不遇水魔法使いの禁忌術式
目を覚ますと、知らない天井が目に入る。周囲を見渡すと、本棚に囲まれた中に1人分の机が目に入る。例えるのならば、大学の研究室のような雰囲気と言ったところだろうか。机の上に見える羽根ペン?に近い形状のものがやたらと印象に残った。見た事のない形状であったためである。
何故自分はこのような場所にいるのだろうか?と思案するも、意識を失う直前まで自分がメキシコのとある砂漠の中に新しく発見された遺跡の調査メンバーであり、足を滑らせた事を思い出すとすぐに納得する事が出来た。足を滑らせた割には怪我がないような気がするのだが、どうしてだろうか。
しかし、今いる場所は綺麗な部屋の中である。調査メンバーが近くの住居がある区域まで私を運んだ上で、現地の人が治療をしてくれたのだろうと結論づける。身体を起こして調査メンバーと現地の人に感謝の意をと無事を伝えようとした彼だったが、部屋に入ってきたこの部屋の持ち主であろう人物を見て固まってしまった。
「......!!」
「......!!」
両者の間に気まずい沈黙が流れる。彼女に目をむけると、驚きと戸惑いを感じさせる表情をしていた。かく言う私も、本来こういった場合はまず1番に感謝を述べるのが正しいという事は頭では理解しているのだが、彼女の顔立ちが非常に整っていたために見とれてしまったのだ。それこそ、現代においてネット等を探せばすぐに出てくるであろう「青髪 美少女キャラ」のような容姿と言えば伝わるであろうか。透き通るような白い肌に加えて、グレートバリアリーフを思い出させるような鮮やかな水色の髪。サブカルチャー文化を好んでいる人間としてはこれほどまでの美少女と出会えただけで、たとえ今この場で死んだとしても十分なお釣りが帰ってくる程価値がある事のように思えた。[打消し]まさかとは思うが...[/打消し]
もし叶うのならばこの美少女を一生見ていたい。そんなという邪念すら僅かに抱いてしまったが、流石に理性が働いたのか彼女に感謝を伝えなければという事を思い出し、慌てて感謝の意を伝えようと英語で話かけた。しかし、何故か変な顔をされてしまった。もしや地域独特の言語を使っているのだろうか?そう考えた私は周辺で話されている中で自分が知っている言語を使うも、やはり同じような表情であった。これはまずいと思い、運んで来たであろう調査メンバーについてなんとかハンドジェスチャーで質問をしてみる。が、彼女の視線が私の事を頭がおかしい奴で見るようになっただけだった。
調査メンバーについて目の前の彼女が知らないのはどういう事だろう?今私はどうすれば正解なのか?何故私は怪我をしていないのか?等聞きたいことが山のように出てきていたが、それを伝える手段も思い浮かばず悩んでいると彼女が口を開いた。
「...キミが何を言いたいのか、何を伝えたいのかさっぱり分からないけどボクはキミになにか危害を加えたりするつもりはないとも。少し落ち着いたらどうなんだい?」
「......は?」
「え、ボクなにかおかしい事でも言ったかい!?」
「...いやいやいや、どうしてオレはメキシコまで来て日本語を聞いているんだ?運良く日本人協力者にでも出会えたのか?」
そんな訳がない。何故ならこの辺りに人が住んでいる痕跡がないのは事前調査で判明している上に、そんな辺境で世界中を探しても類を見ないほどの美少女が一人で暮らしていてオマケに日本語を喋っているだと?冗談も程々にして欲しいものだ。[打消し]もし仮に事実だとしてもそんな事納得出来る訳ないだろう![/打消し]
「...キミも喋れるじゃないか!はあ......どうしてわざわざ訳の分からないやつで喋っていたんだい?というかキミがさっき言ってたにほん?ってのもなんなのさ!!
「......」
「どうして黙るのさ!!」
冗談では無かった。彼女は間違いなく日本語を話している。何故こんな辺境で一人で暮らしているのか?どうして彼女は日本人にはありえない容姿をして日本語を喋っている?何故英語を訳の分からないやつと表現した?調査メンバーはどうなっている?
次々と疑問が湧いてくるものの、それらの全てに答えが出る事はなかった。考えても何も分かるはずがないのだ。情報が圧倒的に不足しているのだから。しばしの思案の後、大きな溜息をつき諦めた様子で彼はサーシャに質問を投げかけた。
「...ここはどこだ?」
「どこって...ガルシア砂漠だけど?ボクも砂漠のどの辺かって聞かれたらわかんないけどね」
聞いた事のない地名だった。いよいよ訳が分からない。全くもって論理的じゃない。目が覚めたら聞いた事の無い土地で美少女が日本語を喋っている。そんな事がありえるだろうか?いや、ありえるはずがない。あってはならない事だろう。
言語とはその地に根付いた文化によって構成されるものである。陸続きの土地であっても地域事に重視するものや話す人の違いによって細かく別れている。日本語に限定したとしても沖縄訛りや東北訛り等があるのにそれらすらないのは異常だろう。さらに言えば、目の前の彼女は日本について知らないのである。日本語は日本国内という閉鎖的空間で生まれた特性ゆえ、日本について知らずに全く同じ言語が話せるわけが無い。これを異常事態と呼ばないのなら、世の中の何が異常事態と呼べるだろうか?
しかし、これらの理論を全て解決する答えを彼はとっくの昔に知っていた。いや、分かった上で考えないようにしていた。そう、最近流行りの異世界転生である。サブカルチャー文化を好んでいる日本人として知らないとは言えないジャンル。そういう彼自身も空いた時間にそういった題材の作品に触れてきた一人であった。ああいったジャンルの作品はある訳がないという前提条件があるからこそ楽しめるものだと彼は考えていたが、いざ当事者になるとは思ってもいなかった。あまりに非合理的であるが現実に我が身に起こっている以上は認めざるを得ないのだ。世界は不思議なものである。
もちろん不可解な点など探せばいくらでも出てくるのだが、彼はそんな事よりも気になっていたのはこの先自分がどうなるのかである。自分自身がそういう立場にいると自覚した瞬間彼には好奇心がとめどなく湧いてきていた。どんな世界なのか、夢に見た魔法等は実在しているのか、どんな人が何を考えて生きているのか。なんせありえない、と考えていたような状況に加えて全くの未知の世界である。サブカルチャー文化を好む者として目の前を一生懸命楽しんでやろう、そんな気持ちになるのは当然の事であった。
「大変申し訳ないのだが、名前を聞いても?」
「...女性に先に名乗らせるのはどうなんだい?というか色々聞きたい事があるんだけど?具体的には、その表情の変化とか」
「...私も非常に混乱していてね。全く、予想外の事というのはどうしていつもこうなのか。もっとも、予想外なのだから当然といえば当然なのだが。話がズレてしまったが、名前の件は私も同意だ。レディーを無下に扱うのは私も望んでいないとも」
「......」
なんだか酷く冷たい目で見られた気がするが、些細な事だろう。
「私の名は....すまない、原因は不明だが記憶が曖昧になっていて思い出せなくなっている。仕方がないので[太字]〔匿名〕[/太字]とでも呼んでくれ」
[大文字][太字]「......溜めといてそれはないだろう!?!?」[/太字][/大文字]
何故自分はこのような場所にいるのだろうか?と思案するも、意識を失う直前まで自分がメキシコのとある砂漠の中に新しく発見された遺跡の調査メンバーであり、足を滑らせた事を思い出すとすぐに納得する事が出来た。足を滑らせた割には怪我がないような気がするのだが、どうしてだろうか。
しかし、今いる場所は綺麗な部屋の中である。調査メンバーが近くの住居がある区域まで私を運んだ上で、現地の人が治療をしてくれたのだろうと結論づける。身体を起こして調査メンバーと現地の人に感謝の意をと無事を伝えようとした彼だったが、部屋に入ってきたこの部屋の持ち主であろう人物を見て固まってしまった。
「......!!」
「......!!」
両者の間に気まずい沈黙が流れる。彼女に目をむけると、驚きと戸惑いを感じさせる表情をしていた。かく言う私も、本来こういった場合はまず1番に感謝を述べるのが正しいという事は頭では理解しているのだが、彼女の顔立ちが非常に整っていたために見とれてしまったのだ。それこそ、現代においてネット等を探せばすぐに出てくるであろう「青髪 美少女キャラ」のような容姿と言えば伝わるであろうか。透き通るような白い肌に加えて、グレートバリアリーフを思い出させるような鮮やかな水色の髪。サブカルチャー文化を好んでいる人間としてはこれほどまでの美少女と出会えただけで、たとえ今この場で死んだとしても十分なお釣りが帰ってくる程価値がある事のように思えた。[打消し]まさかとは思うが...[/打消し]
もし叶うのならばこの美少女を一生見ていたい。そんなという邪念すら僅かに抱いてしまったが、流石に理性が働いたのか彼女に感謝を伝えなければという事を思い出し、慌てて感謝の意を伝えようと英語で話かけた。しかし、何故か変な顔をされてしまった。もしや地域独特の言語を使っているのだろうか?そう考えた私は周辺で話されている中で自分が知っている言語を使うも、やはり同じような表情であった。これはまずいと思い、運んで来たであろう調査メンバーについてなんとかハンドジェスチャーで質問をしてみる。が、彼女の視線が私の事を頭がおかしい奴で見るようになっただけだった。
調査メンバーについて目の前の彼女が知らないのはどういう事だろう?今私はどうすれば正解なのか?何故私は怪我をしていないのか?等聞きたいことが山のように出てきていたが、それを伝える手段も思い浮かばず悩んでいると彼女が口を開いた。
「...キミが何を言いたいのか、何を伝えたいのかさっぱり分からないけどボクはキミになにか危害を加えたりするつもりはないとも。少し落ち着いたらどうなんだい?」
「......は?」
「え、ボクなにかおかしい事でも言ったかい!?」
「...いやいやいや、どうしてオレはメキシコまで来て日本語を聞いているんだ?運良く日本人協力者にでも出会えたのか?」
そんな訳がない。何故ならこの辺りに人が住んでいる痕跡がないのは事前調査で判明している上に、そんな辺境で世界中を探しても類を見ないほどの美少女が一人で暮らしていてオマケに日本語を喋っているだと?冗談も程々にして欲しいものだ。[打消し]もし仮に事実だとしてもそんな事納得出来る訳ないだろう![/打消し]
「...キミも喋れるじゃないか!はあ......どうしてわざわざ訳の分からないやつで喋っていたんだい?というかキミがさっき言ってたにほん?ってのもなんなのさ!!
「......」
「どうして黙るのさ!!」
冗談では無かった。彼女は間違いなく日本語を話している。何故こんな辺境で一人で暮らしているのか?どうして彼女は日本人にはありえない容姿をして日本語を喋っている?何故英語を訳の分からないやつと表現した?調査メンバーはどうなっている?
次々と疑問が湧いてくるものの、それらの全てに答えが出る事はなかった。考えても何も分かるはずがないのだ。情報が圧倒的に不足しているのだから。しばしの思案の後、大きな溜息をつき諦めた様子で彼はサーシャに質問を投げかけた。
「...ここはどこだ?」
「どこって...ガルシア砂漠だけど?ボクも砂漠のどの辺かって聞かれたらわかんないけどね」
聞いた事のない地名だった。いよいよ訳が分からない。全くもって論理的じゃない。目が覚めたら聞いた事の無い土地で美少女が日本語を喋っている。そんな事がありえるだろうか?いや、ありえるはずがない。あってはならない事だろう。
言語とはその地に根付いた文化によって構成されるものである。陸続きの土地であっても地域事に重視するものや話す人の違いによって細かく別れている。日本語に限定したとしても沖縄訛りや東北訛り等があるのにそれらすらないのは異常だろう。さらに言えば、目の前の彼女は日本について知らないのである。日本語は日本国内という閉鎖的空間で生まれた特性ゆえ、日本について知らずに全く同じ言語が話せるわけが無い。これを異常事態と呼ばないのなら、世の中の何が異常事態と呼べるだろうか?
しかし、これらの理論を全て解決する答えを彼はとっくの昔に知っていた。いや、分かった上で考えないようにしていた。そう、最近流行りの異世界転生である。サブカルチャー文化を好んでいる日本人として知らないとは言えないジャンル。そういう彼自身も空いた時間にそういった題材の作品に触れてきた一人であった。ああいったジャンルの作品はある訳がないという前提条件があるからこそ楽しめるものだと彼は考えていたが、いざ当事者になるとは思ってもいなかった。あまりに非合理的であるが現実に我が身に起こっている以上は認めざるを得ないのだ。世界は不思議なものである。
もちろん不可解な点など探せばいくらでも出てくるのだが、彼はそんな事よりも気になっていたのはこの先自分がどうなるのかである。自分自身がそういう立場にいると自覚した瞬間彼には好奇心がとめどなく湧いてきていた。どんな世界なのか、夢に見た魔法等は実在しているのか、どんな人が何を考えて生きているのか。なんせありえない、と考えていたような状況に加えて全くの未知の世界である。サブカルチャー文化を好む者として目の前を一生懸命楽しんでやろう、そんな気持ちになるのは当然の事であった。
「大変申し訳ないのだが、名前を聞いても?」
「...女性に先に名乗らせるのはどうなんだい?というか色々聞きたい事があるんだけど?具体的には、その表情の変化とか」
「...私も非常に混乱していてね。全く、予想外の事というのはどうしていつもこうなのか。もっとも、予想外なのだから当然といえば当然なのだが。話がズレてしまったが、名前の件は私も同意だ。レディーを無下に扱うのは私も望んでいないとも」
「......」
なんだか酷く冷たい目で見られた気がするが、些細な事だろう。
「私の名は....すまない、原因は不明だが記憶が曖昧になっていて思い出せなくなっている。仕方がないので[太字]〔匿名〕[/太字]とでも呼んでくれ」
[大文字][太字]「......溜めといてそれはないだろう!?!?」[/太字][/大文字]