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原作ガン無視します

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二次創作
邪悪な兄弟に捧げるパラレルワールド

#4

邪悪な兄弟の誕生

戦火の中、私たちは走っている。
街の外れを抜け、中心に向かって。
「ギラ!!どこに行く気だ!?」
「王様のところだよ!!王様ならきっとなにか考えがあるはず!!」
止めようと思っても、止められない。
ギラの言っていることは正しい。
でも、この状況で戦火の中で、逃げずに行っていいのか?
「!!!危ないっ!!!」
瓦礫がギラの真上から落ちてくる。
私はギラを押し倒すと、彼を抱え、走り出す。
「お兄ちゃん!?」
「お前は昔からてこでも動かないだろう?
だったら少しは兄を頼ってくれ。
弟が危険にさらされることなんて、誰が望むか。」
ここまで来たなら私も覚悟を決めなければならないだろう。
たまには弟に振り回されるのも悪くないと言ったところか。
「ガイガイチュー!!」
「このっ!!」
敵は空いている足で蹴り飛ばす。
これくらいなら、進む時間くらいは稼げるだろう。
「お兄ちゃん、降ろしてくれていいって!」
「それじゃあ、また瓦礫が落ちてきたときに助けれないかもしれないじゃないか!」
世間では兄馬鹿とでも言われそうな自覚済みの過保護。
気づいたときにはこんな感じだ。
気づいたときと言っても、私は15歳ほどまでの記憶がすっぽり抜け落ちているけれど。
「あとちょっと……。」
土煙の中、戦いつつ歩き続け、城の入口に着いた。
城の周りは兵士が囲っている。
何をしているんだ、こんな非常事態に。
城を守るため?それにしたって多すぎやしないか?
まぁ、どちらにせよ一筋縄では通れなさそうだ。
ふと、脳内に電流が走ったように思考が止まる。
ギラも一瞬ビクリとした後、私と顔を合わせて頷いた。
今なら、道がわかる気がする。
「行こう。」
ギラは静かに頷いた。


[水平線]


王宮なんて、来たことはない………
はずである。
なのに、何でこんなに道がわかるのか。
少し怖いくらいだ。
王がいるところも、曲がる場所も、なんとなくでわかってしまう。
兵たちのいない場所も。
勘だといえばそうなってしまうのかも知れないが。
「お兄ちゃん、あとちょっと。」
「うん。そうだな。」
周りは扉扉扉。けれど私たちは、一つの扉以外見向きもしない。
大きな大きな、王の間への扉以外は。
その扉の前に立ち、私はギラを下ろす。
ダッ!!
私が一言小言を言う前に、ギラは駆け出していた。
「何者だ!?どうやって城に入った!?」
王の側近らしき人の声。
私もギラに続こうとしたが、流石に何かあったときに私が動けないとまずいとためらう。
「そこで何やってるんですか? 街で人が………!!!」
ギラの声からすると王はまだ何もしていないようだ。
何もしていないと言うより、何もしないのほうが正しいか。
ちらりと影から王の間を除くと、優雅にワインを片手に玉座に居座る王の姿があった。
嫌な予感がした。何がとは言わない。
とても嫌な。心の奥底からえぐり取られていくような。
向こうからボソボソと声がする。
こちらからは遠すぎて聞こえない。いや。
私が聞こうとしていないだけなのか?
「ふざけるな!!」
半分パニックの私を差し置いて、ギラは王に飛びかかる。
私があっと言う前に、彼は玉座に倒れ込んでいた。
「あの馬鹿………。」
王に飛びかかる。それがどれだけまずいことか。
最もよくて無期懲役、死刑が普通の罪だ。
良くも悪くも真っ直ぐで先のことなど考えなしのギラのこと。
そんなのわかってないんだろう。
このままではギラが危ない。どうにかしないと。
いつの間にか、体が勝手に動いていた。
今までにないほどの全力で走り、王の側近の腰にあった長剣を奪い取る。
そして、ギラの前に立ちふさがり、王の首の前に鞘から抜いた剣を置いた。
「な……!?」
「ハァ、ハァ。私の弟は、たとえ王の命であろうと、好きにはさせません。」
白い布で顔を覆われた王に、私はできるだけ低い声で伝える。
王に剣を向けることがどれほどのことか。
自分でもわかっているつもりだ。
でも、ギラにだけはさせたくなかった。
「この剣があれば!みんなを救えるんだろ!?」
ギラの声はどんどん荒々しくなっていく。
私の腕も震える。死ぬかもしれない。
でも。そんなことを怖がっている暇はないのだ。
「無駄なことを。王以外にそれは使えぬ。」
「だから!!お前が使うんだ!!」
ギラの言葉に王は耳を貸すことはない。
ギラは絶望したかのように目を見開いている。
「兄としては立派だが、この俺に逆らうことがどういうことか、わかっているんだろうな?」
王は冷たく、私に言い放つ。
私は引かない。覚悟は飛び込んだときに決まっている。
「お前らは今、世界の敵だ。」
そのうち、固まっていたギラも何か悟ったのか、覚悟の決まった目で王を見つめている。
脳内に流れ込む、何かの声。ギラも気づいたのか、私の方を向いて首を傾げた。
―お前ら、邪悪の王にでもなるつもりか?―
その低い声は、はっきり、私たちの耳に届いた。
誰の声なのか、わからないがその声の主は、私たちを見て笑っている。
「ナーッハッハ!!!望むところだ!
貴様の語る正義など、くだらん!つまらん!気に食わん!!」
「ふっ……。それもそうだな。
みんなを犠牲にすることが正義なら、
私たちは正義を討ち滅ぼす悪になってやろう!」
ギラのごっこ遊び風の悪役に、私も乗ることにした。
どうせ、このままでは死刑は確定だ。
最期くらい自分の正しいと思うことをやってやろう。
「恐怖しろ!そして慄け!」
「一切の情け容赦なく、一木一草ことごとく!!
貴様を討ち滅ぼす者たちの名は!!」
「ラクレス!」「ギラ!!」
ギラは王の証であるマントを羽織り、王の聖剣を振りかざした。
私も長剣を掲げ、カッコつけてみる。
「邪悪の王になる兄弟よ!!」
「私たちが!!世界を支配してやる!!!」
グワッと何かが崩れたような音。
急いで外に出てみると、広場にいた守護神を覆う石が剥がれ、守護神そのものが出てきていた。
―よぉ。邪悪な兄弟。俺はクワゴン!お前ら、ほんっと最高だぜ!!気に入った!―
「あぁ!俺様も気に入った!」
ギラはクワゴンと何度か言葉をかわした後、ニッと笑った。
「王凱武装!!!!」
ギラの体がみるみる光に包まれて、次の瞬間には赤い戦士が誕生していた。
王しか使えない聖剣が、弟によって開放された。
私は、驚きながらもワクワクしている。
「ギラ!クワゴン!街は頼んだ!
私は城の内部で時間を稼ぐ!!」
「ナーッハッハ!!!了解した!せいぜい気をつけることだな!」
二人(?)を置いて、私は城の中へと入る。
もちろん時間稼ぎも理由ではあるが、もう一つ、資料を集めたいのもあった。
情報が少なすぎる。あの剣が何なのかすら、わかっていない。
できるだけの情報が欲しかった。
「で、ここはどこだよ………。」
何度も道を曲がり、何度もセキュリティがかかった道を突破してしまった結果、
私はどことも知れぬ研究所的な場所に乗り込んでしまっていた。
わかりやすく言うと、完璧な迷子だ。
目の前には、金色に輝く、ギラの奪った聖剣ににた剣。
私はそっとその剣を抜くと、ギラがやったように、何度か動かしてみる。
しかし、動くことはなかった。
「……。」
それでも、その剣に惹かれてしまった私は、剣を持って出入り口を探すことにした。
そんなに探さずとも、出入り口はすぐそばにあった。
私は、ギラの姿を探す。
ギラはいなかったが、その代わり、でかいバグナラク相手に戦いまくるロボットの姿が目に留まった。
―おー、ラクレスみっけ!―
「へ!?あ、あれ、クワゴン!?」
クワゴンの声。間違いない。あれはクワゴン。
それにくっついているのは、クワゴンの紹介によれば
トンボックリにカマリーナ、パピントン、ハチスケ。
テテにトト、クーモにクモモ。そしてアーリン。
中にいるのは……。ギラだ。
「貴様らのような雑魚ごとき……ひねり潰してくれるわ!」
一撃で敵は砕け散り、砲弾の音も止まる。
良かった、なんとかなったようだ。
……まぁ、問題はこれからなんだが。
「お兄ちゃん!!」
どこからかギラが降りてくる。
怪我はなさそう、パニックになっている感じも無し。
大丈夫そうだ。
「ほんっとにごめん!!お兄ちゃん。」
「いいんだ。私もお前の立場だったら、そうしていただろう。」
ギラが無事だったならそれでいい。
私はそう言って笑った。
「私たちで世界を支配してやろう。ギラ。」
「……うん!みんなのために!」
みんなを守るにはこれしかあるまい。
コガネ、ブーン。子どもたち。おじさん、おばさん。
邪悪の王になってしまう私たちを許してくれ。
「動くな!!!」
兵たちに囲まれ、私はギラを守るために前に立つ。
しかし、ギラは私を押し切って兵士たちの方へ行こうとした。
「ギラ!?」
「好都合だ。 城まで連れていけ!」
何を馬鹿な。殺されるぞ。
言えるはずもなく、私は全力でギラの腕を引っ張る。
けれど、今は王を倒すことしか考えてないとても純粋で真っ直ぐなギラは、止まることを知らない。
私がどうしようかと思考を巡らせているうち、私たちの目の前に、トンボックリが止まった。
「へ?」
「お前ら、ついてったら殺されんぞ。」
口調からして輩な声の主。
けれど、シュゴッドに乗っているということは間違いない。
彼は王だ。
「「だ、誰だ?」」
思いもよらぬ事態に、2人でハモってしまう。
青い王はフッと笑うと、降りてきた。
「ンコソパの総長、ヤンマ・ガストを知らねぇとは言わせねぇぞ。」
見たことのない服に髪型の男は、私たちを担ぎ上げるとトンボックリのコックピットに乗せた。
どこへ行く気だ、私たちはそれすら言えなかった。

作者メッセージ

長いです。久しぶりに3000文字以上書いた〜!!!
ラクレスは結構二年前のギラより思慮深いだろうな〜……。
って思って。ギラって結構最初の方、何も考えずにラクレスの方だけを見て突っ走っていったじゃないですか。
そういうのはないんだろうな〜……と。
では!!See you again!

2025/01/12 15:43

ミコト 登録版でも活動中 ID:≫ttcqp9dfJbatQ
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