二次創作
光の子守り人
魔王の背後には、勇者ではなくなった彼の姿があった──。
「ハハ……ハハハハハ! これで、これで……! 俺を縛るものは何もなくなった!」
高笑いをする元勇者は、魔王の体を背中から剣で貫いたのである。私は目眩がする思いだった。だけど、ここで膝をつく程、私はもう弱くない。
私は、一歩前に出た。
「ハルトくん、どうして……!」
仮に勇者を嫌っていたとして、なぜ自分を引き入れた魔王すら刺したのか。私は理解出来なかった。
「ハルト……ああ、そんな名前だった時もあったなぁ……」と話す彼は、不気味に笑い続けた。「今からこの俺が魔王だ! 今日から俺はこの世界の……うっ?!」
しかし、彼は突然倒れた。何があったのかと騒ぐ彼の背後には、MENの姿があった。
「後ろから暗殺……別にお前だけの特権じゃないんですわ」とMENが言う。「俺は、さつじん人形っすよ?」
「何っ……」
ハルトはMENに悪態をつく前に床に倒れ込んだ。私はすかさず駆けつけた。
「みねうちっす。短剣研ぐの忘れてたんで」
とMENは言って刃こぼれしている短剣をチラつかせた。さつじん人形であるMENが相棒ともなる短剣の手入れを忘れるはずがない。MENはここに来るまで、人とも魔物とも戦ってこなかったことを示しているようなものだった。
私は、倒れたままの魔王の体に触れた。魔王でも、体が温かいのだと知る。息もある。
「みんな……」
私はドズル社の彼らを振り向いた。彼らは、私が今からすることを咎めたりしないだろうか? 私は少し不安になったが、自分の目的は変わらなかった。
私は、魔王たちへ振り向いた。
「あらゆる痛みを取り除け! リカバル!」
私は最大級の力を込めて詠唱した。魔王も、ハルトくんも、ここにいる全員、死なせてはならない。私が、元僧侶として出来る最初で最後の魔法だった。
「ハハ……ハハハハハ! これで、これで……! 俺を縛るものは何もなくなった!」
高笑いをする元勇者は、魔王の体を背中から剣で貫いたのである。私は目眩がする思いだった。だけど、ここで膝をつく程、私はもう弱くない。
私は、一歩前に出た。
「ハルトくん、どうして……!」
仮に勇者を嫌っていたとして、なぜ自分を引き入れた魔王すら刺したのか。私は理解出来なかった。
「ハルト……ああ、そんな名前だった時もあったなぁ……」と話す彼は、不気味に笑い続けた。「今からこの俺が魔王だ! 今日から俺はこの世界の……うっ?!」
しかし、彼は突然倒れた。何があったのかと騒ぐ彼の背後には、MENの姿があった。
「後ろから暗殺……別にお前だけの特権じゃないんですわ」とMENが言う。「俺は、さつじん人形っすよ?」
「何っ……」
ハルトはMENに悪態をつく前に床に倒れ込んだ。私はすかさず駆けつけた。
「みねうちっす。短剣研ぐの忘れてたんで」
とMENは言って刃こぼれしている短剣をチラつかせた。さつじん人形であるMENが相棒ともなる短剣の手入れを忘れるはずがない。MENはここに来るまで、人とも魔物とも戦ってこなかったことを示しているようなものだった。
私は、倒れたままの魔王の体に触れた。魔王でも、体が温かいのだと知る。息もある。
「みんな……」
私はドズル社の彼らを振り向いた。彼らは、私が今からすることを咎めたりしないだろうか? 私は少し不安になったが、自分の目的は変わらなかった。
私は、魔王たちへ振り向いた。
「あらゆる痛みを取り除け! リカバル!」
私は最大級の力を込めて詠唱した。魔王も、ハルトくんも、ここにいる全員、死なせてはならない。私が、元僧侶として出来る最初で最後の魔法だった。