少女に明日を
人の人生では必ず敗北がある。
敗北の無い人生なんて存在しない。
敗北は始まりだ。
だが、勝利は油断の一手だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
大勢の人が私を見上げている。私は街の舞台に立ち、民衆を見下ろす。やがて、口を開く。
『お前達はどれだけ、この国に苦しめられた?お前達は今の暮らしが幸せか?違うだろう。自分の意思を持て。自分の言葉をかざせ。今の世界は間違っていると言葉で否定しろ。自分達の未来のために、この世界は1度壊さなくてはならない。戦争が起こり続け、誰かの命が奪われ続けるこの世界はおかしい。さぁ、この間違いだらけの世界に革命を起こせ!時は満ちた。始めようか…準備は良いか?』
私の言葉に対し、民衆の歓声が響き渡る。その表情はどこか待ち望んでいたかの様なものだった。歓声が響く中、私は舞台を降り、あとは明日華に任せる。私は静かに呟く。
[明朝体]永遠「さぁ、革命の時だ。」[/明朝体]
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
明日華の説明は終わったらしい。今から、戦争中も人に任せ、王座に座り続ける奴を引き下しに行くのだ。首都から1番遠い位置から首都に向かって何日もかけて進む。首都に着くまでの間に人を増やすために。何もしなくても民衆は勝手に人を呼び込んでくれる。邪魔者は言葉で制し、こちら側につけた。
1度ついた炎は消える事なく、炎の威力は増していくばかり。
順調だとしか言いようがなかった。そしてそのまま順調に首都まで着いた。
ーーーこの時の私達は知らなかったのだ。この先で、敗北を知ることになるなんて。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
首都に着き、私達は驚く。民衆も少し違和感を感じた様だった。風がふわりと吹き、干されていた服だけが静かに飛んでいく。が、それを追いかけるものは居なかった。人の住んでいた気配はあった。そう、気配だけである。それも酷く汚れていてまるで随分手入れされていないかの様に思えた。そこは私たちの知っている首都ではなかった。思わず、呟く。
永遠「おかしい。…人が1人もいないなんて。」
そう人が1人たりとも居ないのだ。首都は防衛班が死守している。だから、首都だけはこれまでも傷つくことはなかったのだ。だから、首都圏の人は戦争なんてないかの様に自由に暮らしていたはずだ。なのに、なんで、人が居ないのか。干されていた洗濯物から考えるにまるで日常の中、唐突に消えた様な、そんな違和感があった。
いや、ここで止まっては指揮に関わる。進まなくては。そう思って、足を進める。首都は目的地だ。だから暴動を止める人と何人かのグループになるのであればある程度自由行動は良しとしている。そんな中、私達は政府に攻め込むのだ。
政府までの道も、政府もとてつもなく静かだった。政府の建物は不気味なくらいに美しく、それでいて暗さを醸し出していた。
ーーーだが、その時は突然やってくる。
地下へ向かう道を見つける。そこには確かに人が出入りしたであろう土でできた足跡を僅かだが見つける。土がほんの少しだけ靴の裏についていたのだろう。疑わしいと思ったのは隣に居たアホ毛の彼女や少し緑がかった白髪の彼も同じ様だった。
永遠「地下…?こんな場所、世間に公表されていないわよね。」
明日華「…怪しい…。」
多岐「えぇ、そうですね。ですが、慎重に進みましょう。罠があるかもしれません。」
そう言って一歩踏み出した時だった。
(ウィーン)
思わず後ろを振り返る。閉じていたのだ。シャッターが。しかもシャッターには魔法・能力無効がかけられている。
全員「嵌められた…!」
そんな時だった。声が降ってきたのは。
「侵入者発見。」
「発見。」
明日華「…双子?」
見た目がそっくりな2人の少年がそこにはいた。2人とも髪はダークブランドで瞳は暗い中、不気味に輝く紅色。やがて片方が再び口を開く。
「なぁ、革命家。お前の革命はもう終わった。」
「そうだ。もう詰みだ。」
永遠「はぁ?何を言って…」
言い終わる前に言葉を遮られる。
「この世界で1番強いのは力だ。」
「情報は力を増大させるにすぎない。」
『なぁ、なんで人が居ないと思う?』
2人の声が不気味なほど、ぴったりと揃う。それはずっと不審に思っていた事。
「ここにいるんだよ。」
「この地下室に。」
そして答えは私たちが予想した通りの内容。
「革命を起こそうとしなくて良いんだ。」
「だって、戦争は僕らが勝つから。」
黙って聞いていたが流石に許せなくなった。だって、戦争は全然終わりを迎えていないから。
永遠「そういって、20年も終わっていないじゃない!何が勝つだよ!その間に何人の人が死ぬと思っているの!」
感情的になりすぎた…そう思うほどの言葉に対して目の前に相対する彼等はどこまでも淡々と返した。
「圧倒的な力。それを見せたら人々は恐怖すると同時にこれが味方なんだと安堵する。」
「革命は圧倒的な力の前には成り立たないんだよ。」
『諦めろ。これが力の差だ。』
揃った声が不気味さを醸し出す。
まだ、まだ手はあるはずだと思考を巡らせる。
明日華「まだ、外にはたくさんの仲間がいるのよ。」
その言葉に心の奥底で同意する。そうだ、仲間ならきっと…
「仲間?何それ?」
「今頃全員」
『地べたに這いつくばって、革命を諦めてるよ。』
その言葉を聞いて、脳に浮かんできた。浮かんでしまった。最悪の結果が。
多岐「ッ、まさかっ、」
『お前達の負けだ。』
…この場を打破して、助けに行けばいい。誰かの為にこの私の力を使えばいい。きっとまだ、私の能力を使えばなんとかなるはずだから。
永遠「ねぇ、もし、私達も圧倒的な力を持っているとしたら?」
声が少し震えかかっていることに気付く。きっと私は恐怖している。でも、それだけじゃ終わる理由にはならなかった。
虚無魔法『虚無空間』
魔法を発動させる…はずだった。発動しなかった。そこで一つの可能性に思い当たる。
永遠「?はっ?なんで発動しない?嘘だ。なんで…明日華能力は?」
【万物創造】
明日華「発動しないっ。」
…やっぱり…。頰を汗が伝った。
「言っただろ。」
「情報は力を増大させるものだと、なぁ、」
『お前達の首にある首輪はなんだろうな?』
少し震える手で首元を触る。そこには確かに首輪があって。その首輪には魔法・能力無効があった。あとは…【絶対服従】
「そうだな。どうしてやろうか。」
「こいつら3人とも能力持ちで魔法の使い手らしい。」
1人が問いを投げかけ1人が返す。そしてそのまま声を重ねていく。
「リーダー役は全属性持ちだ。」
「助手は能力が強力だ。」
「男は移動、不意打ちに長けている。」
自分自身を利用価値だけで見られるなんて、酷く腹立たしかった。
『まぁ、取り敢えず、』
【絶対服従】『跪け。』
[大文字]『お前達の負けだ。』[/大文字]
その言葉と共に私達は抵抗する術なく…
ーーー嗚呼、いやだ。負けたくない。
…だから。
表情がほんの少しだけ笑みに変わったのに彼等が気付く事はなかった。
敗北の無い人生なんて存在しない。
敗北は始まりだ。
だが、勝利は油断の一手だ。
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大勢の人が私を見上げている。私は街の舞台に立ち、民衆を見下ろす。やがて、口を開く。
『お前達はどれだけ、この国に苦しめられた?お前達は今の暮らしが幸せか?違うだろう。自分の意思を持て。自分の言葉をかざせ。今の世界は間違っていると言葉で否定しろ。自分達の未来のために、この世界は1度壊さなくてはならない。戦争が起こり続け、誰かの命が奪われ続けるこの世界はおかしい。さぁ、この間違いだらけの世界に革命を起こせ!時は満ちた。始めようか…準備は良いか?』
私の言葉に対し、民衆の歓声が響き渡る。その表情はどこか待ち望んでいたかの様なものだった。歓声が響く中、私は舞台を降り、あとは明日華に任せる。私は静かに呟く。
[明朝体]永遠「さぁ、革命の時だ。」[/明朝体]
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明日華の説明は終わったらしい。今から、戦争中も人に任せ、王座に座り続ける奴を引き下しに行くのだ。首都から1番遠い位置から首都に向かって何日もかけて進む。首都に着くまでの間に人を増やすために。何もしなくても民衆は勝手に人を呼び込んでくれる。邪魔者は言葉で制し、こちら側につけた。
1度ついた炎は消える事なく、炎の威力は増していくばかり。
順調だとしか言いようがなかった。そしてそのまま順調に首都まで着いた。
ーーーこの時の私達は知らなかったのだ。この先で、敗北を知ることになるなんて。
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首都に着き、私達は驚く。民衆も少し違和感を感じた様だった。風がふわりと吹き、干されていた服だけが静かに飛んでいく。が、それを追いかけるものは居なかった。人の住んでいた気配はあった。そう、気配だけである。それも酷く汚れていてまるで随分手入れされていないかの様に思えた。そこは私たちの知っている首都ではなかった。思わず、呟く。
永遠「おかしい。…人が1人もいないなんて。」
そう人が1人たりとも居ないのだ。首都は防衛班が死守している。だから、首都だけはこれまでも傷つくことはなかったのだ。だから、首都圏の人は戦争なんてないかの様に自由に暮らしていたはずだ。なのに、なんで、人が居ないのか。干されていた洗濯物から考えるにまるで日常の中、唐突に消えた様な、そんな違和感があった。
いや、ここで止まっては指揮に関わる。進まなくては。そう思って、足を進める。首都は目的地だ。だから暴動を止める人と何人かのグループになるのであればある程度自由行動は良しとしている。そんな中、私達は政府に攻め込むのだ。
政府までの道も、政府もとてつもなく静かだった。政府の建物は不気味なくらいに美しく、それでいて暗さを醸し出していた。
ーーーだが、その時は突然やってくる。
地下へ向かう道を見つける。そこには確かに人が出入りしたであろう土でできた足跡を僅かだが見つける。土がほんの少しだけ靴の裏についていたのだろう。疑わしいと思ったのは隣に居たアホ毛の彼女や少し緑がかった白髪の彼も同じ様だった。
永遠「地下…?こんな場所、世間に公表されていないわよね。」
明日華「…怪しい…。」
多岐「えぇ、そうですね。ですが、慎重に進みましょう。罠があるかもしれません。」
そう言って一歩踏み出した時だった。
(ウィーン)
思わず後ろを振り返る。閉じていたのだ。シャッターが。しかもシャッターには魔法・能力無効がかけられている。
全員「嵌められた…!」
そんな時だった。声が降ってきたのは。
「侵入者発見。」
「発見。」
明日華「…双子?」
見た目がそっくりな2人の少年がそこにはいた。2人とも髪はダークブランドで瞳は暗い中、不気味に輝く紅色。やがて片方が再び口を開く。
「なぁ、革命家。お前の革命はもう終わった。」
「そうだ。もう詰みだ。」
永遠「はぁ?何を言って…」
言い終わる前に言葉を遮られる。
「この世界で1番強いのは力だ。」
「情報は力を増大させるにすぎない。」
『なぁ、なんで人が居ないと思う?』
2人の声が不気味なほど、ぴったりと揃う。それはずっと不審に思っていた事。
「ここにいるんだよ。」
「この地下室に。」
そして答えは私たちが予想した通りの内容。
「革命を起こそうとしなくて良いんだ。」
「だって、戦争は僕らが勝つから。」
黙って聞いていたが流石に許せなくなった。だって、戦争は全然終わりを迎えていないから。
永遠「そういって、20年も終わっていないじゃない!何が勝つだよ!その間に何人の人が死ぬと思っているの!」
感情的になりすぎた…そう思うほどの言葉に対して目の前に相対する彼等はどこまでも淡々と返した。
「圧倒的な力。それを見せたら人々は恐怖すると同時にこれが味方なんだと安堵する。」
「革命は圧倒的な力の前には成り立たないんだよ。」
『諦めろ。これが力の差だ。』
揃った声が不気味さを醸し出す。
まだ、まだ手はあるはずだと思考を巡らせる。
明日華「まだ、外にはたくさんの仲間がいるのよ。」
その言葉に心の奥底で同意する。そうだ、仲間ならきっと…
「仲間?何それ?」
「今頃全員」
『地べたに這いつくばって、革命を諦めてるよ。』
その言葉を聞いて、脳に浮かんできた。浮かんでしまった。最悪の結果が。
多岐「ッ、まさかっ、」
『お前達の負けだ。』
…この場を打破して、助けに行けばいい。誰かの為にこの私の力を使えばいい。きっとまだ、私の能力を使えばなんとかなるはずだから。
永遠「ねぇ、もし、私達も圧倒的な力を持っているとしたら?」
声が少し震えかかっていることに気付く。きっと私は恐怖している。でも、それだけじゃ終わる理由にはならなかった。
虚無魔法『虚無空間』
魔法を発動させる…はずだった。発動しなかった。そこで一つの可能性に思い当たる。
永遠「?はっ?なんで発動しない?嘘だ。なんで…明日華能力は?」
【万物創造】
明日華「発動しないっ。」
…やっぱり…。頰を汗が伝った。
「言っただろ。」
「情報は力を増大させるものだと、なぁ、」
『お前達の首にある首輪はなんだろうな?』
少し震える手で首元を触る。そこには確かに首輪があって。その首輪には魔法・能力無効があった。あとは…【絶対服従】
「そうだな。どうしてやろうか。」
「こいつら3人とも能力持ちで魔法の使い手らしい。」
1人が問いを投げかけ1人が返す。そしてそのまま声を重ねていく。
「リーダー役は全属性持ちだ。」
「助手は能力が強力だ。」
「男は移動、不意打ちに長けている。」
自分自身を利用価値だけで見られるなんて、酷く腹立たしかった。
『まぁ、取り敢えず、』
【絶対服従】『跪け。』
[大文字]『お前達の負けだ。』[/大文字]
その言葉と共に私達は抵抗する術なく…
ーーー嗚呼、いやだ。負けたくない。
…だから。
表情がほんの少しだけ笑みに変わったのに彼等が気付く事はなかった。