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原作ガン無視します

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二次創作
邪悪な兄弟に捧げるパラレルワールド

#7

巫女、神の遣い

「おにーちゃぁん!!」
ギラが大きく手を振って私を呼んでいる。
不思議な感じだ。弟をこんなに高い位置から眺めるというのは。
「あれ、総長!?」
「え、マジ!?俺も見たい!」
「私も私も!!」
ヤンマはめちゃくちゃ人気者。
なんか尊敬してしまう。ギラと同じくらいの年。
性格は反対の方向を行く。
けれど、私には二人はそっくりに見えてならない。
「こら、アオ。イト。コウ。ヤンマだって仕事あるんだから。」
「ラクレス兄ちゃん、総長と知り合いなの!?」
「いいなぁぁ!総長に会いたいっ!!」
懐いてくれたのはいいけど頼むからそれは言わないでくれ。
色々と面倒事になる。後が。
「ほら、降りて安全な場所まで逃げて。
リュウ、道はわかるね?」
「うん、ありがと、お兄ちゃん!!」
最初に助けた少年……名をリュウ。
子どもたちの中でもリーダー格で、学級委員長とやらを努めているらしい。
彼に任せれば子どもたちは問題ないだろう。
トンボックリとクワゴンに礼を言って、私はギラとヤンマの下へ降った。
「お兄ちゃん!!どこ行ってたの、心配したよ!」
「ごめんごめん。小学校の塀が崩れて子どもたちが閉じ込められたとかで。」
「はぁ!?マジかよ。」
二人に怪我はなさそうだ。よかった。
周りも崩れているところはしばしばあれど、大きな問題はない。
「ま、サンキューな。」
「いや、こちらこそありがとう。ギラ、大丈夫だったか?」
「うん!……でも、バグナラクは夜も来るって。」
なるほど、それで表情が浮かれないのか。
……って。問題しかないじゃないか。
今夜!?安全な場所も少なくなるだろうし、そもそも怪我人も増えていく。
どうしろっていうんだ?
「……あいにく、[漢字]シュゴッダム[/漢字][ふりがな]コーサス[/ふりがな]まで絡んできやがった。
今夜までにお前らを差し出さねぇと俺たちはぶっ潰されんだと。」
「はぁ?冗談だろう?」
「冗談だったらいいんだけどな。」
まだ出会って四半刻も経っていないがヤンマは嘘を付くような人柄ではない。
コーサスが絡んできたとなると、事態は急を要する。
「んで、バグナラクはチキューの秘宝が望みだってよ。
……んなの知らねぇのにどう持ってこりゃいいんだか。」
チキューの秘宝。聞いたことのないその言葉に、なんだか足取りがふらついた。
ふわふわと意識が飛んでいきそうな、はっきりしているような不思議な感覚。
なんだコレ、と思う間もなく、私はふらふらと歩き出していた。
眼の前になにか闇のようなサークルが現れる。
感じたことのない高揚感に、私は夢とも現ともつかぬ何処かの中へと飛び込んだ。



「チキューの秘宝は合わせて3つ。
未来の王よ、旅し、学び、救いをさしのべよ。
暴虐の王になるべき者、王を支え、時を待て。
知の王よ、自らの信じし道を行け。
されば星も世界も救われん。」


低い声だった。
光が見えた。何かはわからなかったけれど。
意識が遠のく一瞬、ギラの顔が、ヤンマの顔が、見えた気がした。
……悲しげな、苦しげな、二人の顔が。




「[小文字]ちゃ[/小文字]……お兄ちゃん!!」
「んっ………。」
目を覚ますとそこは、城の王の間だった。
長椅子に寝かされていたらしい。
「いきなり何言うかと思ったら……。」
「え?何か、言っていたのか?」
「自覚ないのかよ!?」
二人によれば、私は半狂乱状態で歩き回った後、先程私が聞いた言葉を言ったらしい。
そしてそのまま倒れるように眠ってしまったとか。
「びっくりしたぁぁ、ほんとにお兄ちゃん?って思っちゃったよ!」
「あははぁ……。」
何も言う事なし。ごめん、ギラ。心配かけてばっかで。
ヤンマの方は先程からずっとボロに向かってパチパチしてる。
何をやってるんだか検討もつかないが。
「[小文字]ヒメノちゃんとこなら[/小文字]………。」
ヒメノちゃん?と思ったが、今はそれどころではないことを思い出した。
「それで?今何時!?」
「もうすぐ日没だ。」
「え!?どうするんだ、シュゴッダムもバグナラクも、期限は今夜なんだろう!?」
ヤンマはこちらを振り向きもしない。
何やら今考えているのはそのことではないようだ。
……自分の国のことなのに?
「ヤンマ!僕らのことは早くシュゴッダムに送ってよ!そうすればいいでしょ?」
「……。」
ヤンマは答えない。
何を考えているんだ。期限はもうすぐ、国も、民の命もかかってる。
ヤンマがそこまで暗君であるとは思えない。
「……お前ら、シュゴッドと話せるんだったよな?」
くるりと椅子を回転させ、ヤンマがようやくこちらを向く。
しかし、その目は外ではなく、私たちの方を見ていた。
「へ?う、うん。」
「シュゴッドに関しては俺が一番良く知ってる。
脳波かと思ったがそういうことじゃねぇみたいだな。」
のーはとは。ヤンマは難しい言葉をよく使う。
……剣をつくったのも、シュゴッドを直したのもヤンマらしいから、頭がいいのだろう。
なんだかいいなと思う。
「巫女。神の遣い。それらの類か?」
「え?」
ギラの気が抜けたような声。
それもそのはず、ヤンマはギラの顔すぐ近くまで迫ってきている。
そして彼はにっといたずらっぽく笑った。
「巫女?神様の使い?どういうこと?」
ギラが一歩退くと、ヤンマもこれ以上いたずらする気はないらしく大人しく下がる。
「古来元来、世界には巫女がいたんだってよ。
神の言葉を伝え、人々を導く王の始まりが。」
「ヤンマは、神様はいるって思うの??」
ギラがヤンマをゆっくり見ながら問うた。
それは気になる。
私たちには見て分かる通り守護神がいる。
けれど………。シュゴッドを機械と言い切ったヤンマが神の存在を信じているのだろうか。
「一番信じてんのは[漢字]俺達の国[/漢字][ふりがな]ンコソパ[/ふりがな]の技術だけどな。
技術だけで説明つかねぇこともあるだろうが。
それに、お前の言っていることに嘘はなさそうだしな。」
ヤンマは私を指さした。なにやら胸の中が心地よい。
頭の中で何かが動いている感じがした。
「お前は、[漢字]守護神[/漢字][ふりがな]シュゴッド[/ふりがな]の遣いなのかもな、マカロニボーズ。」
「ま、マカロニボーズ?私のことか!?」
彼は笑っていた。これからのことなんて何も気にしていなかった。
その彼の性格に、これから何度助けられたことだろう。
その時の私は、知るよしもなかった。
「っしゃ!!やっか!
シオカラぁ!!ロープ準備しろ!!回線シュゴッダムにつなげとけ!!」
「え、や、ヤンマ?なにするんだ?」
バタン、勢いよくボロが閉められる。
日はとっくに暮れようとしている頃だろう。
今から何をするというのか。
「お前の言葉のとおりにすんだよ。」

作者メッセージ

おひさです!さぁ、ンコソパ編もクライマックス!
ヤンマが本編よりめちゃくちゃフレンドリーですね。
ラクレスさんの体質は後々説明していきますのでお楽しみに!
それでは!See you again!

2025/01/25 16:46

ミコト 登録版でも活動中 ID:≫ttcqp9dfJbatQ
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