花瓶が割れた
#1
第1話 ある夕暮れの話
人間は嫌いだ
お前は[大文字]普通の人[/大文字]と違うから…と平気で人を傷付ける
[大文字]そんな奴が僕は大嫌いだ[/大文字]
6時間目を終え、ほとんどの生徒が帰路についたであろう時間帯の話だ
もう空が赤く染まり、カラスが鳴いていた
焼き芋食べたいなぁ、早く仕事終わらせなきゃ…と思ってる時に私は気付いた
…[大文字]教室に時計忘れた[/大文字]
そうだ…だから手首が動かしやすいなと思ったんだ…!!
大して高級品でもないし盗まれるものでもない…が
私にとっては価値のあるものだ…取りに戻らなきゃ…
こうして、私は後少しで職員室に着く廊下を逆走する羽目になったんだ
一番最初に目に入ったのは時計が入っているであろう教卓ではなく…
ただ独りで夕暮れの空を見ている男子生徒…[漢字]月世[/漢字][ふりがな]つくよ[/ふりがな]だった
今にも窓から落ちそうなほど窓を開け、身を乗り出していた
でもそれ以上に…[大文字]綺麗だな[/大文字]と思った
夕日は彼に降り注いで、影は彼を覆う
[大文字]幻想的[/大文字]…そんな言葉が合いそうな雰囲気だった
「…あの、何か?」
ハッと現実に戻ってくると、彼は怪訝そうに私の顔を見た
「いや…ごめんね!少し忘れ物しちゃって!」
私は彼を見ていたことを悟られないように、教卓へ足早に向かった
そして時計を見つけ、職員室に向かおうとしていると…
「…[漢字]堺[/漢字][ふりがな]さかい[/ふりがな]先生」
震えた声で彼は私の名前を呼んだ
「どうしたの?月世君」
「…相談があるんです」
相談…困っていたら話を聞くのも教師…いや、人として大切なことだ
私は彼に、近くにあるイスに座るよう促す
私は彼の隣の席に座り、イスを彼の方に向けた
話してみてと言ってみると…
「…もし…もしですよ?」
「もし…[大文字]普通の人[/大文字]と違う所があって…劣等感に苛まれたら…」
「[大文字]堺先生はどうしますか?[/大文字]」
自分が嫌いだ
ーーの思い通りになりたくても、なれない…そんな不良品な自分
そんな自分が私は1番嫌いだ
お前は[大文字]普通の人[/大文字]と違うから…と平気で人を傷付ける
[大文字]そんな奴が僕は大嫌いだ[/大文字]
6時間目を終え、ほとんどの生徒が帰路についたであろう時間帯の話だ
もう空が赤く染まり、カラスが鳴いていた
焼き芋食べたいなぁ、早く仕事終わらせなきゃ…と思ってる時に私は気付いた
…[大文字]教室に時計忘れた[/大文字]
そうだ…だから手首が動かしやすいなと思ったんだ…!!
大して高級品でもないし盗まれるものでもない…が
私にとっては価値のあるものだ…取りに戻らなきゃ…
こうして、私は後少しで職員室に着く廊下を逆走する羽目になったんだ
一番最初に目に入ったのは時計が入っているであろう教卓ではなく…
ただ独りで夕暮れの空を見ている男子生徒…[漢字]月世[/漢字][ふりがな]つくよ[/ふりがな]だった
今にも窓から落ちそうなほど窓を開け、身を乗り出していた
でもそれ以上に…[大文字]綺麗だな[/大文字]と思った
夕日は彼に降り注いで、影は彼を覆う
[大文字]幻想的[/大文字]…そんな言葉が合いそうな雰囲気だった
「…あの、何か?」
ハッと現実に戻ってくると、彼は怪訝そうに私の顔を見た
「いや…ごめんね!少し忘れ物しちゃって!」
私は彼を見ていたことを悟られないように、教卓へ足早に向かった
そして時計を見つけ、職員室に向かおうとしていると…
「…[漢字]堺[/漢字][ふりがな]さかい[/ふりがな]先生」
震えた声で彼は私の名前を呼んだ
「どうしたの?月世君」
「…相談があるんです」
相談…困っていたら話を聞くのも教師…いや、人として大切なことだ
私は彼に、近くにあるイスに座るよう促す
私は彼の隣の席に座り、イスを彼の方に向けた
話してみてと言ってみると…
「…もし…もしですよ?」
「もし…[大文字]普通の人[/大文字]と違う所があって…劣等感に苛まれたら…」
「[大文字]堺先生はどうしますか?[/大文字]」
自分が嫌いだ
ーーの思い通りになりたくても、なれない…そんな不良品な自分
そんな自分が私は1番嫌いだ
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