不遇水魔法使いの禁忌術式 オケアノスの塔
50ー紫色の触手の上に乗るとクラーケンの頭部がよく見えた。
「改めて見てもでかいな」
時間はない。的確に急所を潰さないといけないだろう。イカの脳は眼の下方にあると聞いたことがあるがクラーケンもそこに脳があるのだろうか。もちろんイカとクラーケンは地球と異世界、動物と魔獣など違いがあるので脳の場所が違うかもしれないし、脳を潰しても死なないかもしれない。だが賭けるしかない。
40ー眼球の目の前まで来れた。皮膚を削り脳までダメージを与えたい。俺は早速クラーケンの表面をラッシュで削ぎ落とし始めた。
20ー順調に削れてはいえ手応えがある。そのときクラーケンに異変が起きた。口から墨を吐き出し、湖全体を漆黒に染め上げた。
「動きは止まってても墨なら吐けるのか!?」
想定外の事態だ。前後左右が闇に呑まれた。削るべき場所は暗闇でも何となくわかる。だか影響がないわけではなく効率は落ちるだろう。このままだと間に合うかわからない。
10ー「間に合え」
5ー「間に合ってくれ!」
1ーそして剣が何か硬いものに当たる感触があった。暗くてよく見えないが紫色の半径1mほどの球体があった。脳には見えないので仮に核とでも言おうか。これがクラーケンの急所だと確信する。
0ー剣は核に食い込んだ。だかパワーが足りずに押し込めない、斬ることができない。
そしてクラーケンの動きが再開した。負ける…そう思ったがー
『グルルァァァァ!!』
ボロボロの姿の水竜がクラーケンの口から飛び出した。まだ死んでいなかった水竜の生命力には驚かされる。それとも竜本来の生命力ではなく封印を食べたことによる強化なのだろうか。
どちらでもいい、重要なのはクラーケンの触腕は俺ではなく水竜を優先したことだった。これで少しの隙ができた。
そのまま剣を押し込もうとするが剣は動かない。せっかくのチャンスを無駄にはしたくない。
その思いが通じたのかデュランハルがキラッと光り首無しの鎧を生成した。
「マジかよ」
鞘を生成したのと同じ要領だろう。だかこんなことができるのには驚いた。基本的に一本の剣を2人で持ったところで何一ついいことはない。だか剣を押し込めば勝てるこの状況では別だ。鎧と俺の2人で剣を掴み力任せに核へ押し込む。
同時に触腕によって今度こそ水竜が殺され消滅した。そして次の標的は俺だ。触手
腕が向かってくる。
「断ち…切れ!」
触腕が俺に直撃するよりも核が両断されたのが早かった。そして再度クラーケンの動きが止まる。次に雨雲と墨が消滅。最後にはクラーケン自体も塵となって消えていった。
「勝った…のか?」
勝利の余韻を味わう前にクラーケンという足場が消えたことで湖に落下した。
「ちょ!?溺れ…」
「やりましたよ!魔獣に勝てたんですよ!」
溺れかけた俺を引き上げたのは湖の上を走ってきたサーシャだった。勝利の喜びで今までにないくらいの笑顔を見せている。
「とりあえず陸地に行きたい」
「そ、そうですよね。今運びますから」
俺は疲労と負傷で動けないので、サーシャに背負われ陸まで運んでもらった。
「ようやく全てが終わりました。街に帰りましょう。いろいろと報告した方がいいこともありますし。」
俺はサーシャのその言葉を聞きながら眠りについた。
雨上がりの空にかかった虹が俺達を祝福しているようだった。
「改めて見てもでかいな」
時間はない。的確に急所を潰さないといけないだろう。イカの脳は眼の下方にあると聞いたことがあるがクラーケンもそこに脳があるのだろうか。もちろんイカとクラーケンは地球と異世界、動物と魔獣など違いがあるので脳の場所が違うかもしれないし、脳を潰しても死なないかもしれない。だが賭けるしかない。
40ー眼球の目の前まで来れた。皮膚を削り脳までダメージを与えたい。俺は早速クラーケンの表面をラッシュで削ぎ落とし始めた。
20ー順調に削れてはいえ手応えがある。そのときクラーケンに異変が起きた。口から墨を吐き出し、湖全体を漆黒に染め上げた。
「動きは止まってても墨なら吐けるのか!?」
想定外の事態だ。前後左右が闇に呑まれた。削るべき場所は暗闇でも何となくわかる。だか影響がないわけではなく効率は落ちるだろう。このままだと間に合うかわからない。
10ー「間に合え」
5ー「間に合ってくれ!」
1ーそして剣が何か硬いものに当たる感触があった。暗くてよく見えないが紫色の半径1mほどの球体があった。脳には見えないので仮に核とでも言おうか。これがクラーケンの急所だと確信する。
0ー剣は核に食い込んだ。だかパワーが足りずに押し込めない、斬ることができない。
そしてクラーケンの動きが再開した。負ける…そう思ったがー
『グルルァァァァ!!』
ボロボロの姿の水竜がクラーケンの口から飛び出した。まだ死んでいなかった水竜の生命力には驚かされる。それとも竜本来の生命力ではなく封印を食べたことによる強化なのだろうか。
どちらでもいい、重要なのはクラーケンの触腕は俺ではなく水竜を優先したことだった。これで少しの隙ができた。
そのまま剣を押し込もうとするが剣は動かない。せっかくのチャンスを無駄にはしたくない。
その思いが通じたのかデュランハルがキラッと光り首無しの鎧を生成した。
「マジかよ」
鞘を生成したのと同じ要領だろう。だかこんなことができるのには驚いた。基本的に一本の剣を2人で持ったところで何一ついいことはない。だか剣を押し込めば勝てるこの状況では別だ。鎧と俺の2人で剣を掴み力任せに核へ押し込む。
同時に触腕によって今度こそ水竜が殺され消滅した。そして次の標的は俺だ。触手
腕が向かってくる。
「断ち…切れ!」
触腕が俺に直撃するよりも核が両断されたのが早かった。そして再度クラーケンの動きが止まる。次に雨雲と墨が消滅。最後にはクラーケン自体も塵となって消えていった。
「勝った…のか?」
勝利の余韻を味わう前にクラーケンという足場が消えたことで湖に落下した。
「ちょ!?溺れ…」
「やりましたよ!魔獣に勝てたんですよ!」
溺れかけた俺を引き上げたのは湖の上を走ってきたサーシャだった。勝利の喜びで今までにないくらいの笑顔を見せている。
「とりあえず陸地に行きたい」
「そ、そうですよね。今運びますから」
俺は疲労と負傷で動けないので、サーシャに背負われ陸まで運んでもらった。
「ようやく全てが終わりました。街に帰りましょう。いろいろと報告した方がいいこともありますし。」
俺はサーシャのその言葉を聞きながら眠りについた。
雨上がりの空にかかった虹が俺達を祝福しているようだった。