔での激戦続き、砂漠という慣れない環境での初戦闘、それがサーシャに自分の欲求に気づかせてしまった。
この世界の水魔法は幾つものどこかの世界のように不遇でも、迫害されているわけでも、禁忌でもない。広く親しまれている普通の魔法だ。
それでもただの少女の好奇心の末にある水魔法はこの世界ですら異端だった。
[水平線]
今まで無自覚だったことを理解する。この世界でこれほど気持ちいいこともないだろう。そして今まで表に出さなかった欲が溢れ出る。全てを知りたい、[漢字]未知の異世界人[/漢字][ふりがな]ハヤアキ[/ふりがな]のことを、[漢字]未知の魔物[/漢字][ふりがな]デュランハル[/ふりがな]のことを、[漢字]未知の実力者[/漢字][ふりがな]ヴェルダー[/ふりがな]のことを。
もちろん目の前にいるスナモグラのことを知り尽くしたい。しかしそんな私の望みは叶わなそうだ。スナモグラがまたしても高速の奇襲を仕掛けてきた。
「アクアシールド」
詠唱が終わる前にスナモグラの爪がサーシャに届く。しかし今度は水の防壁によって防がれている。
「詠唱なんて面倒なことしなくてもいいと思いませんか?。私はより早く魔法がもたらす結果を知りたいんです」
自分自身の理解を深めることで魔法の技量が覚醒したのだ。念じるだけで魔法を発動させるという魔法の極致、それができたという高揚感で飛び跳ねたくなる。
「(アクアショットガン)」
癖で心の中で詠唱をしてしまうがまあいいだろう。何はともあれこれで詠唱という発動までのラグが完全に消滅する。それは1秒1秒が大切な戦闘では大きなアドバンテージだ。実際ノータイムで放たれた水の散弾をスナモグラは避けられなかった。そして大きな隙ができる。
「(アクアキャノン)」
間髪入れずに発動された魔法。その心の中の詠唱が終わる前にスナモグラは水の奔流に貫かれ消滅した。
水魔法使いの好奇心は魔法の限界を超えさせ砂の魔物を蹂躙したのだった。
[水平線]
「これが…スナモグラですか…」
私と相対しているのはスナモグラ。名前の通りモグラの見た目で砂の中を高速移動する魔物だ。ただキングスコーピオンと同じように巨体で全長10m以上はある。
「アクアシール…ぐっ!」
シールドの展開が間に合わず、負傷した。スナモグラが再び奇襲を仕掛けるために砂の中に潜る。でも私の回復魔法ならこの程度傷は…
「アク……!今度はそっちですか!?」
後ろからの奇襲を何とか回避。だか詠唱をさせてもらえない。相手のスピードが速すぎる。それに前後左右どこから襲ってくるかわからない。
だか不思議なことに私は何か懐かしい感じがした。1人で魔物と戦うのが久しぶりだからだろうか。ピンチはチャンスと言うように私の中で魔法のイメージが新しく浮かんでくる。しかしそんな隙を見逃すスナモグラではない。
だか銃声と共にスナモグラの攻撃が中断された。ヴェルダーからの文字通りの援護射撃だ。ヴェルダーは今、200m程離れた場所で魔物の大群を惹きつけながら戦っている。それでも私に援護射撃をできたというのだからその力量には目を疑うばかりだ。
オケアノスの塔以来のピンチで何かが掴めそうなのだ。何故だか邪魔はしてほしくなかった。
この違和感は何だろう。
私は戦いが好きなのだろうか?
違う。戦闘なんて疲れるから嫌だ。
私は魔法が好きなのだろうか?
違う。魔法よりも大事なものがあるから。
私はもしかしてハヤアキのことが好きなのだろうか?
違う。彼に求めているのは私の予想を超える発想だ。
私は何を求めているのか知りたい。知りたいから魔法を極め、知りたいからハヤアキを召喚した。知りたいからオケアノスの塔を攻略した。
私が好きなのはーー
「……私は…[漢字]未知との遭遇[/漢字][ふりがな]この好奇心[/ふりがな]が好きなんですね…」
[水平線]
サーシャ・アクエリオスを見る周りの目はあまりいいものではなかった。サーシャは幼いころから魔法の才能があったがそのせいでたびたび問題を起こしていたからだ。
その原因は単純な好奇心、知りたいという欲求だ。
魔物図鑑を読んでは実際に魔物に会おうとしたり、水魔法で洪水を起こしたり、興味本位で異世界から人を召喚したり、歴史的建造物を破壊したり。
あげくの果てには追放された。
だかサーシャには好奇心が全ての原動力になっているという自覚はなかった。自分でも分からない理由で行動していた。しかしオケアノスの塔での激戦続き、砂漠という慣れない環境での初戦闘、それがサーシャに自分の欲求に気づかせてしまった。
この世界の水魔法は幾つものどこかの世界のように不遇でも、迫害されているわけでも、禁忌でもない。広く親しまれている普通の魔法だ。
それでもただの少女の好奇心の末にある水魔法はこの世界ですら異端だった。
[水平線]
今まで無自覚だったことを理解する。この世界でこれほど気持ちいいこともないだろう。そして今まで表に出さなかった欲が溢れ出る。全てを知りたい、[漢字]未知の異世界人[/漢字][ふりがな]ハヤアキ[/ふりがな]のことを、[漢字]未知の魔物[/漢字][ふりがな]デュランハル[/ふりがな]のことを、[漢字]未知の実力者[/漢字][ふりがな]ヴェルダー[/ふりがな]のことを。
もちろん目の前にいるスナモグラのことを知り尽くしたい。しかしそんな私の望みは叶わなそうだ。スナモグラがまたしても高速の奇襲を仕掛けてきた。
「アクアシールド」
詠唱が終わる前にスナモグラの爪がサーシャに届く。しかし今度は水の防壁によって防がれている。
「詠唱なんて面倒なことしなくてもいいと思いませんか?。私はより早く魔法がもたらす結果を知りたいんです」
自分自身の理解を深めることで魔法の技量が覚醒したのだ。念じるだけで魔法を発動させるという魔法の極致、それができたという高揚感で飛び跳ねたくなる。
「(アクアショットガン)」
癖で心の中で詠唱をしてしまうがまあいいだろう。何はともあれこれで詠唱という発動までのラグが完全に消滅する。それは1秒1秒が大切な戦闘では大きなアドバンテージだ。実際ノータイムで放たれた水の散弾をスナモグラは避けられなかった。そして大きな隙ができる。
「(アクアキャノン)」
間髪入れずに発動された魔法。その心の中の詠唱が終わる前にスナモグラは水の奔流に貫かれ消滅した。
水魔法使いの好奇心は魔法の限界を超えさせ砂の魔物を蹂躙したのだった。