不遇水魔法使いの禁忌術式 オケアノスの塔
「上にはすぐには戻れないな」
地下に落ちたとはいえそこまで深くはないのと砂が坂のようになっているので頑張れば登れそうだ。だか目の前の巨大サソリはそれを許してくれないだろう。
サソリその右腕の[漢字]鋏[/漢字][ふりがな]ハサミ[/ふりがな]が早速俺に向かってきた。幸いサソリの動きは速いわけではなく抜刀したデュランハルですぐに防げた。そして反撃をしたがサソリの硬い皮膚によって弾かれた。
「防御特化かよ…クラーケンの核より硬いんじゃないか?」
剣が何とか食い込んだクラーケンの核とは違いサソリには傷一つついていない。スピードとパワーはそこまでないがこの防御力は厄介だ。剣で再び斬ろうとするがまたしても弾かれた。そして両腕の鋏に注目していた俺はサソリの尾に狙われていることに気づかなかった。
「ぐあっ!」
サソリの尾が脇腹に直撃した。サーシャに回復魔法をかけてもらえば治る傷だかサーシャはこの場にいない。そして負傷で剣を握る手に力が入らない。やはり1人では魔物を倒せないのだろうか。
『(ボクのことを忘れるとは…まったく酷いご主人様だな)』
音が聞こえたわけではなく、脳に直接女性の声が響いた。直感でわかる、デュランハルの声だ。今までと違い声で意思疎通をしてきた。
「お前!?喋れるのか!?」
『(長い間ボクと一緒にいたからね。声ぐらい届かせられるようになるさ)』
「理屈はよくわからないがとにかく会話できるってこどだな。とりあえずあいつに勝つ方法を教えてくれ」
サソリが再び攻撃をしようとしてくる。負傷した体で防げるだろうか。
『(そうだね…一心同体になるしかない。ボクに体を委ねる感じだ)』
曖昧な指示だかやるしかない。体の力を程よく抜きデュランハルに委ねた。
そして体は十分に動き見事にサソリの攻撃を防いでみせた。
「何だ…これ…」
デュランハルが俺の体を乗っ取った時とも、俺が剣を振り回していた時とも違う。2人で剣と体を動かす感覚、彼女の言う通り一心同体になるような感じだ。
『(いいねご主人様。その調子だ)』
なんとなくコツは掴んだ。高揚感が溢れる。今なら勝てる。そう確信した。
剣が振るわれサソリに弾かれた、弾かれ、弾かれ、弾かれ、それでも剣を振るう。そしてついにサソリに掠り傷ができた。ただ何度も振ることで傷がついたわけではない、この不思議な感覚は…
「魔力を吸ってる?」
『(どうやらボクの能力を引き出せたみたいだね。ボクの能力は剣を当てた相手の魔力を吸い上げ剣の力に変換するものだ)』
わかりやすく言うなら斬れば斬るほど切れ味が上がる、そういう能力だろうか。その能力が一心同体となったことで発現したらしい。
「流石だよ。どうせなら名前も改めようか。
『[漢字]魔喰剣[/漢字][ふりがな]まぐいけん[/ふりがな]デュランハル・グーラ』
…でどうだ?お前もいいと思うか?」
『(ご主人様らしい良いネーミングだね。このまま反撃と行こう)』
サソリもどうやら本気になったらしい。両腕の鋏と尾の攻撃が連続で来る。全ての攻撃を弾く、そして魔力を吸う。今度はさっきよりも深い傷をつけることができた。剣を振り、傷を負わせる、そして魔力を吸う、その繰り返しだ。
ついにサソリの右の鋏を切り落とした。そしてさらに切れ味の上がった剣閃で左の鋏も切り落とす。サソリは最後の抵抗と言わんばかりに尾を振りかざした。だかその攻撃に当たるつもりはない。俺は剣を振り上げ呟いた。
「会話できるようになったこの際に言うけども、ここまでよく一緒に戦ってくれたよ。本当に感謝してる」
『(決着がついてからそういうことは言ってくれ。だがそう思っているのはボクも同じだよ)』
サソリはそんな2人の会話を聞きながら過去最高の切れ味の魔喰剣で尾と体をまとめて両断され消滅した。
地下に落ちたとはいえそこまで深くはないのと砂が坂のようになっているので頑張れば登れそうだ。だか目の前の巨大サソリはそれを許してくれないだろう。
サソリその右腕の[漢字]鋏[/漢字][ふりがな]ハサミ[/ふりがな]が早速俺に向かってきた。幸いサソリの動きは速いわけではなく抜刀したデュランハルですぐに防げた。そして反撃をしたがサソリの硬い皮膚によって弾かれた。
「防御特化かよ…クラーケンの核より硬いんじゃないか?」
剣が何とか食い込んだクラーケンの核とは違いサソリには傷一つついていない。スピードとパワーはそこまでないがこの防御力は厄介だ。剣で再び斬ろうとするがまたしても弾かれた。そして両腕の鋏に注目していた俺はサソリの尾に狙われていることに気づかなかった。
「ぐあっ!」
サソリの尾が脇腹に直撃した。サーシャに回復魔法をかけてもらえば治る傷だかサーシャはこの場にいない。そして負傷で剣を握る手に力が入らない。やはり1人では魔物を倒せないのだろうか。
『(ボクのことを忘れるとは…まったく酷いご主人様だな)』
音が聞こえたわけではなく、脳に直接女性の声が響いた。直感でわかる、デュランハルの声だ。今までと違い声で意思疎通をしてきた。
「お前!?喋れるのか!?」
『(長い間ボクと一緒にいたからね。声ぐらい届かせられるようになるさ)』
「理屈はよくわからないがとにかく会話できるってこどだな。とりあえずあいつに勝つ方法を教えてくれ」
サソリが再び攻撃をしようとしてくる。負傷した体で防げるだろうか。
『(そうだね…一心同体になるしかない。ボクに体を委ねる感じだ)』
曖昧な指示だかやるしかない。体の力を程よく抜きデュランハルに委ねた。
そして体は十分に動き見事にサソリの攻撃を防いでみせた。
「何だ…これ…」
デュランハルが俺の体を乗っ取った時とも、俺が剣を振り回していた時とも違う。2人で剣と体を動かす感覚、彼女の言う通り一心同体になるような感じだ。
『(いいねご主人様。その調子だ)』
なんとなくコツは掴んだ。高揚感が溢れる。今なら勝てる。そう確信した。
剣が振るわれサソリに弾かれた、弾かれ、弾かれ、弾かれ、それでも剣を振るう。そしてついにサソリに掠り傷ができた。ただ何度も振ることで傷がついたわけではない、この不思議な感覚は…
「魔力を吸ってる?」
『(どうやらボクの能力を引き出せたみたいだね。ボクの能力は剣を当てた相手の魔力を吸い上げ剣の力に変換するものだ)』
わかりやすく言うなら斬れば斬るほど切れ味が上がる、そういう能力だろうか。その能力が一心同体となったことで発現したらしい。
「流石だよ。どうせなら名前も改めようか。
『[漢字]魔喰剣[/漢字][ふりがな]まぐいけん[/ふりがな]デュランハル・グーラ』
…でどうだ?お前もいいと思うか?」
『(ご主人様らしい良いネーミングだね。このまま反撃と行こう)』
サソリもどうやら本気になったらしい。両腕の鋏と尾の攻撃が連続で来る。全ての攻撃を弾く、そして魔力を吸う。今度はさっきよりも深い傷をつけることができた。剣を振り、傷を負わせる、そして魔力を吸う、その繰り返しだ。
ついにサソリの右の鋏を切り落とした。そしてさらに切れ味の上がった剣閃で左の鋏も切り落とす。サソリは最後の抵抗と言わんばかりに尾を振りかざした。だかその攻撃に当たるつもりはない。俺は剣を振り上げ呟いた。
「会話できるようになったこの際に言うけども、ここまでよく一緒に戦ってくれたよ。本当に感謝してる」
『(決着がついてからそういうことは言ってくれ。だがそう思っているのはボクも同じだよ)』
サソリはそんな2人の会話を聞きながら過去最高の切れ味の魔喰剣で尾と体をまとめて両断され消滅した。