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ある掲示板のネタの派生作品です。同名の作品がいくつかあります。

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不遇水魔法使いの禁忌術式 オケアノスの塔

#13

大雨の魔獣

水竜が放った破壊の息吹に対抗してサーシャも魔法を発動した。

「アクアキャノン・ツイン!」

一つ一つの奔流の威力は同じだが手数が違う。サーシャは両手で2本、水竜は三つ首で3本だ。だが一つ足りない分は俺が間に割り込み、剣を回転させ受け流した。

「なんとかして飛行を止めたいな」
「そうですね。向こうもアクアレールガンでそれなりに傷を負っていますからこのまま攻撃を続けて撃墜させましょう」

水竜が飛んでいるのは上空20mほどのところだ。上を取られていては不利だろう。

「俺があいつに近づくために水の足場を作ってくれないか」
「わかりました。大海原に溺れて、水中で藻掻いて、水底へ沈んで、ーアクアギャザリング」

前にも見た水を操る魔法をサーシャは発動した。すると湖の水が蠢き俺を波で運んだ。

「うおっバランス難しいなこれ」

俺は波の上になんとか浮かびながら愚痴をこぼした。波はどんどん高度が上がっていき水竜の目の前まで来ることができた。水竜は近づいた俺に息吹を放とうとするが俺が浮かんでいる波とは別の大波に邪魔されそれもできない。俺は波から水竜の背に飛び降りた。

「すぐ振り落とされそうだなこれは」

三つ首を一つ一つ切り落とすのは時間がないだろう。ならば狙うはー

「翼だ」

デュランハルのラッシュを翼に叩き込む。翼を切り落としかけたところで飛行能力はほぼ喪失し水竜は湖に落下、俺も背から振り落とされたが波にキャッチされ瓦礫の上に降りた。

「大丈夫ですか!」
「ああ、無事に水竜を湖に落とせたぞ」

サーシャは零層だった場所から離れ、俺がいる湖に浮かんでいる瓦礫まで駆け寄った。飛行能力さえ失わせればあとは楽に勝てるだろうと思っていた。
だが不運なことに相手は水竜で落ちたのは湖の上だ。

「…いくらなんでも速すぎだろ」

空を飛ぶのと同じスピードで湖を泳ぎ回る水竜との第二ラウンドが始まった。






今度は息吹という飛び道具に頼らない突進で攻撃してきた。勢いのある突進で二人とも三つ首に噛み砕かれる寸前だ。右の首はサーシャが水のシールドでガード、左の首は俺が右手に持ったデュランハルでガードした。だが真ん中の首が自由になり俺に向かってきた。

「ハヤアキ!これを!」

サーシャが俺に向かって投げたのは水で生成された剣だった。俺はそれを左手で掴み取り、真ん中の首の攻撃をガードした。そして反撃は二人同時だった。

「この距離なら防げませんよね。アクアキャノン!」
「デュランハルお前…二刀流もできるのか。最高だ!」

水の奔流が右の頭を貫き、二刀流の剣技が左の頭を切り刻んだ。

「グオオォ…」

水の剣は壊れたが役目は果たした。左右2つの頭を失った水竜は俺達から離れ、また湖を泳ぎだした。

「まさか逃げる気でしょうか?」
「いや、あれは…零層に向かってないか!?」

水竜は残った頭で零層に向かいの封印の台座に喰らいついていた。

「まさか!?魔力の塊の封印を喰らって回復する気ですか!?」

そんな回復手段があるのは初耳だが、魔力に近寄ってくる魔物の習性を考えると納得で来るものだ。そして水竜は翼と2つの頭を失う前よりも大きな威圧感をこちらへ向けてきた。だが問題はそれよりも封印を喰われたことだ。

「まずいです!封印が…」
「壊されたのか…ん、雨?」

最初に起こった異変は晴れていた天気が急変、制御装置が暴走していた頃のように雨雲が現れ大雨が降り出したことだ。

「湖から離れますよ!」

サーシャは波で強引に二人を湖の外の陸へ押し流した。
そして次の異変は…

「げほっげほ、……なんだよあれ…」

1本数十mはある紫の触手が複数出現。さらに湖の底から何かが浮かび上がってきた。

「…クラーケン……伝承でしか聞いたことのない伝説の怪物です…」

サーシャは驚きのあまり唖然とした表情で呟いた。クラーケンは全身紫のイカの魔獣だった。ただ大きさがあまりにも桁外れで湖を覆い尽くすような巨体だ。そしてクラーケンは触手でいとも簡単に水竜を捕まえ、塔の瓦礫と共に飲み込んだ。

それが今まで戦ってきた魔物と未知の魔獣の差をこれでもかというほど示していた。

作者メッセージ

水のボスなら何がいいかなって考えていたら思いついたのがクラーケンでした

2025/01/19 02:41

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